↑ページトップへ

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

熊本・イオンモール爆発事故における二人の殉職者 「もし入れるのであれば」――退路を塞いだ非情な一言

短編
あらすじ
~ 熊本・イオンモール爆発事故における二人の殉職者と、売上金回収を命じた企業、そしてそれを許した企業たちの責任〔1〕 ~

令和8年7月28日、熊本県を襲った大地震の直後、イオンモール熊本で大規模な爆発事故が発生した。

報道によれば、同施設内の雑貨店「ハビタ」で勤務されていた大竹玖瑠美さん(22)と同僚の女性従業員(25)のお二人は、地震発生後、いったん屋外へ避難されていた。しかしその後、勤務先の会社から店長を通じて売上金を金庫へ戻すよう求められ、再び館内へ向かわれた。そして、お二人とも、その場からの帰還は叶わなかった。

なお、もう一人の方の氏名は報道されていない。本稿もそれに従う。以下、お二人に共通する事実は「お二人」として書き、報道によって行動経過が明らかにされている箇所は、大竹さんの名で記す。

会社側は、幹部から店長へ、店長からお二人へと、二段の電話によって、

「もし可能であれば、売上金を金庫に戻してくれないか。もし店内に入れるのであれば」

という趣旨が伝えられたことを認めている。〔2〕

西日本新聞の報道によれば、大竹さんは駐車場でおばといとこに遭遇され、館内へ戻ろうとされるところ、制止を受けた。それでも、その場におられた同僚の方とともに「会社の人から頼まれた」と言って、店へ戻られた。会社側も、売上金を金庫へ移すためにお二人を館内へ戻す指示をしたこと自体を認めている。〔3〕

本稿が最初に問うのは、この指示の中に置かれた、わずか一語である。

「もし」

この「もし」は、従業員の安全を気遣い、最終的な判断を本人に委ねた言葉だったのか。

私は、そうは考えない。

むしろこの「もし」という言葉こそが、お二人の退路を塞ぎ、危険を理由として拒否する余地を奪い、死地へ向かわせる決定的な言語的機能を果たしたのではないか。

Nコード
N4476MO
作者名
シレン
キーワード
R15 現代 日常 史実
ジャンル
エッセイ〔その他〕
掲載日
2026年 08月05日 21時41分
感想
1件
レビュー
0件
ブックマーク登録
2件
総合評価
44pt
評価ポイント
40pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
18,479文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N4476MO| 作品情報| 短編| エッセイ〔その他〕
~ 熊本・イオンモール爆発事故における二人の殉職者と、売上金回収を命じた企業、そしてそれを許した企業たちの責任〔1〕 ~ 令和8年7月28日、熊本県を襲った大地震の直後、イオンモール熊本で大規模な爆発事故が発生した。 //
N1171EU| 作品情報| 連載(全4エピソード) | エッセイ〔その他〕
 過ぐる5月6日、日本大学と関西学院大学におけるアメリカンフットボール定期戦で関西学院大学QBが日本大学DLの反則行為によって負傷すると言う事象が発生しました。   私はこの問題に関心(憤り)を抱いた一成人に過ぎません。//
N9615BS| 作品情報| 短編| ノンジャンル〔ノンジャンル〕
 未来ある人の娘へ贈る言葉 (500字ほどの掌編です)  
N4144W| 作品情報| 連載(全30エピソード) | ノンジャンル〔ノンジャンル〕
このページをご覧の皆さまへ はじめまして、シレンと申します。 私は作家ではございません。 しがないネット小説ファンでございます。 皆さまネット小説家の方々のご好意により今日もネット小説を楽しんで居ります。 以下//
N8589X| 作品情報| 連載(全3エピソード) | ノンジャンル〔ノンジャンル〕
基本的に没作品集です。 コメントがついてしまった場合、当時の状況を保全せずに大きな変更を加えることは、コメントの意味を損なう事になるので、変更履歴を残す意味もあります。 有体に言えば没とした駄文の晒し場所です。 同//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。