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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第22話 傭兵の言い分

 眼帯女が足を止めて、膝から崩れ落ちる。

 壁に頭を打ちながら倒れると、そこから血だまりが広がっていった。


「…………」


 俺は拳銃を下ろさない。

 駄目押しに撃った弾丸は、眼帯女の頭部に炸裂した。

 脳漿が散り、伸ばされた四肢が跳ねる。

 しかし、それ以上は動かない。


 追加で一分ほど様子を見る。

 紫電は消失しており、眼帯女はぴくりとも動かない。

 呼吸も止まっているようだった。


(さすがに死んだか)


 俺は慎重に近寄り、眼帯女の首にナイフを添える。

 側面を一気に掻き切ると、血で手元が汚れた。

 そのナイフでさらに心臓を一突きする。

 しっかりと抉りながら、体重をかけて押し込んだ。


 心臓を掻き回したところで、ナイフを引き抜く。

 眼帯女に反応はない。

 そこに転がるのは、ただの死体だった。


「……ったく」


 安堵した俺はソファに座り込んで息を吐く。

 残酷な仕打ちに見えるが、これも安全のためだ。

 復活してくる可能性を考慮した結果である。

 油断したところで反撃されるなんて洒落にならない。


 ほどなくして立ち上がった俺は、クローゼットから拝借したセーターを丸める。

 それを腹の穴に押し込んだ。

 応急処置にもならないが、今すぐに修理できるものでもない。

 こうした破損は慣れているので平気だ。

 ひとまずは人工血液を堰き止められればそれでよかった。


 次にキッチンへ向かって冷蔵庫を漁る。

 缶ビールを取り出してそれを飲んだ。

 緊張感のある殺し合いが終わって無性に飲みたくなったのである。


 唇が切れているせいで血の味が混ざっていた。

 全身が汗と人工血液で汚れているので、気分もそこまで良くない。

 決して華々しい勝利とは言えないだろう。

 それでも生き残ることができたのだ。

 文句を言うことはできない。


 何はともあれ生存が最優先である。

 傭兵として色々と学んできた上で確立した信条は、実にシンプルだった。

 故に見失うこともない。


 再びソファに腰かけて落ち着いていると、ドアの開く音がした。

 俺は素早く拳銃を引き抜いて注視する。


 現れたのは、バリアーを展開したミアナだった。

 彼女は俺と死体を交互に見る。

 やがて状況を察したのか、魔術を解除した。

 ミアナの視線は詳細な説明を求めている。


 俺は肩をすくめて笑った。


「浮気じゃないぜ。ちょっと仲良くしただけさ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ああ、「傭兵の言い分」って……(苦笑い) 徹底的に破壊された眼帯女の死体を見て、 間違っても痴話喧嘩とは思いますまい。 ミアナもさぞかしドン引きではないかと。 [気になる点] 眼帯女は…
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