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【脱力怪談】恐怖の澱   作者: 夏の月 すいか


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40/40

視える人視えない人

 わたしの仕事は遊園地のアトラクションキャストです。

 担当はコーヒーカップです。

 実はわたし……()えるんです。幽霊。



 |この遊園地のコーヒーカップ《ここ》にいるんです。

 女の人の霊。

 どんな怨念(?)があるのかは分かりませんが…。


 

 3番の薄水色のコーヒーカップにいつも乗ってます。

 恨みっていうより何か未練なのかなあ?

 その女の幽霊(ひと)、ずっと無表情っていうか…暗い顔してます。

 悲しそうにも見えますね。



 幽霊は視える人と視えない人がいますから。

 視える人はそのコーヒーカップを避けてます。動きや視線で分かります。視えてる人かどうか。

 視えない人は躊躇(ちゅうちょ)なく乗りますね。子供も親(ファミリー)恋人(カップル)もみんな。

 隣に幽霊が乗ってるとも知らずに。



 男の子が2~3人で乗った時なんてすごいですよ。

 ハンドルを死ぬ気で回してぐるんぐるん回転させますからね。遠心力で放り出されちゃうんじゃないかってくらい。

 全体がゆったり穏やかに回る中でそのコーヒーカップだけが必死になって回転してるんです。

 それだけでも見てて面白いんですけどね…。



 男の子たちの隣で女の幽霊(ひと)がいつもの神妙な顔で無表情で座ってるんです。

 超高速回転してるのに。



 アホみたいな光景ですよ。



 視えない人に見せてあげたいです。

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