視える人視えない人
わたしの仕事は遊園地のアトラクションキャストです。
担当はコーヒーカップです。
実はわたし……視えるんです。幽霊。
|この遊園地のコーヒーカップ《ここ》にいるんです。
女の人の霊。
どんな怨念(?)があるのかは分かりませんが…。
3番の薄水色のコーヒーカップにいつも乗ってます。
恨みっていうより何か未練なのかなあ?
その女の幽霊、ずっと無表情っていうか…暗い顔してます。
悲しそうにも見えますね。
幽霊は視える人と視えない人がいますから。
視える人はそのコーヒーカップを避けてます。動きや視線で分かります。視えてる人かどうか。
視えない人は躊躇なく乗りますね。子供も親も恋人もみんな。
隣に幽霊が乗ってるとも知らずに。
男の子が2~3人で乗った時なんてすごいですよ。
ハンドルを死ぬ気で回してぐるんぐるん回転させますからね。遠心力で放り出されちゃうんじゃないかってくらい。
全体がゆったり穏やかに回る中でそのコーヒーカップだけが必死になって回転してるんです。
それだけでも見てて面白いんですけどね…。
男の子たちの隣で女の幽霊がいつもの神妙な顔で無表情で座ってるんです。
超高速回転してるのに。
アホみたいな光景ですよ。
視えない人に見せてあげたいです。




