第77話 傭兵の秘策
「よし。ドラゴンスレーヤーを目指そうか」
呟いた俺はリュックサックをひっくり返す。
散乱した中身から折り畳み式の猟銃を取り上げた。
単発型のレトロな銃で、元の銃が分からないほどに改造されている。
こいつは道中のフロアで発見した代物で、たぶん金持ちの道楽で造られたのだろう。
俺は胸ポケットから一発の弾丸をつまんで取り出した。
自作した徹甲弾である。
そいつを猟銃に装填して動作を確かめる。
拳銃ではなくこの銃を使うのは、手持ちの武器で最も射撃精度が高いからだ。
狙い撃ちに向いている上、本体もかなり頑丈である。
自作弾にも耐えられるため採用させてもらった。
俺は猟銃を膝立ちで構える。
ドラゴンは四足歩行で接近してくるところだった。
火炎の当たらない場所に隠れる獲物に苛立ったらしい。
口の中では炎が爆発しようとしている。
目が合った瞬間、ドラゴンが咆哮を轟かせた。
それに伴って炎を吐こうとする。
「させるかよ」
俺は猟銃の狙いを定めて発砲する。
肩を突き飛ばすような反動に合わせて、銃口から徹甲弾が飛び出した。
それは吸い込まれるようにしてドラゴンの片目に炸裂する。
血飛沫が上がってドラゴンが悶絶した。
滅茶苦茶に炎が吐き出されて、ヘリポートが焼け焦げていく。
(さて、どうなった?)
俺はドラゴンの顔を注視する。
徹甲弾の命中したドラゴンの片目は潰れていた。
ただ、脳内を吹き飛ばすには至らなかったらしい。
遠目に眺めていると、荒れ狂う炎が俺達の方へ飛んできた。
咄嗟に屈むも、異形の腕を高熱のブレスが掠めていく。
刹那、骨の芯まで苦痛が浸透してきた。
「ったく、熱いな」
ため息混じりにぼやく俺は、焼かれた甲殻と鱗にペットボトルの水をぶちまけて冷やす。
そして静かに舌打ちした。
だんだんと再生していくものの、何度も食らいたくないものだ。
「大丈夫か?」
「問題ないさ。軽く炙られちまっただけだ」
心配そうなミアナに応じつつ、俺は徹甲弾を再装填してドラゴンを狙おうとする。
しかし、首を振って暴れているせいで当てられそうにない。
さすがにそこまでの狙撃技術はないのである。
知人のスナイパーなら片手間に当てられるのだろうが、あれを参考にはできない。
この弾なら鱗を貫けそうだが、数発しか用意できていない特別製だ。
無駄撃ちできない以上、確実に急所を破壊したかった。




