6/35
理想
駅から近く、陽当りも良く、家賃も安い。理想の物件を借りることができた。
と思ったら、ここに住んでから頻繁に金縛りに遭うようになった。
夜中、息苦しくなって目を覚ますのだが体が動かない。
足元に気配を感じる。
気配はその場から動くわけでなく、ただそこに佇んでいるようだった。
いったいそこに何がいるのか録画して確認することにした。
この部屋に出る地縛霊なのだろうか。
録画に成功した。
画面に映った私は魘されていた。
その私の足元には女性が正座していた。正座のまま俯き、じっとしている。
他人から恨まれたり呪われたりするような心当たりはない。
やはり地縛霊なのだろうか。
画面を指で拡大し、霊の姿を確かめた。
すると今まで俯いていた顔がこちらを向いた。画面越しに女と目が合った。
何かを激しく憎むような冷たい目つきに背筋がゾクっとした。
冷たい目つきというか…涼しげ二重の切れ長の目だった。美しい黒髪の切りっぱなしボブ。透き通るようなブルべの肌。ふっくらとした下唇。私はゾクゾクが止まらなかった。
私はさっそく枕を足元に置いた。
今日から寝る向きを逆にしよう。
どうにか膝枕をしてもらえないだろうか。




