第3.5話 ノラの噂ー長期依頼ー
「今日もこれでいいな!」
中級冒険者のノラは、日帰りの依頼書を取る。
その数秒後、背筋が寒くなった。
「……」
ライデンがノラを見ている。
「ヒッ!! ……なんだ、ライデンさんか……」
猛獣かと思ったが、ライデンだと分かりノラは安心した。
「……お前、なぜ日帰りばかり受けている? お前の強さなら、この長期の依頼はかなり簡単なはずだが……?」
「え、ええっと……それは……」
ノラの目が泳ぐ。
「……お前達もだ」
周りにいた冒険者達も、バレないように気配を消していた。
だが、ライデンにはとっくにバレていた。
「……うっ」
ノラ達が一斉に固まる。
そんな時、入口のドアが開いた。
チリンチリン……
「あらぁ?」
ニコニコとしたローザだ。
(か……神さまぁ……)
ノラ達は救われたとばかりに、泣きそうな顔でローザを拝んでいる。
「この状況は〜……んふふ♡ あなた、いじめちゃだめよぉ?」
「……いや、いじめてはいない」
ライデンは少し困ったように答えた。
「この子達がそれを選ぶ意味、あなたわかってないのねぇ?」
「……」
ライデンは何も言わず固まっている。
「その理由が今から帰ってくるわよ♡」
ローザがそう言うと、ギルドのドアが開いた。
チリンチリン……
「ただいまー! 買い出しに行っていて……あれ? みんないるんですね! ちょっと荷物置いてくるので待っててくださ〜い!」
そう言って買い物から帰ったミランダは、ギルドの奥へ走っていった。
(ミランダさん……)
ノラ達はキラキラした目でミランダを見送る。
「…………」
はぁ……とライデンはため息をつく。
ローザはニコニコとしていた。
「……長期は報酬もかなりいい。たまには受けろ」
「……わ、わかりました」
ノラ達はしょぼんとしている。
「…………何か買ってやればいいだろ」
ライデンがボソッと呟いた。
(……その手があったか! さすがライデンさんだ!!)
ノラ達はハッと顔を上げた。
「……」
ライデンはやれやれと呆れている。
そうしてノラ達は各々、ミランダへのお土産を買うため長期依頼へ向かった。
「ミランダさん! 待ってて!!」
(お土産で誰がミランダさんをいちばん喜ばせられるか勝負だ!)
もちろん小柄な女性冒険者の圧勝であった。




