26 餌につられて
26 餌につられ
「う~ん・・・」
錬金ギルドを出た俺たちは
「どうしたの?ご主人様?」
とラムに聞かれ
「いや、ギルマスから手紙が
届いたんだけど・・・」
と見せようとしたら
ギュッ!
「ね~!お腹空いた!ご主人様!」
とテンが腕に抱き付いてきた。
「あッ!いや、分かってるけど」
と何とか誘惑に負けず
ラムに手紙を渡そうとするが
ムギュッ!
「そうですよ~!何か食べながらでも~
大丈夫ですよ~」
とモーがムチムチと抱きついてきた。
「行こう!どこへでも行こう!」
するとラムが
「じゃあ、満月亭?」
「「やった」~」
(満月亭?)
両手に花で着いた所は白い壁が特徴的な
お店だった。
(横は宿なのかな?)
と俺たちはそのまま
店に入ると
「「「こんにちは~」」」
とラム達が入るなり
店の人に挨拶したが
ガチャーン!
「ラムちゃん!」
と恰幅の良いおばさんが
持っていたお皿を落としながら
ラム目掛け走って来た!
「あああ~ホントに
ラムちゃんじゃないかい?
いや~良かったね~!治って!」
とラムの体をあちこち触りながら
ラムを再確認するように
喜んでいる。
「おばちゃん!ありがとう!
心配かけたんだね!」
とラムもおばちゃんに
抱きついている。
なんでも、3人はこの町での活動が長く
この店の横の一軒屋も借りていた
らしい!
「さッ!お腹空いてるだろ?
ご飯食べてくかい?」
「うん!あッこの人が
アタイを助けてくれた
ご主人様のタダシさん!」
「ああッ!ありがとう!
ラムを助けてくれて!
さッ!みんなで食べな!」
と俺たちは奥の空いてる
テーブルに案内された。
そこで、ラムたちは
おばちゃんとかなり
話し込んでいたが
他の若い女性店員さんたちが
ラムたちに挨拶しがてら
ちょっとした料理や飲み物を
運んできてくれた。
「うん!うまい!特にこの魚料理!」
「やったー!ご主人様も
気に入ってくれたんだ!」
とラムもテンもモーも
なぜか大喜びだ!
後で知ったのだが
どうも人族は高価な魚以外
あまり食べないらしい!
「それで、ラム!
今日は何処に泊まるんだい?」
とおばちゃんに聞かれたので
「横はまだ空いてるの?」
とラムが聞くと
「勿論だよ!あんたら以外
泊めるもんかね!家具もそのままだし
泊まっていきなよ!」
とおばちゃんが俺の方を見てきた。
(え~と・・・どうしようかな
この後、ベルさんの所にも行かないと
ならないし、ベルさん!
凄い宿用意するって言って
たんだよなぁ・・・)
と俺が思っていると
「じゃあ、ご主人様!ここで良い?」
と胸を寄せたラムが
上目遣いで聞いてきたので
(や、辞めてくれ~そ、その目は~)
「あ、ああッ!
ラムたちが良いなら・・・」
(くそッ!俺はやっぱり恋してる!)
横の一軒屋は店の裏口から入るらしく
キッチンの中を通り
綺麗の整った庭を抜けた先にあった。
「じゃ、これがカギ!夕飯はもうすぐ
だからね!」
と言っておばちゃんは
店に戻っていった。
おばちゃんが行ってしまったので
家の中を見て回ろうとすると
「ね~ご主人様!この町はいつ出るの?」
とテンが言うので
「えッ?手紙には着いたら3・4日で
またこっちを出発するよう
書いてあったけど」
「ホント?じゃあ、3日
ダンジョン潜っていい?」
「ダンジョン?・・・
まあ、行きたいなら
別に好きにしていいぞ!」
と俺が他人ごとみたいに言うと
「え~ご主人様も~行きましょうよ~」
とモーがムチムチと誘ってくる。
「だ、ダメだ!ダンジョンだろ?
あ、危ないじゃないか!」
と一瞬モーの誘惑に負けそうになるが
すッ!とラムが静かに近づいてきて
「じゃあ、こうしない?ご主人様!」
と俺に顔を近づけた。
「な、なんだよ?
お、俺は何を言われたって・・・」
「まあ、聞いてよ!
ほら、前にアタイで楽しんだ!
ピンクのポーションあったじゃない?」
「ピ、ピンクのポーション?」
「ほら!卵型でプルプル激しく
震えるヤツ」
「あ、あれは
・・・ラムが気持良すぎて危険って・・・」
「あの時は確かにそう言ったけど、
今は3人もいるだろ?
アレでアタイら3人を
好きにしていいからさ!
ねッ・・・ダンジョン行こッ!」
「行こう!何が何でも!」
ラムたちはダンジョンの準備で
冒険者ギルドに行くと言うので
俺は別に用事を済ますべく
そのまま、いそいそと
ベルさんの店へと向かった。
エンロー辺境伯 執務室
「騎士団長!
これは、ホントなのか?」
エンロー伯爵は自らが
乗りこなす竜馬で
王都から、今日の夕方、
エンローに着き、
そのまま衛兵の報告を
受けていた。
「はッ!間違いありません!
自分、自らが取り調べましたが
一度も真偽の鈴は
鳴りませんでした。」
「ん~・・・だが、
ゾンビにこの量のポーションに
盗賊にと、凄い立て続けに
問題が起きているな!
大体、ベル・ポスト氏は王国でも
3本の指には入る豪商だぞ!
一体、どうして攫われたのだ?」
「なんでも、商隊の情報が完全に
漏れていた可能性があると・・・
因みに、ポスト商会の関係者
全員を洗いましたが
彼らは、漏らしていません!」
「そうか!でッ犯人の目星は?」
「はッ!そこに書かれている
タダシ殿が盗賊の会計係のキーモを
奴隷としてこちらに引き渡して
くれたので、
現在、非常にスムーズに
情報を吐かせております。
我々も本人には
素敵な彼氏も出来た事だから
牢でも寂しくないぞ!と
皆で褒めておりまッぶふ!
し、失礼しました。」
「そ、そうか!
ところで騎士団長!」
「はッ!なんでしょうか?」
「私はこのタダシという名に心当たりがある」
と伯爵はテーブルの上に
コトンッ!
と小さなポーションを置いた!
「それは?」
「これは大臣閣下から頂戴した
エクサリーだ!」




