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曾お爺様を負かしてから来て下さいませ。  作者: み〜さん


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知らぬは本人ばかりなり…ですのね。

よろしくお願いします。

 





「結論から申しますと、学園入学当時からフィルマール様には監視の目がついております。」


「はい?」


「正確に言いますと見守り隊ですわ。」


「えっ?」


「そう、フィルマール様の周囲にはいつも見守っている方々がいますの。どなたがとは言えませんけど、これはパティーシャ様の発案でできましたの。」


「もともとはサリューシャ様対応で組織されたものでして、もっと過激………そうですわね、少々特質した方々がトラブルに巻き込まれることを防ぐための有志でして、ねぇ。」


「えぇ、パティーシャ様のお考えに賛同した者が自主的にーーー」


「ココ!自主的にが大事なんですのよ。」


「そうそう、あくまでも有志であって、組織では無いのです。」


「ーーーはぁ。」


 授業後、閑散としたカフェテリアにてお二人から説明を受けて少々ーーーいぇ、かなり困惑なんですの。


 この学園に入学してから今までずっと、監視されていただなんて。


 ずいぶんオブラートに丸め込んでお話しされておりますが、実際監視ですわよね?


 そしてこの大人気スポット、別名【空中庭園】のカフェテリアに人が居ないだなんて有り得ないのです!


 何やら大きな力が蠢いているような、正しく作為を感じて落ち着きません。(これは絶対にパティです!)


「学園の外からの警備は万全ですけど、中でのトラブルは防ぐ事がなかなか難しいですから。目立つ方は毎年必ず居ますし問題がおきますでしょ?」


「学園内は平等と謳っておりますが、内情は縮小された貴族社会。平等なんて幻でしてよ。」


「そこで着目されたのが、風紀委員会に所属する高位貴族の方々ですの。生徒会と言う案もあったようですが、成績優秀な方々で構成されている生徒会員に身分は関係しておりません。ですから発言力が少々弱いのです。」


「逆に風紀委員の方は高位貴族の次男、三男のご子息で将来騎士になられる方も多いとか。良いですわね〜日々の鍛錬で鍛え上げられた身体。惚れ惚れいたしますわぁ。」


 ーーーシャロン様がピンク色に染めた頬を手で押さえて身体をクネクネさせる姿に驚きのあまりお口が開いておりました。こういうところですわ、淑女としての詰めの甘さ。反省文に追加でしてよ。


 しかし、知りませんでしたわ。生徒会役員が成績優秀者の集まりで、風紀委員なるものが存在していたなんて。


 ましてや騎士希望!


 お婿さんが必要なお家にとっては何て優良な委員会なんでしょう!


「とは言うものの、風紀委員の方々がお出張りだったのは、サリューシャ様がご入学された一年時だけでございましたが。」


「私も噂で聞いた程度ですから、実際どれほど過激ーーー弾圧?あら?粛清?」


「落ち着いて、シャロン様。言葉が物騒なことになってますわ。フィルマール様も聞いておられると思いますが、サリューシャ様とパティーシャ様が入学された当初はそれが最良で最適だったようなんですの。」


 シャロン様が言われたこがとても気になりますが、聞いたところで内容は教えてはもらえないでしょうね。


 でも、ハッキリしたことは、私が知らされていることとは随分違っているということ。


 そして、本当のことはきっと一生知らされることは無いということ。


「あら、フィルマール様寒いです?」


「まぁ、大丈夫ですか?」


 無意識に腕を摩っていた私を気遣ってくださるシャロン様とカロリーナ様。


「少し寒気がしましたけど大丈夫ーーー」


「あら!大変ですわ。」


「まぁ!いけませんわ。」


 ちょっとお待ちになって、と言いながら席を立つお二人に再度大丈夫だと告げたのですが、伸ばした右腕虚しく常設されたお店の中へと消えてしまいました。


「私の知らないことってなんて多いのかしら。」


 リューやパティと一緒にいば、知らない方々から影で嫌味を言われることは学園に入る前にはよくあったこと。


 お顔のことも、お家の家格のことも、曾お爺様のことも。


 子供はストレートに残酷。


 大人は聞こえよがしに囁き、目で蔑む。


「慣れって怖いわねぇ。」


 人の悪意に鈍くなっていて、まさか守られていたなんて思いもしませんでしたわ。


「どうしましょう、朝から色々ありましたから疲れが出てしまったのかしら。そこでお借りしたストールですが、厚手の物が無くて。でも無いよりはよろしいかと思いますの。」


「まぁ、フィルマール様が色々絡まれますのは日常茶飯事と申しますか。今更なようにも思いますけど。さぁ、こちらをどうぞ。ミルクを温めてもらいましたの。ゆっくりお飲みくださいね。あっ、膜はとってありますからね。」


 私の身体にストールを掛けてくださるシャロン様。


 ミルクの入ったカップを持ってきてくださるカロリーナ様。


「お二人とも過保護過ぎではーーー」


 ストールは大きくて軽くて優しい暖かさに包まれて、真っ白なカップから湯気が優しく立ち上がって、


「ーーーいつもありがとうございます。」


 なんだか嬉しくて恥ずかしくて心の底から湧き上がる気持ちのまま感謝しておりました。


 視線を上げるとポカンとしたお顔のお二人が固まっております。


「ごめんなさい!」


 唐突で驚かせてしまったのではと頭を下げれば、


「そんな!」


「違いますわっ!」


 慌てるお二人がお顔を真っ赤にして否定しますが、きっと私の何かがおかしかったんでしょう。


「フィルマール様が思っていらっしゃることと私たちが慌てていることは絶対違っていますわっ!」


 カロリーナ様が両手を目の前で振り早口で捲し立てます。


「そうですわ!勘違いでしてよ。」


 シャロン様も何故か同じ動きで慌てておられます。


「でもーーー」


「フィルマール様がとてつもなく可愛らしく微笑まれたから一瞬思考が停止してしまったんですの!」


「いつも可愛らしくていらっしゃるから、まさか最上級を目の前で見ることができるだなんて!驚きで時間が止まってしまったんですわっ。」


 ………何を?


「コレですのね!なんて幸せなんでしょう!もういつ昇天しても悔いはございませんことよ!」


「いぇ!?カロリーナ様何を仰っておりますの!」


「そうですは、この初めての奇跡を最初で最後にしてどうしますの!この先も見守りつづけて二度、三度とこの奇跡を体験しなければいけませんわ!」


「えぇ!?奇跡って何を仰ってますのシャロン様!」


 なんだかワケがわからなくなってきておりますわっ!


 そもそもそんなお話ではなかったはず。


「お二人とも、お話がズレてきております。」


「ズレてなんていませんわ!」


「そうです!根本はフィルマール様が尊いということなんですから!」


 ーーーズレてますわ。そもそも私に見張り役の方々がいらっしゃるというお話でしたもの。


「パティーシャ様に報告しなければですね!」


「ほんとに!喜ばしいことですものね、カロリーナ様」


 手を取り合ってはしゃぐお二人を見ながら重い息を吐き出します。


 お二人が何に興奮されているのか私にはまったくわからないのですが、結局のところ沢山の方々に見守られて私の学園生活は成り立っていたということでよろしいのでしょうか?


 でも、、、そうですわね。


 マティアス様に難癖………えっと?絡まれて?あら?


 違いますわ。一方的に事実無根な発言をされていたときにも必ずパティやリュー、ローズ様が来てくださっていたのは、そういうことだったのだと、とても納得いたしましたの。


 私はなんて恵まれていたのでしょう。


 これはあれですわね。


 皆様への感謝といたしまして、立派な淑女となれるように日々研鑽しなくてはいけません!


 私と学友であったと誇っていただける立派な淑女に!!


 曾お爺様やお母様、お父様。


 それに私を支えてくださる沢山の方々に。


 十年後の私に期待していただきたいと思います。


 …


 ……?


 ………??


 …………???


 えっ、と言うことは、私が時計塔でしていたことも皆様の知るところなんですの⁈












ありがとうございました。

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