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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第17話 来訪者

 俺は部屋の外へと向かう。

 目的地は廊下にある煙草の自販機であった。

 ちょうどストックが切れたところだったのだ。

 他のフロアにも自販機はあるだろうが、煙草はいくらあっても損しない。


 我ながらチェーンスモーカーに片脚を突っ込んでいた。

 監禁中は吸えなかったのがキツかった。

 殴る蹴るの暴行よりも、そっちの方が辛かったほどである。

 ワンカートンを条件にされたら、機密事項を吐いていたかもしれない。


 傭兵なんてやっているが、俺の精神はそこまでタフじゃない。

 知り合いにはクレイジーサイコな連中が大勢いるも、俺は常識人である。

 欲望には逆らえないのだ。


 胸中で開き直っていると、廊下の端に自販機を発見した。

 近くにエレベーターが設置されている。

 ボタンを押してみたものの、特に反応はない。


 階数表示は、四十階から六十階辺りを高速で上下していた。

 たまに瞬間移動し、百階の次に四階が点滅するようなこともある。

 完全に故障していた。


(……ひょっとして、この表示の通りに移動しているのか?)


 俺は奇妙な仮説を閃く。


 アースタワーは迷宮に変貌している。

 移動手段であるエレベーターにも何らかの異常が生じているのではないか。

 物理法則を無視した動きをしても不思議ではない。


 今や異常現象なんてあちこちに転がっている。

 正常な要素を探す方が難しいほどだった。


「ったく、悪夢なら早く醒めてほしいもんだ」


 俺は愚痴りながら自販機の前に戻った。

 何度か蹴ると、取り出し口から煙草が溢れ出してくる。


「オーケー、いい子だ」


 山のような量の煙草を嬉々としてバッグに詰めていく。

 好みの銘柄を選ぶ余裕はない。

 とりあえず吸えれば何でも良い。

 これだけあれば数日は持つだろう。


 バッグのジッパーを閉じたところで、近くの階段から足音が聞こえてきた。

 誰かが上がってくる。

 それを理解した俺は、すぐさまショットガンを向けた。

 バッグを捨てて引き金に指をかける。


(誰だ?)


 モンスターなら即座に発砲する。

 人間の場合は選択肢が複数に増える。


 友好的な人物なら協力したい。

 敵対的ならモンスターと同様に始末する。


 その判断が重要であった。

 どちらか分からなければ、とりあえず撃ち殺せばいいだろう。

 判断が遅れて負傷するよりマシだ。


 そうと決めて身構えていると、やがて階段から人影が現れた。

 白銀のローブに揺れるブロンド。

 薄ら笑いを浮かべて現れたのは、眼帯をつけた美女だった。

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