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【脱力怪談】恐怖の澱 ~恐怖が腐って混沌(カオス)になった…~  作者: 夏の月 すいか


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驚愕

 この前、親子の幽霊を見たんだよ。本当だよ。

 かなり驚いたね。

 その日は仕事が遅くなって、帰りが深夜になってさ。

 深夜2時半くらいかな。電車もないからタクシーで帰って。近くのコンビニで降ろしてもらって。軽い夜食を買って、家に向かって歩いてたの。深夜なのにすごく暑かったね。おかしいよ最近の夏は。まあいいか。

 そしたらさ。バス停のベンチに人が座ってるの。おかしいでしょ。こんな時間にバス来ないよ。

 髪が長くて細い母親と、中学生くらいの小柄な女の子でさ。二人とも何も会話もしないで、固まってるみたいにジーっと真っ直ぐ前を向いて座ってるの。

 でもまだその時は、気味悪いけど(ただ)の人間だと思ってたよ。でもさ、だんだんと二人の周りに蛾が集まってきて。肩とか頭に蛾が止まっても一切(いっさい)微動(びどう)だにしないんだよ。さすがにおかしいと思うだろ。あれは生きてる人間じゃないよ。

 でももう俺もバス停の(そば)まで来てるからさ、これで引き返すのもそれはそれで怖くて。

 なるべく気配を消すようにしてそーっと前を通る事にしたんだよ。(さいわ)い、バス停は車道を挟んだ反対側だったからさ。細い車道だけど、幽霊のすぐ目の前を通るよりはマシだろ。

 怖いけど、やっぱり好奇心もあってさ。前を通るときに、ちらっと親子の方を横目で見てみたんだよ。

 そしたらさ、母も娘もこっちを見てて、目が合っちゃったんだよね。

 まずい!って思ったんだけど怖くてその場で動けなくなっちゃって、目も離せなくて。

 心臓バクバクしながら見てたらさ…。

 よく見たら母親が中森明菜そっくりでさ。

 娘も芦田愛菜ちゃんにそっくりだったんだよ。

 かなり驚いたね。


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