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【脱力怪談】恐怖の澱   作者: 夏の月 すいか


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「チキチキさん」にまつわる噂

 ――こんな噂を知っていますか?

 

 某県の郊外にある中学校。

 その学校には「チキチキさん」という霊が現れるそうです。


 「チキチキさん」は誰かが呼ぶと現れます。


 「チキチキさん」を呼ぶには手順があります。


 放課後か早朝、誰もいない教室。

 まず、前と後ろの両方の黒板に鳥居を描きます。

 次に、どこかの机にチョークで丸を描いて、「チキチキさん」がどこに座ればいいか教えてあげて下さい。

 その隣の机の上に、あなたの生徒手帳を置いて下さい。

 そして電気を消し、カーテンをすべて閉めます。

 教室を出たらドアをきちんと閉め、こう言います。


 「チキチキさん。今度は一緒に遊びましょう」


 教室でガタン、と椅子が動く音がしたら成功です。

 あなたが丸を描いた席に、女の子の人形が座っているはずです。


 「チキチキさん」という霊が自身の存在を知ってほしくてその人形を置くのか、その人形自身が「チキチキさん」なのかは分かりません。

 人形が現れるということだけしか、わたしたちには分かりません。

 

 しかし……

 

 もしも、カーテンの隙間が開いたままチキチキさんを呼んでしまったら…。

 もしも、教室のドアを誰かが開けてしまったら……。

 もしも、誰かがこっそりロッカーに隠れて覗いていたら………。


 チキチキさんは決して現れません……教室には。


 誰かが見ていると「チキチキさん」は恥ずかしがって家に帰ってしまうようです。

 

 もし、あなたが家に帰ったときにどこかに座っている人形を見つけたら…。


 くれぐれもお気をつけください。


 では…。



 ――その中学校の近所にあるリサイクルショップでは、どこかの夫婦が同じ人形を大量に売りに来たため、在庫が過剰して店長が困っているという噂。

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