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【脱力怪談】恐怖の澱  作者: 夏の月 すいか


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人面疽 -さよなら、ジロウ-

 こんばんは。

 みなさんは人面疽(じんめんそ)人面瘡(じんめんそう))というものをご存じですか。

 至極(しごく)簡単に言うならば、身体の一部についた傷が()んで出来た人の顔をした腫物(はれもの)です。

 海外では唐の時代、国内では江戸時代の古くから人面疽について記された文献(ぶんけん)があります。

 人面疽は妖怪とも奇病とも言われており、(うら)みや怨念による呪いが原因とされることもあります。

 人面疽には目や鼻や口があり、喋ることや物を飲み食いすることが出来ます。

 現代に伝わる話のほとんどの人面疽は、肉体の主人に対して害をもたらします。

 喋ることで主人を(おとしい)れたり、自身が物を食べることで主人を衰えさせたりする悪質な存在です。

 中には周囲に毒を吐き、浴びた者を醜くさせるという事例もあります。

 耐え兼ねた主人が刃物で切り取ろうとするとそれを妨害したりします。

 仮に切り落とすことに成功したとしても自らの肉体を切り取る訳ですから大怪我を負ったり、または再び生えてきたりするという非常に厄介な存在の、まさしく()(もの)です。


 さて、説明が長くなってしまいましたが、何故(なぜ)こんな話をしたかというと、実は私の体にも人面疽が出来てしまったのです。

 文献通り私も、負った傷が化膿(かのう)してしまい、そこに人面疽が出来てしまいました。

 しかしみなさん、ご心配なさらず。

 私には勝算があります。

 おそらく数日の内に人面疽の方から、私の体から消え去りたいと思うことでしょう。

 なぜって?

 そうでした。まだみなさんには人面疽が体のどこに出来たか言っていませんでしたね。

 人面疽が出来た(部位)は。

 

 (ケツ)です。


 肛門付近に出来ました。そして私は毎日快便です。

 はたして人面疽(かれ)は私のニオイに何日耐えられるでしょうか。

 人面疽(かれ)がいなくなるその日まで、ジロウと名付けて可愛がってあげるつもりです。

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