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【脱力怪談】恐怖の澱 ~恐怖が腐って混沌(カオス)になった…~  作者: 夏の月 すいか


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理想

 駅から近く、陽当りも良く、家賃も安い。理想の物件を借りることができた。

 と思ったら、ここに住んでから頻繁に金縛りに遭うようになった。

 夜中、息苦しくなって目を覚ますのだが体が動かない。

 足元に気配を感じる。

 気配はその場から動くわけでなく、ただそこに佇んでいるようだった。

 いったいそこに何がいるのか録画して確認することにした。

 この部屋に出る地縛霊なのだろうか。

 

 録画に成功した。

 画面に映った私は魘されていた。

 その私の足元には女性が正座していた。正座のまま俯き、じっとしている。

 他人から恨まれたり呪われたりするような心当たりはない。

 やはり地縛霊なのだろうか。

 

 画面を指で拡大し、霊の姿を確かめた。

 すると今まで俯いていた顔がこちらを向いた。画面越しに女と目が合った。

 何かを激しく憎むような冷たい目つきに背筋がゾクっとした。

 冷たい目つきというか…涼しげ二重の切れ長の目だった。美しい黒髪の切りっぱなしボブ。透き通るようなブルべの肌。ふっくらとした下唇。私はゾクゾクが止まらなかった。


 私はさっそく枕を足元に置いた。

 今日から寝る向きを逆にしよう。

 どうにか膝枕をしてもらえないだろうか。


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