……紛れる声
俺は幽霊の声を録ることに成功しました。
何年も前に潰れた場末のスナックに、友だちと忍び込んだときのことでした――。
「おい!押すなよ!」
「笑笑。ビビって腰が引けてますよ。スマホで撮ってますから後で観て笑ってあげますww」
「二人とも声が大きいよ。。ねぇ、こういうことってあんまり良くないと思うんだけど。。。」
「何を今更」
「そうですよ。ついてきておいて今更ですよ」
「そうだけどさぁ。。。」
ガタンッ
「ひいぃ!」
「椅子にぶつかっただけでどんだけビビってるんですか。ラグビーやってるんですよね。デカいのは図体だけですかww」
「…ねえ、今あそこに人影みたいなのいなかった?」
「怖いこと言うな!」
「やっぱりビビってるんですねwまったくどんだけビビってるんですか」
「ねぇねぇ……なんか香水みたいな匂いもしない?」
そのとき、何かが友人の体に触れたんです。
友人が突然悲鳴を上げました。
俺たちはそいつが単にビビってるだけだと思ったんです。
でもどうやら腕や脚や胸や尻、体中を何かに触られてたらしいです。
「うわああ。うわあああ。うわあああああ」
「だからビビり過ぎですってw肝っ玉小さいですね。どんだけですか。どんだけビビってるんですかww」
もう、どんだけ~
「もう帰ろうよーー。誰か来ちゃうよー。。。」
「うわあああ。もう帰るぞ!俺は帰る!」
「全部録画してますからねw後で観るのが楽しみですねww」
――どうですか?分かりましたか?
幽霊の声、録音されてたでしょう。
生前の姿が目に浮かぶようですよね




