ITエンジニアらしく、お別れデザインパターンを整理しよう
ITエンジニアらしく、お別れデザインパターンを整理しようと考えるとやっぱり美しいな。環状構造に至る感情構造、最高です。私にとっては、最高のお遊戯でした。
「人間関係はどう始まるかではなく、どう終わるかにもパターンがある」
から始まった思考実験
別れのデザインパターン
以前、「出会い方のデザインパターン」という話を書きました。
創作には、
共犯化パターン
欠落補完パターン
関係再定義パターン
のような、
人間関係を作るための定番構造
が存在するのではないか、という話です。
で、考えていて気付いたのです。
出会い方にデザインパターンがあるなら、
別れ方にもデザインパターンがある。
むしろ創作においては、
出会いより別れの方が重要かもしれません。
出会いは関係を始めるだけですが、
別れは関係に意味を与えるからです。
ITエンジニア風に言えば、
接続方法だけでなく切断方法も設計しなければならない。
システムにもライフサイクル終了処理があるように、
人間関係にも終了処理があります。
少し整理してみます。
パターン1 死別
もっとも古典的で、
もっとも強力なお別れのパターンです。
言うまでもなく復旧不能。
リロードもロールバックもありません。
物語的には、
残された者の成長や変化を引き起こします。
『フランダースの犬』もそうですし、
『火垂るの墓』もそう。
近年の作品でも、
重要人物の死が物語そのものの方向性を変えることはよくあります。
面白いのは、
人間関係自体は消えるのに、
影響だけは最後まで残ることです。
消えたはずなのに、
むしろ存在感が大きくなる。
思い出というキャッシュだけが永遠に残る。
パターン2 共同体違い
嫌いになったわけではない。
でも一緒にはいられない。
昔なら、
民主主義陣営と社会主義陣営
武士と農民
敵国同士
今なら、
進学先違い
就職先違い
居住地違い
でしょうか。
青春作品で頻出します。
卒業が象徴的です。
昨日まで毎日会っていた人が、
今日から会わなくなる。
別に何も起きていない。
喧嘩もしていない。
なのに終わる。
だから切ない。
『タッチ』や『めぞん一刻』あたりの時代から、
この手の寂しさは何度も繰り返されている気がします。
パターン3 失恋
片方だけが接続を望んでいたパターンです。
ラブコメの九割はこれでできている気すらします。
成立する恋愛より、
成立しなかった恋愛の方が記憶に残ることがある。
なぜか。
失われた可能性を読者が想像してしまうからです。
『いちご100%』も、
『君のいる町』も、
数え切れない恋愛作品も、
結局は誰かの失恋の上に成り立っています。
恋愛作品における敗者は、
物語構造上の重要キャラクターです。
負けるためではなく、
別れを成立させるために存在する。
パターン4 夢違い
これは個人的にかなり好きです。
お互いが正しい。
お互いが相手を嫌っていない。
それでも別れる。
なぜなら進む方向が違うから。
野球を続ける者。
サッカーを選ぶ者。
研究者になる者。
起業する者。
同じスタートラインから出発したのに、
気付けば別々の未来を目指している。
青春ものに独特のエモさがある理由の一つだと思います。
友情が壊れたわけではなく、
成長した結果として離れる。
だから美しい。
パターン5 価値観違い
こちらは逆に、
かなり痛みを伴います。
ロマン主義と現実主義。
理想と効率。
自由と秩序。
正義と正義。
どちらも間違っていないのに、
両立できない。
『機動戦士ガンダム』シリーズや、
『銀河英雄伝説』のような作品では、
むしろこの構造そのものが物語になっています。
相手を倒したいのではない。
しかし同時に存在することもできない。
だから対立する。
創作における最も重厚な別れの一つです。
パターン6 共同体排除
忘れられがちですが、
かなり古いお別れのパターンです。
村八分。
破門。
追放。
除名。
つまり、
共同体のルール違反による切断です。
これは個人同士の別れではありません。
共同体全体との別れです。
だから重い。
『水戸黄門』から『北斗の拳』まで、
実は昔から繰り返し使われています。
ヒーローが旅をする理由も、
元を辿れば共同体から切り離された結果だったりします。
なぜ別れはこんなに面白いのか
出会いは可能性です。
別れは選択です。
出会いでは未来が増える。
別れでは未来が確定する。
だから別れは物語を動かす。
そして面白いことに、
多くの名作を思い出すと、
印象的なシーンのかなりの割合が
「出会い」ではなく「別れ」だったりします。
人間関係は繋がるときもドラマですが、
ほどけるときはもっとドラマになる。
もしかすると創作というのは、
出会いの物語ではなく、
別れの物語なのかもしれません。
なので、別れのデザインパターンをしっかりと使うべき時に使っていこうと思います!!!
はー、すっきりした。




