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【脱力怪談】恐怖の澱 ~恐怖が腐って混沌(カオス)になった…~  作者: 夏の月 すいか


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目の前

 風呂に入っているときにふと、以前テレビで芸能人が語っていた話を思い出した。


 『霊感がある友人が言ってたんですけど…。シャンプーしてるときって目を(つぶ)るじゃないですか。もし背後に幽霊がいたらどうしようって想像しちゃうことありませんか?…ありますよね。そんなときって本当にいるんですって。……背後じゃなくて目の前に。』


 ちょうど今俺は風呂イスに座り背中を丸め髪を洗っている。

 あんな話思い出すんじゃなかった。

 一度想像してしまうともう駄目だ。目を開けて何もないのを確認しないと安心できない。

 俺は目にかかる泡を払い、恐る恐る目を開けた…。

 

 芸能人の話は本当だった。

 

 目の前には顔があった。

 俺のシャンプーが目に入ったらしくその顔は苦悶(くもん)の表情を浮かべていた。


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