第6話「実力」
はじめまして「D-NEY」と申します♪
気ままに更新いたしますが、目に留めていただいた際はぜひ楽しんでいってください( 'ч' )!
「おやおや、君たち旅の途中かい?」
「えぇ、これからコリトスへ向かうところでして」
コリトスへ向かう途中、ある1人のおじさんが話しかけてきた。
「コリトスへ行くのかい? やめておいた方がいい。あそこは、最近になっていきなり変な塔ができたんだ。それが原因か街中に変なことが起こり始めてるんだ」
「変なことですか?」
「あぁ、雨が降らないんだよ」
「雨が降らないだけですか?」
「いや、正確には雨が止まるんだ。雨粒がピタッと時間が止まったかのようにその場で留まるんだ」
イオ兄は、ははーんと顎に手を添え小さく頷くと「分かりました。ではコリトスは行かないようにします」と言っておじさんに軽く会釈をして、また歩き始めた。
「イオ兄、コリトスへは行かないの?」
「いや、もちろんコリトスに行くんだよ」
「え、でもさっき……」
「さっきのおじさんが話してた変な塔だったり、超常現象だったり、きっとLOSTERが関わってるだろうからね」
やっぱり、なんとなく勘づいてはいたが、これもLOSTERが関係しているんだ。
でも塔だったり、空中で留まる雨粒だったり、やっぱりわからないことが多い。
ズンズンと徐々に歩く速度が早くなっているイオ兄の顔は、誰がどうみてもわかるくらいウキウキしていて、おそらくまたLOSTERに出会えることが楽しみなのだろう。
僕もこれから何が起こるのか少し楽しみでウキウキしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
コリトスまで後少しというところで僕たちはまた魔獣に遭遇した。
遭遇したと言ってもガンマが岩と間違えて魔獣の上に座ったりしていなければ間違いなく起きることはなかっただろう。
ただ、今回は今朝出会った犬のような魔獣とは違って、まんまるとした体型で、昔読んでいた本に出てきたゴブリンのイメージとぴったり合うような感じだった。
それにしても、どうみたってスピードもなさそうだし、体がゴツいだけで強そうには見えなかった。
ドシャア!!
前言撤回。
威嚇なのか、ゴブリンが地面を殴りつけると、そこにあったはずの綺麗な地面は豪快な音と共に、みるも無惨に抉り取られてしまった。
こわい……、だけど僕も戦いたい。
今朝みたいな情けない姿はもう見せたくない。
とにかく真っ向勝負だ……!!
…………??
あれ……??
足を動かしても全然前に進めないぞ!?
それもそのはず、気がつくと僕の体は柔らかい風に包まれてぷかぷかと浮かんでしまっていた。
「アルファ、焦らなくていい。君はもう少し魔法を『観て』学ぶべきだから」
目の前にはイオ兄が立っていた。
その後ろからガンマとベータが走り出してゴブリンに向かっていった。
『泡の檻!』
『正義の鉄拳!』
ベータは二つの泡を作り出し、ゴブリンの腕と足の動きを止め、その隙にガンマがキラキラと輝く拳を腹に思いっきり撃ち込んだ。
ゴブリンの体にはドンッと衝撃波が走り、背中からドスンと倒れ込んだ。
ベータとガンマの2人のコンビネーションがうまく合わさって、あっという間にゴブリンを倒してしまった。
……と、思っていたら。
ゴブリンはケロッとした顔で起き上がると、ぶんと大きく腕を回してベータの泡を振り払い、ガンマを殴り飛ばした。
ガンマはとっさにガードしていたから大丈夫だろうが、問題はこのゴブリンのタフさだった。
こんな化け物どうやって倒すんだ……
「うーん、時間をかければ2人でも倒せるんだろうけど。時間が惜しい」
イオ兄が長い髪を後ろで縛りながら、こっちをむいてニコッと笑った。
「いいかい、これだけ覚えていればいい。魔法は気持ちを込めるんだ。……『風刃』」
腕を伸ばし両手を握りしめながら唱えられた呪文。
その瞬間、握りしめられたイオ兄の両手には無数の風の刃がぐるぐると渦を巻くように纏い、その風の刃はゴブリンを斬りつけ、木っ端微塵にしてしまった。
圧倒的だった。
魔法のことはまだまだわからないことだらけだが、イオ兄の実力はベータやガンマとは一線を画しているということはすぐに分かった。
ゴブリンとの戦いが終わると、僕を包んでいた風はスルスルと体から抜けていき、ゆっくりと地面に降り立った。
イオ兄はそんな僕の頭をぽんぽんと優しく触れるとこっちを観ながらニコニコしていた。
「…………」
少し怖い。
なぜ、無言でニコニコしながら頭をぽんぽんし続けてくるのだろう。
そのニコニコの奥にはただならぬ圧を感じた。
ふと、イオ兄の後ろに目をやると、ベータが魔法の泡で何かを形作っていた。
……なんだ??
か……っこ……よかっ…………た?
かっこよかった!!!
なるほど、イオ兄はさっきのことを根に持っていたのか!
そうと決まればやることは一つだった。
「イオ兄、ありがとう。とってもかっこよかったよ!!」
僕はとびきりの笑顔でイオ兄に感謝の言葉を伝えた。
「ッシャ!!!!」
イオ兄は大きくガッツポーズをして飛び跳ねていた。
「ガンマ、聞いたかい!『とっても』かっこよかったってさ!!」
イオ兄はゴブリンに吹っ飛ばされて座り込んでいたガンマをヒョイと持ち上げくるくると両手を持ってガンマを回していた。
ベータも僕の方を見てグッジョブと親指を立てていた。
今日は昨日以上にいろんな驚くことが起こる日だったけど、イオ兄にまさかこんな一面があることが今日1番の驚きだった。
【LOSTER-NEWS〜裏会話編】
◯イオータの心の声
「うーん、時間をかければ2人でも倒せるんだろうけど。時間が惜しい」
(もしここでかっこよく倒したらアルファが褒めてくれるかもしれない・・・・・・!! ベータやガンマの頑張りも見届けたいところだけど、ここはいっちょかっこいいところを見せつけよう・・・・・・!!)
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