【狐狗狸さん:序文】②
母の話を聞いた小学生の私は、「狐憑き」という単語からの連想で、女子生徒がピョーンピョーンと教室中を飛び跳ね回っている姿を想像した記憶があります。
突然人が変わったように暴れ始めたという内容と、それを母という身近な信頼できる存在から聴いたというショックで、小学生の私はコックリさんに対して、その他のオカルト話とは違った、特別な畏怖の念を抱きました。
そして私と同様にコックリさんに特別な恐怖を抱いていた同年代の子供たちは広い範囲で存在したのではないかと思います。
それは何故か。
私が小学生だった1990年代にもオカルトブームがあったからです。
90年代オカルトブームの代表は【人面犬】【人面魚】【UFO】【心霊写真】。
そしていよいよ世紀末が近づき再び脚光を浴びた【ノストラダムズの大予言】。
(余談になりますが、70年代の「超能力ブーム(=ユリ・ゲラー)のスプーン曲げ」が、90年代に「超魔術ブーム(=Mr.マリックのハンドパワー)」となって、オカルトブームの中に存在し続けているというのも面白いですね)
私(筆者)はリアルタイムで90年代のオカルトブームを体験しましたが、当時ワイドショーで連日のように【人面犬】が取り上げられ、年末には【UFO・心霊】特番がゴールデンタイムに放送されていました。
そんな1990年代のオカルトブームの中で再び、【コックリさん】にも注目が集まりました。
私たちの小学校では「コックリさん」という言葉そのものが禁句で、『「コックリさん」と声に出して言ってはいけない』という噂…というか謎ルールがありました。
間違ってうっかり「コックリさん」と声に出してしまったら、『誰かに背中を叩いてもらわなければいけない』という逃げ道まで設けられていました。
このようなことからも、コックリさんは他の心霊とは違う特別扱いを受けていたことが分かります。
ローカルな例えでしたが、同年代の小学生の間では何処の学校でも似たようなものだったのではないかと私は思っています。
このように、古くから存在し、近年でも二つの世代に跨りオカルトブームを牽引したコックリさん。
それは単なる降霊術としてだけでなく、人知を超えた恐怖の存在として親から子へと継承され続けました。
コックリさんと口に出す事すら憚られる私たちにとって「はたして動物霊に五十音が分かるのか」などと野暮なことを言ってはいけません。
何故なら…降りてきた霊は動物とは限らないのですから…。




