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恋せよ文学乙女  作者: ほか
第4話 物語遊園地でトリプルデート
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⑦ 作戦、はかどる

 みんながてんでんにお土産を選んでる間、わたしは入り口近くの、ストラップがたくさんかかった棚の前にいた。

 すぐ隣にある入口には、買ったお土産をいっぱい持たされた神谷先生と、マーティンがいる。

「少年、お互い苦労するな。せいらのやつ、でかいもんばっか選びやがって」

 そう言う神谷先生の隣でマーティンはいっぱいに積み上がった箱をなんとかバランスとってる。

 神谷先生はわたしの方を見た。

「ちっとは、夢未ちゃんを見倣えってんだよ」

 あはは……。

 わたしはただ、一度にたくさん物を買う習慣がないってだけです。

 でも。

 わたしは目の前のきれいなストーンのついたストラップを手に取った。

 水色の石とピンクの石がついた、王子さまとお姫様のペアのストラップ。

 これは……買っていこう。

 そう決めたとき、

「夢未。それ」

 いっぱい持った箱のバランスを取りながら、マーティンが歩いてきた。

「マーティン。すごい荷物だね」

「そんなことより、そのストラップ。好きな人に買うのか?」

「ええと、これはね」

 わたしは周りを気にしながら、小さい声で答える。

「こりゃ、いいえさになるな」

 わっ。いつの間にか近くに来てた神谷先生が、呟く。

 いいえさって?

 どういうこと?

 混乱してると、今度は大きな声で、神谷先生が言ったんだ。

「待った。夢未ちゃん、お小遣いは貴重だろ。先輩、買ってやったらいいじゃないですか」

 それまで奥のアクセサリーコーナーに小夏さんに連れられていた星崎さんがこっちを向く。

 わたしはあわてて、

「いえ、いいんです。自分で買えるから――」

 そそっと、ネックレスを選んでたせいらちゃんが商品を持ったままやってきた。

「夢っち、ここは甘えたら? 彼に買ってもらったペアグッズを二人でつけるなんですてきじゃない!」

 その隣にはキャラクターTシャツを持ったももちゃんがいる。

「そうだよ。断然、買ってもらった方が」

 わわっ。

 話が進んじゃうっ。

 わたしは急いで言ったんだ。

「違うのっ。これは、その、他の人にあげるものだからっ」

 周りが、シーンとする。

 あれ。

 なんか変な空気?

 沈黙を破ったのは、星崎さんだった。

「夢ちゃん、遠慮しなくていいよ。オレが出すから。

 ただ一つ教えてくれるかな。

 それ、誰にあげるの?」

 そのゆっくりした口調が、なんだかいつもと違って。

「えっとそれは」

 どうしよう、これ言ったら星崎さん、また心配するかな。

 うん、絶対する。

 ここは乗り切らなきゃ!

 わたしは口を開いた。

「ひ、秘密、です!」

 シーン。

 だから、この空気、なに~(泣)?

 静かに、星崎さんが一言言った。

「……そうか」

 その目がいつもみたく笑ってない。

 星崎さん、なんか怒ってる……?

「夢……やるぅ」

 ももちゃんが呟いた。

 え? なんのこと?

 星崎さんがまた、言ってくる。

「オレに言えない人なのかな」

 う。言えないといえば、言えないんだけど……。

 今日の星崎さん、食い込むなぁ。

 その星崎さんの肩にぽんと手を置いたのは、神谷先生。

 なんか、おもしろそうに笑ってる。

「やめましょう、先輩。男の嫉妬は見苦しいですよ」

 星崎さんはその手を振り払って、

「龍介、少し黙っててくれないか」

 わっ。

 これは本格的に怒ってるっ。

「初めて見たわ……。こんな幾夜」

 小夏さんまで、驚いてる。

 ちょっと悲しそうなのは、どうして?

 でもその表情もぱっと笑顔に変わったの。

「ねぇかわいいみんな。お買いものして、喉かわかない? あっちのワゴンでお姉さんがアイスおごってあげる!」

 いちはやく反応したのはももちゃん。

「わーい、アイス! マーティン、夢、行こ!」

 わっ、嬉しいけど、手を引っ張らないで~。

「幾夜と神谷くんは、外のベンチで休んでていいわよ。お子様たちはしばし、このあたしが引き受けたわ」

小夏さんがそう言うと、せいらちゃんがももちゃんのところに素早く駆け寄ってこう耳打ちするのが聞こえた。

「あたしは残って星崎さんの様子を見るから、小夏さんと夢っちのことは、ももぽんたちに任せたわ」

「ラジャ」

 ももちゃんの親指つきたててるけど、え、なんのこと??

 わたしは首を傾げながら、みんなとワゴンに向かったんだ――。


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