ITエンジニアは物語を開発する カッコよく言うとNeed定義ってやつです。
なぜ開発を進めるのか、一言で言う。
私は「見たい物語を書くために創作している」、
実によくある言い方だ。
でも、私の場合は少し事情が違うんじゃないかなと、方々を見渡して感じ出しました。だから言語化してみたい欲求にかられたのかもしれません。
まず、私が見たい物語は、どうやら世の中に存在しない。
少年の成長だけでは足りない。続きが気になる。
英雄譚だけでも足りない。英雄の子育てを見たい。
恋愛だけでも足りない。家族になるところを見たい。
家族だけでも足りない。継承を見たい。
国家や歴史だけでも足りない。誕生の喜びと死と向き合う静かな祈りが見たい。
伝記は近いが魔法がない。
ファンタジーは見たいところにフォーカスを与えて、そのエッジで楽しませてくれる、だから欲しい盛り上がりはある。でも一種類、多くて数種類までしかない。足りない。全部くれよぉ……。
どれも好きだ。
どれも近い。
でも、あと一歩届かない。
私は、一人の人間の人生を地続きで見たい。
誕生から、少年になり、
少年が、冒険をし、恋愛をし、仲間を作る。
共同体を育て、家族を持ち、社会と関わり、国家と関わり、歴史の一部となる。
神話と邂逅し、神話と歴史がつながる流れの上にいる事をキャラクターが自覚する。
そして、老い、残して、死ぬ。
その全てが一つの人生として繋がっている物語を見たい。
しかも、
出来事だけではなく、
何を望み、
何を失い、
何を受け継ぎ、
何を大切にしたのかという感情の流れも含めて見たい。
そんな物語を私は知らない。
だから書いている。
そして、ないからこそ技術を作る。
六紐理論も、
欲求設計も、
感情実装技法も、
EMAも、
EMRも、
二線構造も、
全部同じ場所から生えてきた。
「足りない」を埋めるためだ。
私は創作論の価値を否定しない。なぜなら羅針盤であり、物語の品格を決めるものだと感じるから。でも、私には価値観だけで、物語を紡ぎだせない。
だから、その価値観や感動がどうすれば成立するかを掘る。
成立条件を見つけたい。
再現したい。
運用したい。
そして、もっと大きな構造の中で成立させたい。
人気が出るかどうかは正直よく分からない。
それは自分で制御できない。
しかし、
因果は成立しているか。
共同体は成立しているか。
感情は成立しているか。
人生として成立しているか。
これは検査できる。
だから私はそこにこだわる。
それは私にとって品質だからだ。
創作の動機は案外単純である。
読みたい。
ない。
だったら作る。
ただそれだけだ。
そしてもし、いつの日か、
私が見たことのないその人生全部入りの物語を最後まで成立させることができたなら、その時は胸を張ってこう言いたい。
「おいおい、本当に最後まで成立させたのかよ」
と。
たぶん、その一言のために私は書いている。
長い、見たいから書く を思った以上長く展開してしまった。
うーん。理屈くどい。
技術者ってやつは、思いを伝えるために成り立っているのかまで考えて、挙句、その成り立ち具合を楽しそうに口に出してしまって感情のピークが迷子になる、どうしようもない生き物だと理解できました。
やっぱり、口下手でした。




