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【脱力怪談】恐怖の澱 ~恐怖が腐って混沌(カオス)になった…~  作者: 夏の月 すいか


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願い②

 バルコニーに干してあった洗濯物に手形が付いていた。

 仕事のワイシャツ…お気に入りの古着のTシャツ…。

 気味が悪い。いったい何だというのだ。

 服の前にも後ろにも、大人の女性と思われる無数の手形が付いていた。

 何かのメッセージなのか…。

 シャツの(えり)(すそ)にも(つま)んだような跡がある。


 私が干したときと何か違う…ほんの少し違和感がある…。

 これはもしや…。

 

 私は全てを悟った。

 お母さんの幽霊が、私の洗濯物の皺が気になって叩いて伸ばしてくれたんだ。

 襟が曲がっているのも気になってハンガーを掛け直してくれたのだろう。



 ――どこのお母さんか分かりませんがありがとうございました。



 私は手形が自然に消えるのを唯々(ただただ)願うばかりである。


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