表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国・地獄・大地獄  作者: 瀬良浩介
第一話「序章」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/40

18

「天国・地獄・大地獄」-序章-

ただいま毎日〈月〜金のみ〉鋭意連載中!!

堪忍(かんにん)な。念の為、動けんようしとけ言うもんやから。

 そろそろ固まってんのかな、この【(カルマ)】。

 えらい便利やなあ」


 夏服がひょうひょうとした口調で、わけのわからないことを言う。

 とにかく、この両足はこいつの仕業(しわざ)ということか。


「おい、お前ら……」


「アッシらに見覚えある?」


 俺の言葉を遮って地雷女が言葉を投げかけてくる。

 アッシってなんだよ、百姓(ひゃくしょう)か?


「いや、ねえけど」


 それを聞いた地雷女は鼻を鳴らす。


「はい。万に一つの可能性もないということで。

 じゃ、行こか」


 地雷女は(きびす)を返して立ち去ろうとする。


「ちょっと、ちょっと待ってアキハさん。

 さすがにそれだけじゃ」


 高身長女が、慌てて地雷女の行く手を(はば)んだ。

 地雷女は、『めんどうくさいんですわたしはやくかえりたいんです』という心境を、顔筋(がんきん)フル活用の顔芸で表現して高身長を見た。


「アキハさん。そういう顔になってしまいますよ」


「っさいな」


 (あき)れ顔の高身長女に背を向け、アキハと呼ばれた地雷女は俺を見る。

 そしてひとつ息を吸い込むと、一気にまくしたてた。


「あんたはもう死んでます。どうやって死んだかは知らんけど。今ある姿は人生の中で一番『自分』を感じる時のものなんだって。でも悲しいことに、その人生においてあんたは殺人の罪を犯しています。その罪を償うために、あんたはここに()とされました。つまりここは」


 そこで、地雷女は大きく息を吸い込み、両手を大袈裟(おおげさ)に広げた。


「天国・地獄・大地獄でいうところの地獄です!」


 地雷女は達成感に満ち(あふ)れた表情で仁王立ち。

 高身長女は横でサイレントに手を叩いている。

 夏服男は頭を()きながら渋い顔で口を挟んだ。


「いや最後のはアキハの独自解釈(かいしゃく)やろ」


「んなことないわ。芦辺(あしべ)さんだって言ってたし」


「まあ、地獄であることが伝わればよいのでは」


 説明が必要な人間を完全にほったらかして、やいのやいのしている。

 俺は今、とんでもない連中に絡まれているらしい。

 はあ。こういうとき、どんな顔すればいいのか判らないんだよな。


「あの、笑ったらいいか?」


 俺の冷笑を含んだ言葉は、地雷女の(かん)(さわ)ったらしい。


「おう。笑っといた方がいいよ。これからぜんぜん笑えなくなるから」


「じゃあもっと笑わせてくれよ。そんなつまんねえ冗談じゃなくてさ」


「冗談?」


 俺と地雷女の応酬(おうしゅう)が続く。


「どうせお前ら、空き巣かなんかだろ。

 俺ん()に金目の物がないからって、イキってんなよ。

 警察呼ばれる前に帰れ」


 挑発的な言葉が口をついて出る。

 なぜ俺はこんなに相手を刺激する?

 よく判らないが、こいつらを見ているとむかっ腹が立つのは判る。

 無性にやり返したくなってしまうんだ。


「信じないってわけ」


「信じられることをひとつでも言えよ」


 地雷女は右手をあごに添えて思案(しあん)ぶる。

 そして、何かを思いついたようで、大きな瞳がきらりと輝いた。


「ウッシーさ。予定変更」


 ウッシーと呼ばれたのは夏服男だ。怪訝(けげん)な表情を返す。


「なんの?」


「セメント男、リスポーン地点でパージしようって言ってたけど、今やって」


「え?ええけど。この男、素直についてくるかな」


「言うこと聞かなかったら、また喰って」


 夏服男がため息をつく。


「あんな。ひとり食うんも(ひと)苦労なんやで?」


「いいから、やって!」


「わかったわかった」


 不承不承(ふしょうぶしょう)といった様子で夏服男は前かがみになり、両手でスラックスの膝をつかんで引っ張り上げた。

 スラックスは引き裂かれながらめくれ上がり、その下から()き出しになった肌が露出する。


 突然ストリップを始めた男に呆然(ぼうぜん)とするのも束の間、単に服を引きちぎっているのではないことに気づく。


 この男が引きちぎっているのは、服ではなく『皮』だ。


 服と一緒に皮がめくれ、下から恐らく本来の肌が見えてきているのだ。

19 へつづく


Xで情報発信中!

https://x.com/Koh_Serra

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ