異記録叢書

作成ユーザ: Hulanes
この世には、記録されなかった出来事がある。

誰にも語られなかった事件。存在を証明する者のいない怪異。焼失し散逸し、あるいは意図的に封じられた記録。

それらは長い年月の中で忘れ去られた。
――そう、忘れ去られたはずだった。

『異記録叢書』は、いつ、誰が、何のために記したのかさえ定かではない「異常な記録」を収めた叢書である。古い療養所に残された研究記録。死者の筆によって綴られた手記。存在しない人物の残した日記。何度写しても内容の変わる古文書。そして、読む者によって意味を変える一冊の本。

それらはすべて、ひとつの問いへと収束してゆく。
――記憶とは、いったい誰のものなのか。

人は記憶する。
記録する。
忘れる。

そして、忘れたはずのものを、誰かが代わりに覚えている。
『異記録叢書』が扱うのは、怪異そのものではない。

怪異を記録した「記録」。
記録を書いた「人間」。
そして、その記録を読む「あなた」。
その三者の境界が、いつ、どこで崩れたのか。

もしあなたが、この叢書を最後まで読み終えたなら。
最後の頁を閉じる前に、一度だけ考えてほしい。その物語を、あなたは本当に「読んだ」のだろうか。

それとも――
あなたの記憶が、そこに記録されていたのだろうか。

脳髄回廊 未生

これは『脳髄回路』の前日譚である。
作品情報 N8818MT 短編 推理〔文芸〕
掲載日:2026年 09月 20日
最終更新日: 2026年 09月 20日
キーワード: 秋の文芸展2026 ダーク 男主人公 現代 サスペンス

脳髄回廊

昭和十一年、火災によって閉鎖された私立精神療養所「甦生館」。 焼け跡となった書庫から、一冊の奇妙な文書が発見された。 表紙に記されていた題名は――『脳髄回廊』。 そこに綴られていたのは、記憶にま//
作品情報 N8633MT 短編 純文学〔文芸〕
掲載日:2026年 09月 20日
最終更新日: 2026年 09月 22日
キーワード: ESN大賞11 なろうフェス2026 秋の文芸展2026 ダーク 男主人公 現代 サスペンス