遺されたもの
怪談でさ、よくあるでしょ、ほら、お供えしたお酒の量がいつの間にか減ってたとか、亡くなった人の大好物がいつの間にか無くなってたっていう話。
あれってさ、なんで?って思うよね。飲み物なら100歩譲ってなんとなくイメージ出来る気がしても、食べ物だったらほんと意味分かんないよね。幽霊がボリボリ食べるのかって話よ。
作り話だろ絶対、って普通思うよね。分かるよ、でもね。
俺さ、あるの。体験したこと。
友人の命日に一人で墓参りに行ってね。その帰りにコンビニでビールとつまみを買ったんだよ。
自分と友人の分をグラスに注いで、二人で向かい合って呑んでるみたいに真ん中につまみを置いてね。つまみったって、さきいかとか柿ピーとかの乾き物だよ。
それで呑み始めたらさ、結構序盤でいつの間にか寝ちゃったみたい。
ああ寝ちゃってたかって、目が覚めて。ビールを一口飲んでね。友人のグラスを見たらビールはそのままでさ。
やっぱり怪談みたいなことは無いのかと思って、ちょっと寂しい気持ちになったんだよ。幽霊でもちょっと会いたいって思うじゃない。遺された側としては。
少し感傷的になっちゃってね、飲み直しだってことでつまみに手を伸ばしたの。
そしたらさ、…無いんだよ。
柿ピーの、柿の種だけが。
皿にはピーナッツだけ残ってたの。
マジでムカつくよね。




