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ゴシカ (Gothica)  作者: 2bFYiQ
第 1 章 ―― 現存する悪の純粋和であるような がむしゃらな矢めいた狂犬は, 例えば, 三門公会 (cf. 古代プロパティー - GX 期) が述べざる理由としての レギスタ実線を開封できた影だ
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第 2 部分

"でん - しゃ【電車】: [名] ひとつ以上の地点をつまびらかに結ぶ輸送方式の ひとつ"


質問と答えが起動しているときに, 不快感が起こる. 答えと青い森と狂犬 ―― ギーゼラからの方向性で これら 3 者が通知された以上, 彼はすぐさま青い森へ向かう手続きに取りかかった. 大理科へ沈みこむ際, その音をアクセス キーにしながら, ギーゼラは実験のような白々しさを感じていた. 教卓に置かれた核心的な詩が, その上に重なる 1 滴の大きな雨粒からはみ出している. 大理科は, 同心円状の膨大な立場が おなじく膨大な (直径に当たる) 送信プロセスで区分された理科を単位構造とし, その分室数とおなじ数の理科から成りたつもので, 人間が作った筈なのだが, 直近の夢で印象に残っている色をうまく落とす仕くみが分かっていない.〈完璧な成功者が命を持って初めて目にするものは, その床でおぼろに回る大理科であろう〉


"私はなにかのために, それを恐れていた. 道徳とか空間とか. 本体へ向かうよりももっと ……. おなじような理論的な全景. そこから見える足どりを意図的に外れると述べがたくなるし, 自然な足どりに沿うことは, 飽き飽きさせる反復かも知れない. でも, それを支えている. 窓から見たり認識したりしたこと. 季節の変わり目に新しい服を着る"


ひとにはひとの領分があるのだから, 把握したいものは小さなヒントで少しずつ分けると良い ―― このさり気無い助言が, ある部屋について別の部屋に話されること, すなわち 普及的なストレージ骨格になっている. 上文の引用元は, ある〈ブロリオル家の一連の予言と過ごした時期が, 新しい風となって吹いている〉庭で見つかった古跡であり, 数多き時代考証のひとつも次に挙げておく.


"ついに古代プロパティー期と共に終焉した歴史確認が, 大理科のデザイン草案でもあると見なされている. 幾つもの人格が提案されたとき, それらのメディアの違い (e. g. あるひとは 自分が考えた人格案を A4 白紙にプリントしていたが, 違うひとはまた別の紙にプリントしていた) が 想定通り大理科の内壁観念になっていたので, 厚みの色になりつつあった頭部たちは, 一様に黒い眼鏡を思いうかべた. Ver. 0. X 線コンソール (i. e. Cleeqoo) が, 地面よりも遙かに多くしてしまう手をソッと脱出させたように, 当時の時点で既に, 人格への希望は 人間を超えたところに始点を持っていた. 一色の骨組みにもなれない任意の私が〈子どもの世代に冷たい正しさで背を切りつけられると, 怯える必要も無く〉外国のスカーフと目を合わせられる裏には, そのような光学エンジンの働きがある. 人間を知って生まれたもの, それが大理科であった"


受けつけで渡された見おぼえの無い番号札が示す, まえ向きな会社に入力されたような部屋に, ギーゼラが入ってきた. 先端で新しい時代が開いていくふもとの涼しさと, まえに並ぶひとが他人のなまえをりわけおえた事実. 壁の向かいあった 2 面に金属製の引き戸がある以外は なにも無い部屋であり, 全体的に同語反復が始動していた. 精彩さを球状に欠いた空気が散り散りになり 上書きされていくこの場でも, ギーゼラはいつも通り, 取りとめの無いところから意識的に目を逸らさずにいる. あのひとは「待つこともできませんが, すべての後に脱出します」といって, どこかへ消えた屋根に触れた. 昔からの論文が繊維状の映像となって流れていくし, あの独自のルールがいないのに 今日がふつうに過ぎてしまったことも, いつかは良い家に釣りあえる.「今日はどうでしたか」「良いです. あのときに分からなかった今日がありましたから」「ええ. 今日に違反されるひとはいません」山のように大きなまっ白い斜面を見あげると その向こうに円柱形のシンプルな主塔ベルクフリートを覗けるような場で交わされた, その〈枯れ葉めいてさり気無い〉会話を聞きおえるや否や, ギーゼラはパチリと閉じこみ 然るべき形式へクロック・アウトした. 午前 10 時 28 分.


ひとは一瞬だけならば, ほんとうに正しいものを空想できるのかも知れない. そうでなければ, 目標も虚しくなってしまうのだから. しかし それ (正しいものの空想) が, 莫大に耐えきるべき無言の重みから弾きだされる形でしか未だに証明されていないことを, ギーゼラは分かっていた. その上で, ギーゼラはともかく彼の夜は, まったくおなじらしい新しさがどのような鎖も見せずに先ほどのテーマを解きあかしてしまった未来像無しでは 完備されていなかった筈なので, 答えへの欲求を今回さらに独特に深めたようである彼は, 先ほどの会話から汲みあてた複数広場へ向かった. ―― 家の戸や窓を一斉に開けはなち, 外へ向かってなにかを宣告しなければならないときも, 自分だけの曲を持っていれば, それで良い. 確かなこととしては, 色々交換してきた (複写機の音もあげた) が, 結局ふつうのものが欲しいだけであった.


中間色代わりに, 世界のギーゼラ的な動向についても記しておこう. つまり, 自分のなまえを木板におなじフォーマットで宛てがうことを良しとし, それを黙って頭上に掲げている, あれらのヘリンボーン (V 字形が連続した模様) 状の雑踏について ……. 外を赤い轟音の魔法が震わせる中, まるで, その崩壊的空気の中を, 一瞬 儚げな会話が駆けぬけることを確信しているかのごとく, 壊れた数字が散らかった部屋に立って, 棚を埋めつくす技術書をジッと見つめつづけている (蔵書中の, "事態が それの持つ事由のみから完成されることは, 無い. 事態は非系統的に進化する. それが置かれたところの培地が, 事態をどう記述していくか. ひるがえり,「起こった事態はなにか」だけではなく, 起こった全事態の進化列とも手を取りあって 初めて, 培地 ―― 自分の所与も出力もユニークになれない反応倫理 ―― は個的に描出されうる" と 述べるところのレポート「生体的パラメディックの基礎論に関する概説」は, この最終相を演繹できなかった). ベッドの静かな唸り声は, 弱く痛ましい威嚇であり ―― このなににも許せない体.


大理科のもうひとつの過去として「大車輪」がある. ユンゲル人工平面で立ちあった目だたない 4 人については良く知られている. ココレゾ, レワール, ラーキャット, スペルズ ―― 彼らは無名の一般人であったが, どの時代においても 圧迫されている言葉を認める勇気があった. そして, この大車輪のお陰で, アパートやマンションなどのベランダで (各ベランダを仕きる) 隔て板越しに会話するように彼らはあの高層階の風を確かめあえた. 正確には, そのために生みだされた 4 人のあいだで考えを共有する仕くみが大車輪なのであり, 当時の時代が目も当てなかった平原 (≒ ユンゲル人工平面) で, 自らをレトロの中に示しあわせた寡黙さは計りしれない. 従って大車輪は, 彼らが呼ぶところの「生前の文法」でできていたし, その古典的な機構は, どのような時代観点においても回りつづけるものだ. 先んじてなによりも歴史として, それは独立した可動体としての意思であった. 風を風たちの言葉に沿って分別するに当たり ようやく大車輪が見つかったとき, 策定会の議長であるリンパスは, その殆どの仕様が忘れられていることから過去の然るべき位置を考えかけたが, 今もなお鳴る心音を聴きおとさず, 大車輪が (当時風の言葉でいえば)「策定済み」であることを認めた. つまり, ココレゾたちがほかにはなにも要求していなかったことに, ひとびとは気づいた.

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