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【脱力怪談】恐怖の澱   作者: 夏の月 すいか


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大事(おおごと)

 どこからか脱走した猿が市街地を逃げ回ったというニュースを観たことがある人は多いのではなかろうか。

 住宅地を駆け回る猿を一目見ようと集まる野次馬(やじうま)。

 万が一にも子供が猿に襲われてはいけないと対処に追われる幼稚園と保護者。

 自治体、専門家、ボランティアを巻き込んだ猿と警察の大捕物(おおとりもの)。


 その結末を憶えているだろうか?

 記憶に残っている人も多いのではないか。


 猿は屋根から屋根に跳(と)び移(うつ)り、ぶら下がろうとして電線を握った瞬間に感電死して落下した。



 あれだけ飛び跳(は)ね駆け回っていた猿が一瞬のうちに命を散らし、固まったように地面に落下していった衝撃的な映像は、マスコミのTVカメラによって全国のお茶の間に流された。



 俺もテレビで観ていた。

 ショッキングな映像だったのでよく憶えている。



 その頃俺は呪われていて、ちょうど悪霊に首を絞められていた時に流れていた。



 それはもう、よく憶えている。

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