表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【脱力怪談】恐怖の澱 ~恐怖が腐って混沌(カオス)になった…~  作者: 夏の月 すいか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/35

メッセージ

 実家を引き払うことになったので、部屋の片付けをしてくれと親に呼ばれた。

 実家に帰るのは数年振りだった。

 十数年前に一人暮らしを始めて以来、ほとんど帰省していなかった。

 物置の様になった俺の部屋は、一人暮らしを始める際に荷物をまとめたときのまま段ボール箱が積まれていた。

 中身はアパートに持って行く気はない不要な物なので、そもまま捨てても良かったのだが、せっかく帰って来たのだからと段ボールを開けると、雑多に詰め込まれた不要品の一番上には一体のソフビ人形があった。


 「ウルトラマンレオだ…」

 ウルトラマンシリーズの7番目のヒーロー。俺はリアルタイムではないが、買ってもらったビデオテープを何度も繰り返し観るくらい好き出った。

 懐かしさから手にしたウルトラマンレオのソフビには違和感があった。

 重さだ。

 ソフビ人形は胴体の部分に接続部があり、外すと上半身と下半身に分かれる。その中身は本来、空洞になっていて軽い。

 だが、このソフビはぎっしりと重い…。

 身体の中に何かが詰め込まれている感触があった。

 俺は両手でウルトラマンレオを持ち、接続部に親指を掛けて、恐る恐る胴体を割った。

 二つに割れた体から溢れんばかりに飛び出してきたのは、白髪の束だった。

 「うわっ」

 俺は思わず手を離した。

 力士の(まげ)のように結われた白髪が、人形の中に詰まっていた。

 白髪は洗いたてみたいに濡れていて、ついさっきまで髪そのものが生きていたかの様に思えた。

 俺はふと思い出した。

 「そういえば…このレオ、おばあちゃんに買ってもらったやつだ」

 おばあちゃんとは、富山にいる母方の祖母のことだ。

 これがおばあちゃんの白髪だとしたら、何か俺へのメッセージなのか?

 そもそもおばあちゃんの白髪かどうかも分からないし、何故レオに詰められていたのかも、何故濡れていたのかも分からない。

 第一、メッセージにしては気持ちが悪すぎる。 

 全て分からない事だらけだが、レオの胴体を二つに割った時に一瞬、妙な懐かしさを感じたことは確かだった。


 不気味だし怖いので捨てたいが、捨てていいのかも分からず迷っていると、階下から母の声がした。

 「夕飯よー。降りてきなさーい」

 一先(ひとま)ず分からないことは放っておくことにして、夕飯の席に着いた。


 食卓の皿に乗っていたのは茹でた紅ズワイガニだった。

 「久しぶりにあんたが帰って来るって言ったら、おばあちゃんが送ってくれたのよ。あんたが好物だったの憶えてくれてたのね」

 母の言う通り、おばあちゃん家に行ったときには食事に紅ズワイガニを出してくれた思い出がある。

 おばあちゃんに送ってもらった紅ズワイガニの足の関節部に親指を掛けて二つに割ると、旨そうな身が溢れんばかりに飛び出してきた。。。

 

 夕飯の後、部屋に戻った俺は、床に落ちたままの…束の白髪が出ているレオの下半身を見て呟いた。


 ごちそうさまでした…と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ