↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力1令嬢と欠陥王女は魔法が使いたい! ~誰も使えない古代魔法で人生逆転します~  作者: 鳥助
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/38

26.魔力を増やす方法(ティアリス視点)

「ティアリス様、書庫の許可が下りました」


「本当!?」


 専属の侍女の言葉に嬉しくなって声を上げた。そして、身だしなみを整えると、一目散に目的の書庫へと向かっていった。


 王宮の最奥部にある王立大書庫。


 そこは王家が代々集めてきた膨大な知識が眠る場所であり、歴史書や魔法書、古文書、他国から献上された希少な書物まで保管されている、王国最大の書庫だった。


 しかし、その価値ゆえに立ち入れる者は限られている。


 国王をはじめとする王族や一部の宮廷魔法使い、学術院の責任者など、ごく限られた権限を持つ者だけ。入室には厳しい審査があり、閲覧できる本も権限ごとに細かく定められていた。


 今回は、古代魔法の研究に必要な資料を探すという名目で、ようやく閲覧許可が下りたのだった。


 書庫に入るとその先に広がっていたのは、天井まで届く本棚が幾重にも並ぶ、静寂に包まれた巨大な空間だった。


「……すごい」


 思わず息を呑む。ここには、ルシアと一緒に探し求めている古代魔法の手掛かりがあるかもしれない。


 そんな期待を胸いっぱいに抱きながら、私は古代魔法の本を探し始めた。


 ◇


 それから私は、書庫に籠る日々を送った。時間の許す限り書庫に籠り、魔力を増やす方法が記された古代魔法の文献を片っ端から読み漁る。


 本は持ち出し厳禁。そのため、情報を得るには書庫へ通い続けるしかなかった。だから私は、それ以外のすべてを後回しにした。


 朝日が昇る直前まで本を読み続け、ほんのわずかな仮眠を取る。朝になると、登校ぎりぎりまで書庫に籠った。


 授業中は眠気を堪えきれず、空いた時間は少しでも体力を回復させることだけを考える。そして最後の授業が終わると、一目散に王宮へ戻り、夕食すら忘れて書庫へ向かった。


 生活は、すっかり変わってしまった。その代わりに失ったものは、あまりにも大きい。


 ルシアと過ごす時間。


 一緒に教室に行く時間も、他愛ない話をする時間も、隣で笑い合う時間も、全部なくなってしまった。


 会いたい。その一言だけが、胸の奥で何度も何度も繰り返される。


 書庫でページをめくるたび、「今ごろルシアは何をしているんだろう」と考えてしまう。ふと顔を上げれば、いつものように隣で本を読んでいる姿を探してしまう。


 でも、そこには誰もいない。会えない時間が長くなるほど、胸の奥にぽっかりと穴が開いていくようだった。


 声が聞きたい。笑顔が見たい。ただ隣にいてほしい。


 そんな当たり前だった日々が、こんなにも愛おしかったのだと、離れて初めて思い知らされた。


 寂しい。苦しい。会いたい。


 その想いは日に日に膨れ上がり、まるで飢えのように心を蝕んでいく。このままでは、気が狂ってしまいそうだった。それでも私は、本を閉じることだけはしなかった。


 全部、ルシアのため。


 魔力を増やす方法さえ見つけられれば、きっとルシアは喜んでくれる。もう一度、あの笑顔を見られる。


 そのたった一つの希望だけを胸に抱いて、私は身が裂けるような想いに耐えながら、今日も静かな書庫でページをめくり続けた。


 ◇


「では、今日の授業を終わります」


 先生がその言葉を口にすると、私は教材をカバンの中にしまい、すぐに立ち上がって教室を出ていく。


 早く書庫に行って今朝の続きを――。


「ティアリス!」


 その時、手をグイッと引かれた。驚いて振り向くと、そこにはルシアが立っていた。それだけで、鼓動が高鳴る。


 そしたら、急にルシアへの思いが溢れてきた。このまま二人で一緒の時間を過ごしたい。そう思う気持ちをグッと堪える。


「ごめん、ルシア。今、ちょっと急いでいて……」


「急いでってここのところ毎日だよ? それに、なんだか疲れているようだし……。もしかして、何かあった?」


「えっと……」


 魔力を増やす方法を探していると伝えた方がいいのだろうか? だけど、もし見つからなかった時の事を考えると、ルシアに心労はかけたくない。


「ちょっと王宮で色々あって……。ほ、ほら! 古代魔法を使えるっていう話しが広まったから、それで……」


 申し訳なさそうにそう言うと、空気がピリついた。明らかにルシアが不機嫌になっている空気だ。


「……そうだよね。ティアリスは古代魔法が使えるようになったんだから、以前のようにはいかないよね。きっと、周りから注目をされているし、放っておかれないよね」


「そ、そういうルシアも大人気じゃないですか。ずっと、誰かと一緒にいて、楽しそうですよ?」


 古代魔法のことを聞かれるルシアはとても楽しそうだ。今まで全然見向きもされなかったから、話す機会があって嬉しいんだと思う。


 だけど、それをいうとルシアは不機嫌そうに眉を寄せた。まるで、そう言って欲しくないように……。


「えっと、ごめんなさい。本当に時間がないんです。また、時間が出来ましたらちゃんと言いますから!」


「えっ、ティアリス!」


 ルシアの手を振り切って私は廊下を走った。このまま一緒にいれば、ずるずると一緒にいてしまう。それだと、本を読む時間が減ってしまう。


 一緒に居たい気持ちをグッと堪え、私はルシアの前から去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

収納魔法を裏返したら世界最強でした!~極小収納しか使えない無能と辺境に追放されたので、もう好きに生きます~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった

この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~

魔力1令嬢と欠陥王女は魔法が使いたい! ~誰も使えない古代魔法で人生逆転します~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。