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受付嬢のうたた寝  作者: 雲丹猫
第1期
16/33

第5.5話 ノラの噂ー憎めない騎士団長ー

(最近、騎士団長よく来るな……ミランダさんに何もしないか、よく観察しないと……!)


ギルドにいたノラは、そう思っていた。


チリンチリン……


(来た! 騎士団長だ……!)


「やぁ。あれ? ミランダは……いないのか」


ギルドを訪れたグレイは、ミランダの姿が見えないことに少ししょんぼりした。


「ミランダさんなら、少し席を外しているだけです。何かご用でしたか?」


「いや、顔を見に来たんだ」


(すかしたヤツめ……! かっこいいからって……!!)


ノラはグレイのかっこよさに、少し妬いていた。


「そういえば、君は結構腕が立つそうだな。どうだ? 騎士団に入らないか?」


「……いえ、結構です」


「そうか。強い冒険者の中には、騎士団に入って活躍している者もいるぞ」


「……そうですか」


ノラは露骨に嫌そうな顔をしている。


「そこまでして、なぜ冒険者を続けるんだ……?」


「僕は!! 冒険したいんですよ!! 色んな所を旅したいんです!!」


ノラが大きな声で訴えると、周りのノラ達は笑いを堪えていた。


(……嘘つけ! お前が最近、長期依頼に行っているところなんて見ていないぞ……!)


(うそだ! お前はギルドに入り浸りじゃないか!)


(……ミランダさんに会いたいだけだろ……)


周りのノラ達には、嘘だとバレバレだった。


「……残念だ。だが、気が変わったら教えてくれないか」


「……変わりません。恐らく」


グレイが残念そうにしていると、少し怒ったミランダがやって来た。


「ちょっと! 聞いてましたけど! 私の大切なノラさんを勝手に勧誘しないでください!」


(……私の……大切な……!?)


ノラはミランダの言葉にドキドキしていた。


「すまない。才のある者を放っておけなくてな」


「みんな冒険が好きだから冒険者をしてるんです!!」


((……たぶん違う……))


ノラ達の心の声は一致していた。


「冒険か。それもまたいいのかもな」


「もちろん、国を守るというお仕事も立派ですけどね!」


「ミランダも騎士団に来ていいんだぞ?」


(……なんだって!? 騎士団長め! 油断も隙もないな!)


(……僕たちの平和を崩されてたまるか!!)


ノラ達はグレイを少しだけ睨み始めた。


「私がそんな堅苦しい所にいられるわけがないでしょ!!」


ノラ達はミランダの言葉にほっとした。


「そうでもないぞ? 他の国は分からないが、ここの騎士団は割と自由なんだ」


「そうなんですか!?」


ミランダは思っていたのと違い、驚いていた。


「一度、騎士団の見学をしてみるのはどうだ?」


グレイはニッと笑った。


「う〜ん、ちょっとだけ見てみたい気もするけど……マスターに聞いてみないと……!」


「ライデンには内緒で、だ」


グレイは自分の口元に人差し指を立てた。


(……騎士団長……色気がすごいな……)


(……ぐぬぬ……)


ノラ達はグレイのかっこよさを認めざるを得ず、悔しそうにしていた。


「そんなこと言われても、どこかに行く時は絶対言わないといけないんです!」


(……ライデンさん。ナイスです……)


(……おお、ライデンさんの過保護がレベルMAXだ)


(……ありがとう……)


ライデンの知らないところで、ライデンの株が上がっていた。


「そうか。随分と大事にされているんだな」


グレイはミランダを見ていた。


「残念だが、そろそろ戻らないといけない。また来るよ」


「……は、はい?」


グレイがギルドに来る意味が、ミランダにはよく分かっていなかった。


「もう! なんなの! きっとサボっているんだわ! 皆、困ったら私に言ってね!」


(やっぱり僕たちの居場所はここなんだな……)


ノラ達は、なんだかじんわりと温かい気持ちになった。

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