猛禽類の眼光には注意ですの!
大変お待たせいたしました。
短いですが投稿いたします。
「フィルマール様っ!」
「大丈夫ですか!フィルマール様!」
「「フィルマール様っ!ご無事で⁇」」
複数の靴音と私の名前を呼ぶ声へとお顔を向ければ、
「まぁ、ルーヴィル様、ビスデンゼ様、それにカロリーヌ様、シャロン様?」
とても焦ったお顔で駆け寄って来る四人のお方に驚いておりますと、それまで息ぴったりの掛け合いをしておりましたリューが振り返ります。
「遅い!」
笑顔ですのに何故声が怖いのでしょう⁈
「面倒な相手は疲れるんだから。喋りたくも無いから余計に疲れるよ。」
両腕を挙げてお手上げポーズのリューのお顔は笑顔のままです。
これは相当イライラしているようですわね。
こういうときはお口は噤んで、いない者と決め込みましょう。
「もももももも申し訳っ!」
「ございませんでございます!」
『も』が滑っておりますわ、カロリーナ様。
『ございませんでございます』は緊張し過ぎですわ、シャロン様。
でも仕方がございませんわ。リューったら笑顔なのに雰囲気がとっても悪いんですもの。
「フィルマール様大丈夫ですか?」
「あの女!こちらが強く出ないことをいいことにやりたい放題しやがって!」
「………えっ?」
ルーヴィル様のいつもと違う物言いに驚きのあまり声が出てしまいましたわ。
でも、リュー以外の皆様もご同様なんですね。
リューは動じないのですね。何故かしら、笑顔に怖さが増してませんか⁈
驚き二倍で固まっておりました私の目の前にルーヴィル様がいらっしゃると、両手でお顔を挟まれました!
えぇ!ガッシリと!
「大丈夫?おかしな話をしたと思うけど全部虚言だから!アイツが言っていたことは全て忘れて僕たちの言葉だけを君の耳に、心に残して!」
とても必死なんですが、その前にお顔を固定する両手を退かしていただけませんか?
ルーヴィル様の瞳はザールと似ておりますの。
そう、猛禽類と同じ金色。
「ルーヴィル様!手をお放し下さいませ!」
「そのようなことをされてはフィルマール様のお顔が潰れてしまいますわっ!」
シャロン様、潰れるは大袈裟ですわ。
「いや、無闇に触るものではないと思うからその手は退けて三歩下がろうか、ルーヴィル殿。」
ガシッとルーヴィル様の肩を掴むビスデンゼ様のお口の端が痙攣しておりますが大丈夫でしょうか?
皆様が心配される程ルーヴィル様の手には力は入っておりませんのよ?むしろ私の両頬が包まれてほんわりしておりますの。
………そうですわね、強いて言えば真正面から激しく見られてとても恥ずかしいということでしょうか。
「マール、もう少し反応を見せてもいい場面だと思うけど?と、言うよりなんでその状態でリラックスしてるの?」
「そうですね。私としては見てて面白くはないですね。」
ハッッ!猛禽の瞳に囚われておりましたわっ!
「気持ちいい?フィルマール様。」
何故嬉しそうなんですか?ルーヴィル様。
「ほら、ここでわちゃわちゃしてるから元凶が逃げちゃってるよ。」
元凶⁇なんて物騒な言葉を!
「それはそうでしょう。当事者二人の登場ですもの。ご自分の言ってることが違うとわかってしまいますでしょう?」
「虚偽はいけません!虚偽は!」
「しかし、朝から突撃とはね。どうやって知ったのかな、フィルマール様のこと。」
「こう言うことは漏れるものですわ。どれだけ壁を作っても。」
「そうですわね、そろそろ無理があるとは思ってはいましたから時期だったのでしょうね………ところでいつまでその状態でおられるおつもりですの?」
「………お放し下さい、ルーヴィル様。」
視線を外してお願いすると、何故か両手に力が入ったのがわかりました。
「ルーヴィル様⁈」
「フィルマール様、言いましたよね?真実は一つだと。僕がお話ししたことが事実です。良いですね。」
「………ふぁい。」
両頬潰されたままの返事はなんてお間抜けなんでしょう!
と、言うよりも淑女に対してこの扱い!まるで子供の扱いではなくって⁈
あああっ!注目されている中での羞恥!
「ささっ、授業も始まりますし、ここは速やかに撤収と致しましょうか、フィルマール様。」
「そうですわ、詳しくは放課後、空中庭園にてご説明いたしますわ。宜しいでしょうか?」
ニッコリ微笑むカロリーナ様がリュー、ビスデンゼ様、ルーヴィル様を順々に見られます。
有無など言わせぬ笑顔でございます。
程よくギャラリーも動き出しましたし、私も両脇を固められましたものですから大人しく付き従う所存でありますわ。
朝からとても疲れました。
授業中の注意力はきっと散漫でしょうねぇ。
はぁ………曾お爺様にお会いしたい。
いつも読んでいただきありがとうございます。




