第5話「出発」
はじめまして「D-NEY」と申します♪
気ままに更新いたしますが、目に留めていただいた際はぜひ楽しんでいってください( 'ч' )!
「ここかい、ヤマ爺さんのお墓は」
みんなについてきてもらったのはヤマ爺のお墓だった。
ヤマ爺は僕が8歳の時に事故で亡くなった。
僕にとっては親も同然の存在で、今思うとLOSTERについて詳しい人だった。
アルファという通称を付けてくれたのも、アザを隠して生活することを教えてくれたのもヤマ爺だった。
ヤマ爺が亡くなった後もヤマ爺が残してくれたこの家で僕は一人暮らしてきた。
僕は今日ここでひとまずのお別れをすることにした。
イオ兄の話ではこれから旅をしていく中で、ここまで戻ってくることはしばらくないということだった。
僕にとってかけがえのない場所。
ヤマ爺とのたくさんの思い出が詰まったこの家としばしのお別れだ。
(ヤマ爺、僕、LOSTERの仲間を見つけたんだ……! いってきます)
「ありがとうございます。しばらくここから離れるならしっかり挨拶をしたくって」
振り返ると、ベータとイオ兄の2人がお墓の前で手を合わせてくれていた。
ガンマはどこに行ったんだろう……?
そう思いながら周りに目を向けると後ろからジャラッと音がした。
「これなんだ?」
ガンマが手にしていたものはヤマ爺のお墓に架けられてあった銀のペンダントだった。
「大切なものに決まってるでしょ!あなたには常識ってもんがないんですか?」
ガンッとベータの拳が炸裂して、ガンマは渋々僕にペンダントを渡してきた。
「このペンダントは……?ヤマト・アイビス……?」
少し錆びついているこの銀のペンダントには赤や青の小さな石の装飾が施されていて、後ろにはヤマト・アイビスという名前が彫られている。
「これはヤマ爺の肩身なんです。ヤマト・アイビスはヤマ爺の本名。生前、肌身離さずずっとつけてましたから。こうしてお墓に架けてあげているんです」
ベータの言った通りとても大切なものだ。
これはヤマ爺に持っててもらわないと。
そうして、もう一度お墓にかけようとしたところでベータが両手を包み込むように掴んで止めてきた。
「アルファ君……なんとなくなんだけど、このペンダントつけていたら?」
「いや、あれはヤマ爺の肩身で」
「だからこそ、ここに置いてくんじゃなくて、ヤマ爺さんも連れてってあげたらどうかなって」
ベータにそう言われて変に意識してしまったからか、不思議とペンダントが暖かく熱をもっているような感じがした。まるで連れていってほしいと言っているかのようだった。
「ベータ、ありがとう。ヤマ爺が寂しがらないように持っていくことにするよ」
これで思い残すことはなくなった。
僕は改めて覚悟ができたという気持ちでイオ兄の方を見た。
イオ兄はそれに応えてくれるようにコクリと頷いてニコッと笑った。
「よし、それじゃあ改めて、出発するよ!」
こうして、僕たちの長い長い旅が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「どうした、アルファ?元気ねぇな、まだやり残してるもんでもあんのか?」
「あ、いや、なんでもないよ」
僕は慌ててそう言いながらもガンマの拳をマジマジと見てしまっていた。
理由はもちろんさっきの魔法について考えていたからだ。
イオ兄は今は気にしないでいいって言ってたけど僕にもあんな力があったりするのかな?と考えると興味が湧かないわけがなかった。
そんな僕を見て、ガンマは自分の拳と僕の目線を何度か見てニヤニヤとしながら肩に腕を回してきた。
「ははーん、さては俺のこの拳が気になるわけだ」
「うっ……」
「ははっ図星だな!まぁ俺のかっこよさに憧れるのはわかるが、そう焦ることはねぇぞ!」
そう言いながらバシバシと体を叩いてくるガンマは完全に調子に乗っていた。悔しい……。
悔しいけど、本当にさっきの2人はかっこよかった。
「はー、僕も2人みたいにかっこよく魔法使えるのかなぁ」
思わず考えていたことをそのまま声に出してしまった。
ハッとしたが遅かった。
「「かっこよかった?」」
2人の耳はしっかりと僕の言葉を捉えてしまったようで、ジリジリとうざったいくらいに身を寄せてきた。
「おいおい、アルファ〜、そう言うことなら早く言ってくれよ〜」
「そうよ、アルファ君、あんな魔法でよかったらいくらでも見せてあげるわよ〜〜」
ほれほれーと言わんばかりに甘い声を使ってくる2人に、1人スタスタと前を歩くイオ兄は、威圧混じりの声で注意を促した。
「おいおい、あれ自分がさっき俺たちみたいにかっこよくなれなかったからって妬いてんだぜ」
「イオ兄様は小さい人ですからね」
2人はそう小声で言っていたが、そんな配慮も虚しく、声は届いていたようでイオ兄はズルッとこけていた。
ごめんよ、イオ兄……
僕はそう心の中で手を合わせながらも2人のこの調子をどう終わらそうかと頭を抱えていた。
そんな最中、まだまだ調子に乗っているガンマが自分の拳を高々と挙げて僕に見せつけてくる。
「まぁ実のところ俺はまだ魔法は使っちゃいねえ!俺の鍛え上げられたパンチを繰り出したまでだ」
「何言ってるんですかガンマ君、あれはどう見ても魔法じゃないですか」
さっきまで一緒に舞い上がっていたベータが、しらーっと口を挟んだ。
そんなベータに「なんだとー」と喧嘩腰のガンマ。
所々息があったり合わなかったり、そんな2人の関係に思わずフフっと笑ってしまった。
(僕も魔法を使えるようになって、早くかっこいい3人の役に立てるといいなぁ)
今度はしっかりと心に留めておいた。
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