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恋せよ文学乙女  作者: ほか
第4話 物語遊園地でトリプルデート
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⑮ エピローグ 彼の返事

 終電をとうに逃してしまったわたしたちは、なんとか小さなホテルを見つけて、もう一晩泊まることにしたんだ。

 みんなもうくたくたで、倒れ込むように寝ちゃった。

 でもわたしは寝れなくて、ホテルのベランダに出て星を見てたんだ。

 わたしのために、今回一緒に旅行したみんな、一人残らずすごく頑張ってくれたんだよね……。

 わたしって、やっぱり幸せだな……。

 目を閉じて、夏の夜風にひたっていると、隣のべランダから声がした。

「夢ちゃん」

 あ……。

「そっちも、みんな寝た?」

 わたしは頷く。

「はい。あの、星崎さん」

「ん?」

「浴衣もいいけど、やっぱり、王子様の服、すごくすてきでした……」

 言っちゃった。

 星崎さんは、困ったように笑う。

「柄にもなく必死になってね。あんまりいじめないでくれるかな」

「そんな。いじめてるわけじゃ」

 星崎さんが笑う。

「知ってるよ」

 しんと、静かな風が吹く。

「夢ちゃん」

 星崎さんの、少し切なそうな声がする。

「はい」

「お父さんと、また暮らしたいかな」

 わたしは、正直に答えた。

「たまに、夢を見るんです。お父さんとお母さんと、前みたく、普通に暮らしてる」

「……そう」

「でも、こういう夢も見るの。お父さんにまた殴られたり、酷いことを言われる」

「うん」

「だから、わからないんです。わたしお父さんのこと好きなのか、怖いのか。この先、どうしていきたいのかも」

 だけど。

 一つだけ、わかってることがあるんだ。

「今日と明日と明後日は、栞町のマンションで、星崎さんといたいって思うんです」

 そして、ぽつんと、ついでのほんとのことも、口からこぼれる。

「わたしが、星崎さんの、失くした家族になれたらいいのにな」

 なんてことないことのように、星崎さんは答えた。

「ばれちゃったみたいだね。十三年前の悲劇の子どもがオレだって」

 さっぱりした口調が、余計切ない。

「ずっと一人でいたからかな。大切な人がいて、その人と一緒に暮らすっていう感覚がよくわからなかったんだ。でも、最近、少し変わった」

 わたしはびっくりして、じっと横を見た。

 星崎さん、自分のことを話してくれてる……?

「夢ちゃんが悲しんでると、心の奥の方でなにかがうずいて、どうしようもなくなる。

 とっくの昔に反応するのをやめた部分がまた、動き出してる気がするんだ」

 星崎さんは、じっと夜空を見ていたけど、ふいにわたしの方を見た。

「夢ちゃんは、オレにとって、なにをおいてでも、幸せになってほしい女の子だよ」

 そしてふっと微笑んで。

「これが今の、精一杯の返事かな」

 わたしは、ベランダの隅に駆け寄って、星崎さんの目をじっと見つめた。

 両想いかどうかわからない。そういう返事だったけど。

 でも、彼にそう言ってもらえて感じた今の気持ちを明日、帰りの電車の中でももちゃんとせいらちゃんに報告するんだ。

 だって、そこに映ってるわたしは、とっても、幸せそうな顔をしていたの――。


このあと次回予告とおまけもあります!

次回は番外編です(*´▽`*)

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