第2話「味方」
はじめまして「D-NEY」と申します♪
気ままに更新いたしますが、目に留めていただいた際はぜひ楽しんでいってください( 'ч' )!
『戒めの鉄拳!!』
遠のいた意識を強引に引き戻すような衝撃が右頬を襲った。ペナルティ……?なんだ?
よく分からないがまた誰かに殴られたらしい。しかし、そんなパンチのおかげなのか、不思議なことに身体を纏うとてつもない熱はいつのまにか引いていた。
「何も殴ることないでしょ?この子は何も悪くない、さっきのみてなかったの?」
「こいつが力を制御できてねえから、こんなことになんだろうが」
目線を声の方に向けると自分と同じくらいの歳のこども2人が僕に背を向けて立っていた。
後ろ姿から考えて、この辺りの人間ではないことはわかった。
きれいな青い長髪がしなやかに揺れていて、ふわふわした服を身にまとっている女の子に、まだらな金髪に色褪せたケープで身を包む、全体的に怖そうな感じがする男の子。
なんだろう?2人で何か言い合ってるけど、この子たちは僕のことを殺そうとしないのかな?
「き、君たち、ありがとう! こいつはLOSTERなんだ、早く離れないと君達も呪われてしまうぞ……」
2人はそんな声に愕然とした様子で、はぁーと大きなため息をついていた。
特に男の子の方は機嫌が悪そうに、追手の1人だったカルスさんに食ってかかった。
「LOSTERがなんだって?」
「なんだってって、だからLOSTERだよ! 君たち、知らないのかい?」
「こいつがLOSTERだからなんだってんだ?」
「いや、だから呪いが……」
「こいつが呪われてるから、その呪いが伝染するってのか?」
「そうだ、さぁ早く逃げないと……」
一瞬だった。
男の子はカルスさんの顔を掴みむと、そのまま下に勢いよく振り下ろし、自らは顔を押さえつけたまま背中の上に着地した。
不穏な静寂が当たりを包む。
そんな中、男の子は自らの顔を残った追手たちに向け、髪をかき上げこう言った。
「残念ながら俺もこいつと同じようなもんだ。呪いが伝染するんだったなぁ?楽しみじゃねえか」
アザだ……!男の子の額には自分の右肩にあるものと同じようなアザがあった。
まさか、この子もLOSTER……?
今まで1度も考えてこなかった、自分以外のLOSTERの存在に驚きが隠せなかった。
「てめぇらの言い分じゃあこいつはもう十分呪われてる、ほら、やるよ」
そう言って、男の子はカルスさんを放り投げるも、そんなカルスさんを受け止めるものは誰もいなかった。
僕は落胆した。
これほどなのか……。LOSTERである自分だけでなく、LOSTERに触れられていた仲間までもすぐに見捨てる。
こんな人たちだったなんて……。
気持ちがどん底まで落ち込んだ時、さっきまでの熱がまた目を覚まし、自分の身を包み込んでいくのがわかった。
「おい、てめぇがまた暴走してんじゃねえよ」
男の子の声と共に、強烈な一発が腹を捉えていた。
今度はなにパンチだろう……?あまりの衝撃に意識が飛んでしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、目覚めました!おはようございます、アルファ君!」
さっきの女の子だ。
ムクリと身体を起こし周りを見渡すと、そこはさっきまでの路地裏ではなく、どこかの建物の屋上だった。
「ごめんなさい、あの人乱暴なんです。近くにいるとまたボカスカ殴りそうだから遠くにいってもらっちゃいました」
女の子の指差す先には、隣の建物の屋上で黄昏ているさっきの男の子がいた。
一度目も二度目も僕を殴ったのは、得体もしれない体の熱を押さえつけてくれたからなのだろう。
手段はなかなか乱暴であれだけど、お礼は言っておかないと。
「さっきはありがとう」
声は届いたらしく、男の子はスッと手をあげていた。
「あの、君もありがとうね。あそこまで取り乱しちゃったの初めてでさ、あのままだったらどうなってたか」
「いえいえ、お礼なんて! まぁ、確かにあのまま放置されてたらどうなってたか……。なんならちょっとスライムみたいに溶けかかってましたし」
「え!? 溶けかかってた?」
「えぇ、それはもう……。ねー!溶けかかってましたよねー!」
どうでもよさそうにそっぽを向いている男の子もそれに応えるように手を振っていた。おそらく肯定の意味なのであろう。
「まぁ、もう大丈夫ですよ!さっき水たくさんぶっかけましたから!」
どおりで体がびちょびちょになっていたのかと納得しかけたが、自分の体がスライムみたいに溶けかかっていたというのは些か信じられないことだった。
「それにしてもなんかすでに吹っ切れていませんか?あんなことがあったのにもう明るく振る舞えるなんて」
吹っ切れてる。たしかにそう思われても仕方がないのかもしれない。
こういうとき、どんな感情でいればいいのか、もう分からなくなっていた。
今回みたいなことは、今まで何度も経験してきたし、その度に落ち込んで、絶望して。もういい加減慣れてきていたのかもしれない。
僕は「こんなの慣れてるから」なんて空元気で答えながら、思い返すとさすがに涙が出てきそうだったから話題を変えた。
「あ、そういえば。なんで僕の名前を?」
「名前ですか?あぁ、名前って言っても通称ですよね。さっきの強盗のところから見てたんです。周りがアルファって呼んでましたしたから」
「通称って、僕はアルファだよ?」
「アルファはおそらく通称ですよ。LOSTERには名前なんてものありませんし」
なにを言っているんだろう?
僕の名前はアルファだ。親は物心ついた頃には、すでにいないかったから生まれた頃のことはよく分からないけど、僕を育ててくれたヤマ爺が僕のことをアルファと呼んでくれていたんだ、それが名前に決まっている。
「通称ってなに? 僕はたしかに小さい頃からヤマ爺にアルファって呼ばれていたよ?」
「そのヤマ爺って誰なんですか?」
「ヤマ爺は僕を育ててくれた人だよ、そんな人が僕を通称なんかで呼ぶはずがない!」
「呼ぶはずがなくてもそれがLOSTERで……」
「その辺にしとけ」
女の子と少し言い合いになりかけたところで、隣の建物にいたはずの男の子が一瞬で間に入ってきた。
「名前なんてどうでもいい。てめぇ、LOSTERなんだろ?」
男の子は少し睨みを切らした目で見つめてくる。
男の子の問いかけに僕が小さく頷くと、「ならいい」といって建物から降りていってしまった。
「はぁ、ほんと、無愛想な人ですね。アルファ君ごめんなさい、とりあえずよかったら私たちについてきてください」
女の子もそういって男の子を追いかけていってしまった。
もうトリカにはいられないし、2人のことも気になる。
とにかくついていってみよう。
こうして僕は2人のあとを追うことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そういえば2人はなんて呼び合ってるの?」
しばらく歩いたところで、ふとした疑問を2人にぶつけてみた。
というのも2人に会ってから今までお互いに名前(通称……?)を呼んでいるところを聞いたことがなかったからだ。
「どう呼んでいるかと聞かれても、私も彼も主だった通称なんてありませんし、どうしましょう」
「え、それじゃあお互いのこと今までなんて呼んでたの?」
「おい」
「あの」
寸分狂わぬタイミングで2人は声を重ねた。
気まずい……、せっかくの話題が10秒足らずで終わってしまった。
そもそももっと呼び方とかあるでしょ!なんなの「おい、ねえ」って?
じゃあなんだ?僕にアルファって名前がなければ、僕もおいとか呼ばれてたってわけか?
いや、待てよそういえば男の子の方からはてめぇだのおめぇだのって呼ばれたな……。
なんてぶつぶつ考え事をしていたら、女の子の方が何かを思い付いた様子でポンと手を鳴らせると、ダダっと僕らを追い越して自身ありげに立ち塞がった。
「私はベータ、アルファがいるならベータがいいです! これからは『おい』とは呼ばせないですよ、ガンマ!」
なにを言い出したかと思えば、僕がアルファだからベータとガンマ!?
いやいやさすがにそれはどうなんだろう……
ちらりと男の子に目を向けると明らかにいやそうな顔をしていた。
「おい、誰だよそのガンマって」
「だれって、あなたしかいないじゃないですか。アルファ、ベータときたらガンマでしょ?普通」
あっけらかんとしたベータの態度に、僕はハラハラしていた。
男の子をみると下を向きながらワナワナと震えていた。
あー、やっぱりだ、人の名前をそんな簡単につけるもんじゃない。
「てめぇ、なんで俺が三番目なんだよ!おい、アルファ、てめえがガンマを名乗れ!」
いや、そこかよ!思わず突っ込みそうになったが、下手に口を出すとまたなんとかパンチをくらいそうだったし、アルファという名前を譲る気はさらさらないので、無言の抵抗で首を必死に左右に振り続けた。
首を振り続けたのとベータの活躍も相まって男の子には無事ガンマの通称が与えられた。
そんなやりとりをしている間に僕らはすっかり打ち解けあって、いろんな話をしながら仲良くなっていった。
次第にあたりも暗くなり始めていたが、僕の心にはパッとあかりが灯ったような感覚だった。
【LOSTER-NEWS〜裏会話編】
アルファの強盗事件解決の様子を見ていたベータとガンマ
ガンマ「おい、あいつか?」
ベータ「なんか、優しそうな人ですね、でも弱そう・・・」
バキバキバキバキッ
ベータ「ふふふっ」
ガンマ「おい、どこが弱そうなんだよ」
ベータ「ふふふっ」
ガンマ「何笑ってんだよ気持ち悪りぃな」
ベータ「あの見た目からあのパワー。萌っですね」
ガンマ「・・・・・(きめぇ)」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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