行き先不明の苦行は何処まで続きますの⁈
よろしくお願いします。
全く行き先のわからない状況と苦痛な密室の中で、先程から良く回るお口を閉じることなくお喋りになっております腹黒侍従。
「そう言えば少々小耳に挟んだのですがーーー」
間を置いて腹黒侍従がニヤリと笑うんですの!
これは間違いなく良からぬことを考えているお顔ですわと身構えます。
「ビスデンゼの令息とキャグッズの令息が授業にも関わらず白熱の模擬戦だったとか。それってまさかフィルマール様絡みだったり?しちゃうんですか?」
よりにもよってそのお話!
と、言いますより何故曾お爺様の侍従が知っておりますの!?
学園でのことですわよ?それも先週の出来事で、私のひとりよがりな行動が明るみになった発端の出来事ですのよ!
「そうやって思っていることがわかってしまうのも淑女としては減点のマイナスだって教えられてますよね?フィルマール様のやる気ってパフォーマンスですか?それはちょっとどうかと思いますけど。」
「わっ、わわわわ私は関係ありませんわっ!」
「だぁ〜かぁ〜らっ!一々反応してて良いわけないですよね?さっきから全部顔に出てわかりやすいったら。」
失礼な!今期、マリリ先生からは〈最良〉いただいておりますのよ!
だいたい、自分はどうですの!侍従としてその態度はなってないと思いませんの!
「ほんと、変わらない。小さな頃から。」
笑いを吹き出しながら天を仰ぐなんて器用な動作?奇妙な動作?馬車の天井よりも遥か向こうに意識が行っているようですわ。
何でしょう。馬車に乗って初めての沈黙です。
聞こえるのは地面を走る車輪の音。
そうですわ。ついでと言いますか、車内の空気も一掃するために窓を開けましょう。午前中の爽やかな空気を身体いっぱいに吸って気分もリフレッシュいたしましょう。
あら?そう言えば窓の開け方ってどうすればよろしいのかしら。
いつもは一緒に乗っている誰かが開けてくれるものだから自分で窓を開けることが無いんですの。
でも、だからと言って箱入り令嬢ではありませんわ。
こう見えて火を熾すことができますの。
「本当にフィルマール様は変わられないのですね。」
二度も同じことを言うのはそれを強調したいため。もしくは自分自身に確認するためだと思いますが、私にはこの腹黒侍従が何を思って言ったのか見当しようもございません。
まぁ、そもそも腹黒侍従の気持ちを考えること事態無駄なんですもの。
相容れない方の発言に一々反応なんていたしませんわ。
ーーー先程は少し油断してしまっただけで、淑女としてのマナーは完璧なんですの。マリリ先生から〈最良〉いただいていますから。
ここは重要ですもの。繰り返し訴えませんとね。
ありがとうございました。




