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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第34話 荒療治

「それで、イーサンの悩みは解決できそうかい?」


「少なくとも悪化は防げそうだ」


 ミアナは袖をまくり上げながら見解を述べる。

 気負った雰囲気ではない。

 一定の自信があるようだった。


「さすがだな。魔術師は医療分野もカバーしているのか」


「専門ではないがな。ここからは荒療治になる」


 そう言ってミアナは処置を始める。

 まずイソギンチャクを鷲掴みにすると、魔術らしき光を流し込んでいった。


 色鮮やかな光が明滅しながらイソギンチャクを照らす。

 そのたびにイーサンの身体が痙攣した。

 まるで感電しているような反応である。

 何らかの効果は出ているようだ。


「手足を固定してくれ。暴れられると厄介だ」


「任せときな」


 ミアナから指示を受けた、俺はイーサンの四肢を押さえ込む。

 痙攣するイーサンはかなりの力だった。

 だんだんと暴れ具合が酷くなって、ベッドから転げ落ちそうになる。


「うげっ」


 膝蹴りが顔面に炸裂した。

 俺は大きく仰け反るも、痛みを堪えて押さえ続ける。

 幸いにも大したパワーではなかった。

 拷問に慣れた俺にとっては挨拶程度のジャブに近い。


 寄生されたことによる強化はあまり感じられなかった。

 理性を残していることと関係しているのだろうか。


 やがてイーサンの身体は落ち着いた。

 脱力して寝息のような音を立てるようになる。


 光を止めたミアナはイソギンチャクから手を離した。

 彼女は額の汗を拭って述べる。


「精神魔術と浄化を併用し、寄生した魔物の活動を抑圧した。これ以上、肉体の支配は進まないだろう」


「そいつはいい」


 ただし、寄生部分が頭部に根付いているそうで、完全な治療は不可能らしい。

 手術には本格的な調査が必要になるそうだ。

 それは彼女の言う通りだろう。

 下手に切除を試みると、イーサンが死んでしまうかもしれない。


 とりあえず暴走する恐れは劇的に低下したのだ。

 処置はひとまず成功したと言えるだろう。


「まったく、世界最高の医者を治療するなんてな……」


 苦笑した俺は胸ポケットから煙草を取り出して吸う。

 自販機で補充したので数には余裕があった。

 残りを気にせずに味わえる幸せを噛み締める。


 これでひとまずイーサンの治療は完了した。

 あとは本人次第である。

 責任感の強い男だ。

 寄生にも負けずに奮起してくれるのではないだろうか。


 無論、こちらもボランティアで助けるわけではない。

 現実として苦しい状況に置かれている。

 半ば強引に実施した荒療治だが、相応の対価を払ってもらおうと思う。


 机に腰かけた俺は、破損した腹と腕を撫でた。

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