第7話「ダンジョン」
はじめまして「D-NEY」と申します♪
気ままに更新いたしますが、目に留めていただいた際はぜひ楽しんでいってください( 'ч' )!
あれから夜を迎え、僕たちはまたあの不思議なテントの中で一夜を過ごした。
ずっと気になってたからベータに聞いてみたら、やっぱりあのテントはイオ兄が魔法で出したものらしい。
それにしても魔法ってつくづくすごいものだなぁ。
パンチの威力をあげたり、泡や風で魔獣に攻撃したり、住む場所まで出してしまったり。
果たして僕にも本当に魔法が使えるのだろうか……?
イオ兄は『観て学ぶ』だなんていっていたけれど、正直3人の動きを見ても何一つヒントは得られなかった。
気持ちを込める?全然わからない。
早く魔法を使えるようになりたいなぁ……
そんなことを考えていたらいつのまにか眠りについていた。
2日目の旅が始まった。
今日の朝は至って平和で、ガンマを起こすのにも足蹴りを腹に1発もらったくらいでなんとかなった。
「あそこがコリトスだね、もうすぐ到着だよ」
イオ兄が指差す方には、まだ遠くて小さいが、たしかに街の輪郭を捉えることができた。
目的地が見えると自然と足取りは軽くなり、それに合わせてイオ兄のソワソワしている様子も目立つようになってきた。
そしてそれから30分ほど歩いたところで、ようやく僕たちはコリトスの入り口にまで辿り着いていた。
ここにLOSTERがいる。
僕みたいに1人じゃないだろうか、もしそうだったら今度は僕がその子を守るんだ。
確かな覚悟を胸に、僕はコリトスの土地へと足を踏み入れた。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
な、なんだ!!?
大きな鐘の音が鳴り響いた。
「あんたたち、早く屋根のあるところに行かないと全身ずぶ濡れになるよ」
声の方に振り向くと、コリトスの住人だろうか、1人のおばあさんが窓から空を見上げていた。
「濡れるって婆さん。こんなに晴れてるのに雨が降るわけねぇだろうが」
ガンマはそう言いながら空を指さした。
僕も空を見上げると、確かに雲はなかった。
雲はないけど何かある……??
なんだろうあれは?
ゴーン
ゴーン……
鐘の音が止んだ。
バシャーン
……!?
鐘の音が鳴り止んだ瞬間、大量の水が僕らめがけて降り注いだ。
あの空中に浮いていたのは水だったのか……!!
「だから言わんこっちゃない。あれは2日前の雨だよ。
ああやって空に留まってるんだ。ほんと気味が悪いよ」
おばあさんはそう言うとバタンと窓を閉めて、僕たちを少し睨みつけると窓から離れていってしまった。
「さっきの鐘の音。どこから聴こえてきたんだろうね」
イオ兄は体にかかった水を払いながら、あたりを見渡したが、あんなに大きな鐘の音を鳴らせるようなものは見当たらなかった。
「イオータ、何言ってんだ?鐘の音はあの時計台からだろ?」
時計台?
どこに時計台があるんだろう……?
ガンマが指差す先にはただ空が広がっているだけで時計台なんて見えなかった。
僕だけ見えてない……?と思ったがイオ兄やベータも目を細めては首を傾げて時計台は見えていないようだった。
「あんなにデケェのに見えねえってのか?とりあえずついてこいよ」
一体ガンマには何が見えているんだろうか?
僕たち3人は半信半疑のまま、ただただついていくしかなかった。
しばらくしたところでガンマが立ち止まり上を見上げていた。
何か見つけたのだろうか?
そう思いながらも特に何も見えなかったので、ガンマを抜き去って行こうとした時だった。
「おい、アルファ!ぶつかるぞ!」
ゴンっ
鈍い音とともに、僕の体の前半分にズシリと重たい衝撃が走った。
一体何にぶつかったんだと目を開けると、そこにはレンガで作られた壁が立ちはだかっていた。
「何してんだよ、こんなでかいもん見落とすとかあるのか?」
より上の方を見てみると、ぶつかったものの正体がわかった。
時計台だ……!!
ガンマが言っていたのはこの建物だったのか。
こんなに大きな建物を見落としていた??正直、僕にも信じられなかった。だけど、本当にぶつかるその瞬間まで見えていなかったのだ。
僕がぶつかったからなのか、後ろを歩いていたイオ兄やベータにも時計台が見えたらしい。
「嘘、信じられない。急にこんなに大きな建物が出てくるなんて……」
「急じゃねえよ、さっきからずっとここにあっただろ」
ガンマは大きくため息をつくと、時計台の周りを歩き始めた。
「ここにいるね」
イオ兄が時計台に優しく触れながら上を見上げていると、奥の方からガンマの声が聞こえた。
「こっちに入口があるぞ!」
ぐるりと塔の外を回っていくと大きな扉があった。
不思議な感覚だ、扉は閉まっているのに入ってこいと言わんばかりに体が吸い込まれるような感覚があった。
「お前さんら、この塔に入ろうとしてるのかい?」
声をかけてきたのはコリトスの村長を名乗るおじさんだった。
「1週間前に急にこの塔ができてね、本当に不思議なんだ、なんの前触れもなく気づいたらあったんだよ。一体誰が作ったのかわからない。その扉もハリボテなのか押しても引いても開きはしないよ、入ろうとしても無駄だよ」
おじさんの顔は疲れ切っていて、こうやって話しかけてくれている間も村の人たちにヒソヒソと陰口を叩かれているのがわかった。
「ひどく疲れていますね。こんな塔、あなたが作ったわけでもないのに。大丈夫ですよ村長。僕たちなら入れますから、きっとすぐにこの謎の塔の正体を解き明かして帰ってきます」
イオ兄はそうやって笑顔をおくると、扉にそっと触れた。
すると扉の輪郭をなぞるように青い光が走って、バタンっと音を立てて扉が開いた。
そのまま青い光が僕たちを包んで塔の中へと吸い込まれた。
バタンッ
再び鳴ったその音は扉が閉まったことを意味していた。
薄暗い空間。後ろを振り向くとそこには入ってきたはずの扉はなかった。
そのかわり目の前には大きな扉が異様な存在感を放ちながらそびえ立っていた。
「なんだ、よかった。あまり難しそうなダンジョンではないみたいだね」
イオ兄はそびえ立つ扉を見て、一安心といった感じで一呼吸を置くと、ダンジョンの説明をしてくれた。
「扉の上の方、星が描かれているだろう。これはこの中にいるLOSTERの力量表していると考えられているんだ」
「なかにLOSTERがいるの?」
「うん、この扉に描かれている星はたったの1つ。まだ魔法の使い方もままなっていないLOSTERが作り出したダンジョンなんだろうね。でもよかった、ダンジョンってのはたまに命懸けな時もあるから」
「ただ、気になるとしたら時計……」
気になるところでイオ兄は話をやめてしまった。
話をやめたと言うよりは動きが止まってしまったといった方が正しいだろうか。
何か嫌な予感がして周りを見渡すと、ベータやガンマの動きもピタッと止まってしまっていた。
まるで3人の時間がそこで止まってしまったように。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
その時、また大きな鐘の音が鳴りはじめた。
さっきとは違い、塔の中で音が反響しあいビリビリと体の芯に届くほどの大きな音だった。
ピシッ
大きな鐘の音の合間に何かが軋むような音がした。
音の方を見るとイオ兄の顔に少し亀裂が入っているのがわかった。
ゴーン
ゴーン
ゴーン……
鐘の音とともに3人の体に刻まれた亀裂は大きく深くなっていく。
これはかなり大変なことになってしまったのではないのか?
6回鳴ったところで鐘の音は鳴り止んだが、代わりにどこからともなく声が聞こえてきた。
「困るなー、大切な儀式の途中に入ってくるなんてジョーシキってのが欠けてるんじゃない?」
誰だ……?
僕より幼い子供のような声が塔の中に響き渡る。
この声の主がイオ兄たちに何かしたに違いない……
「イオ兄たちに何をした!」
「何って時間を止めたんだよ!今、石みたいに硬くなってんの!おもしろくない!?しかも時間が経てば大きな音で身体がバラバラになって死んじゃうの!サイコーでしょ!」
ケタケタと気味の悪い笑い声が塔の中に響き渡る。
命懸けになる。まさにイオ兄がいっていたことが今起きている。
僕はことの重大さに今気がついた。
「次鳴ったら、身体がバラバラになっちゃうカモね!まぁ彼らの死を見届けたところで今度は君の時間も止めてあげるから楽しんでいってよ!」
3人の命が危ない。
どうすれば3人の時間が動き出すんだ。
次に鐘の音が鳴るのは1時間後……
焦りと怒りと戸惑いと、色んな気持ちが頭の中でぐるぐる混ざって冷静に考えられない。
何をすればいいんだ、
僕一人で何ができるんだ、
時間がない、
何かしなきゃいけない、
まずは何をしたらいい?
心拍数が上がっていく。
呼吸も早く、体も熱くなっていく。
まただ、パニックになると身体が熱くなる。
苦しい、僕がどうにかしないと3人が死んじゃうんだ。
「おいこら、落ち着かんかい」
さっきの声とは違う、また聞き覚えのない声がした。
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