37/40
死の姿:気の毒:バックミラーの怪
久しぶりに会った友人は車を買い替えていた。
「渋いね。カッコいい」
「古い車だから探すの苦労したんだ」
バックミラーには、黒いビニールテープが貼ってあった。
「なにこれ。後ろ見えなくて危ないでしょ」
「ドアミラーで見るから平気」
「ミラー、割れたの?」
「いや…」:
「なんだよ。気になるじゃん」
「とっていいよ。テープ」
友人はテープを剥がして自分で試してみろと言う。
「……幽霊が映るんだよ。このミラー」
自分は幽霊を見たくないからと、バックミラーの角度を助手席の私の方に向けた。
幽霊が現れるときの姿というのは、その人が亡くなったときの姿なのだろう。
だとしたら、なんと哀しい姿なのだろうか。
ミラーには後部座席が映っていた。
そこに居たのは、ズボンを下ろして座薬を肛門に入れようとしているおじさんの霊だった。
おそらくその体勢のまま心臓発作で亡くなったのだろう。
「ね、見たくないでしょ」
「うん」
「笑っちゃうでしょ」
「泣きそうだよ…」




