第3話 番外編ー2人の距離ー
ギルド改装中の宿屋にて、事件は起きる。
「お風呂気持ちよかった〜!」
ミランダはお風呂から上がり、自室へ向かおうとしていた。
突然、肩にポンと手を置かれ、振り返る。
「だれ……? ……ひゃああああ!」
そこには、血まみれの男が立っていた。
(殺されるーー!!!!)
ミランダは走り出した。
上では、ライデンが自室のベッドに座り、本を読んでいた。
バタバタバタッ!!!!
(……下が騒がしいな……)
ガチャ! バーン!
勢いよくライデンの部屋の扉が開いた。
「マスタぁぁぁーーーー!!!」
泣きながら飛び込んできたミランダが、ライデンに抱きついた。
ライデンは少し驚いた。
「……どうした」
「血まみれの……うっ……うっぐ……」
ミランダは泣きながら、何かを伝えようとしている。
「……何だ」
その時、こちらへ近づいてくる足音が聞こえた。
ミランダを抱きつかせたまま、ライデンは立ち上がる。
足音がさらに近づく。
ライデンは剣に手をかけた。
カチャ……
そして――
そこには、血まみれのガドーが立っていた。
「いやぁ、すまんすまん! 解体中でな! 汚れてるのを忘れてミランダに声かけちまってな!! そしたらすっ飛んでくもんでな!! ワハハ!!」
「…………」
ライデンは呆れたように息を吐いた。
「え……? ガドー?」
ミランダはガドーの方を見る。
「おう! 悪かったな!」
まったく悪びれた様子のないガドーを、ミランダはじとっと見つめた。
「……もういけ」
しっしっ、とライデンはガドーに手を振った。
「あいよ〜! ゆっくり休めよ〜!」
そう言いながら、ガドーは去っていった。
「………」
ミランダはまだライデンに抱きついたままだった。
ふと我に返り、恥ずかしくなったのか、サッと離れる。
「……大丈夫か」
「……はい」
ミランダは恥ずかしそうに答えた。
「……もう寝ろ」
ライデンは剣を置いた。
「……あの、マスター……」
ミランダがもごもごしている。
「ちょっと怖くて……今日は一緒に寝てくれませんか……?」
突然のお願いに、ライデンは固まった。
「……ああ」
ミランダは嬉しそうに笑った。
(……誰にでもそうなのか?)
その夜――
ライデンの横で寝ようとしていたミランダが、ぽつりと話し出した。
「マスター……だからです……」
ミランダは布団をギュッと握りながら、ライデンを見ている。
ライデンは照れているミランダを見て、わずかに目を細めた。
「……そうか」
やがてミランダは落ち着いたのか、ライデンの隣で眠っていた。
ライデンを抱き枕のようにして、すっかり安心した様子で眠っている。
「…………」
ライデンはそんなミランダを一度だけ見て、静かに目を閉じた。




