S.epー友達の女性冒険者ー
「ねぇ、ミランダ。仕事はいつ終わるの?」
この女性冒険者はミランダの友達であり、黒鉄の髭のパーティーで聖職者をしているシアンだ。
「あともう少しだよ!」
「終わったら銭湯行かない?」
「行こ! シアンは初めてだよね!」
「ええ、だから楽しみなの」
そう言うと、ミランダはバタバタと急いで支度をしはじめた。
そして二人は銭湯へ向かった。
ガラガラ……とドアを開ける。
「あら♡ いらっしゃい♡」
ローザがニコニコとしている。
「ローザだよ! 綺麗でしょ!」
ミランダがふふん! と、どこか誇らしげだ。
「綺麗ってあなたねぇ。褒めても何も出ないわよぉ♡」
少し呆れたようにローザが返した。
「なんでミランダが誇らしげなの……。初めまして、ローザさん。友達のシアンです。ミランダが迷惑かけてないですか?」
「ええっ!」
ミランダは驚いてシアンの顔を見た。
「大丈夫よ♡ 噂は聞いてるわ♡ ゆっくりしていってね〜♡」
それから二人は風呂場へ向かい、身体を洗って湯船に浸かっていた。
「はぁぁ〜……生き返るわぁ〜……」
「気持ちいいよね!」
「ここに留まりたいくらいいいわね……」
久しぶりのお風呂に、シアンはじんわりと癒やされていた。
「大変だね。だって数ヶ月も気を張っていなきゃだもんね」
「そうよ〜。リーダーは道に迷うし、罠には引っかかるし……でも、ああ見えてボスが出た時は頼りになるんだけどね」
「黒鉄の髭のリーダーってお茶目だよね!」
(ほっとけない所があなたにそっくりだわ……私ったら、そういうのに弱いのかしら?)
母性が強いシアンであった。
「そういえば、ミランダ。最近どうなのかしら?」
シアンがニヤッとした顔でミランダを見ると、ミランダはドキッとした。
「えっと……まだ……」
ミランダはもじもじとしている。
「もっとがっついているのかと思ったけど、そうではないのねぇ」
「だって! だって! なんか……マスターは私のこと、妹って感じで見てる気がするんだもん……」
「あら、ミランダにはそう見えてるのね?」
コクコクとミランダが頷く。
(どう見ても両想いに見えるんだけど……)
「キス……してみたら?」
「えっ!!? 出来るわけないでしょ!!」
ミランダは顔を真っ赤にして、湯船をバシャバシャと叩いた。
「ちょっと! かかるじゃない!」
慌てふためくミランダを見て、シアンは楽しそうだ。
「シアンはどうなの? 銀の爪のリーダー」
「ふふっ。なかなか会えないから、数日後に帰ってくるって聞いてテンション上がったわよ〜!」
シアンはキラキラと目を輝かせていた。
「シアンってどっしりした人が好きそうなのに、意外だよね」
「危ない香りに惹かれるものなのよ」
(銀の爪のリーダーはチャラいし、リーダー同士があんまり仲良くないんだよね……)
ミランダはシアンを不思議そうな目で見つめていた。
「話せる機会が少ないから、激励会でガッツリアタックしてみようかしら!」
「いいなぁ……シアンは色気があるからイチコロでしょ」
「色気の出し方、教えてあげよっか?」
ニヤニヤしながら、シアンがミランダに耳打ちをした。
「よし! これならいけるかも!!」
ミランダが大きな声を上げながら、勢いよく湯船から立ち上がった。
どうやらシアンに教えてもらったことを、実践するつもりらしい。
「シアン、ありがとう! 私頑張るね!」
「また感想聞かせてね?」
二人が楽しそうに雑談している頃――
銭湯の受付では、魔法を通して聞こえてくる二人の会話に、ローザがニコニコとしていた。
(楽しそうね……♡)




