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受付嬢のうたた寝  作者: 雲丹猫
第1期
14/33

第4.5話 ノラの噂ー受付嬢の依頼書ー

「う〜ん……」


受付で、ミランダが何やら悩んでいる。


「ミランダさん、どうしたの?」


近くにいたノラが声をかけた。


「長期の依頼がまた多く残ってるんです……一時は結構減っていたんですけどね……?」


「あ、あぁ……」


(それは……この間のライデンさんの時だな……)


「だから、今私が依頼書をまた書き直してるんです! もしかしたら分かりにくかったのかもと思って!」


その言葉を聞いた瞬間――


ギルドにいたノラ達の目が光った。


(それは……まさか、あのミランダさんの絵がまた……)


(これは俺がもらった……!)


(ちっ……みんな狙ってやがるな……)


周りにいたノラ達全員が、ミランダの依頼書を狙っていた。


「ミランダさん、その依頼書はいつ完成しますか?」


「……うん? あとはモンスターの絵を描いたら完成しますよ!」


「そうですか。では待ちます……」


「……?」


ミランダはぽかんとしていた。


ノラ達は依頼を受けることもなく、ミランダの依頼書が完成するのを待っている。


チリンチリン……


そこへ、新たなノラがギルドにやって来た。


「うわ! 人多いな……なんだ?」


ギルドにいる冒険者の数に驚いている。


「よう。みんなミランダさんの依頼書待ちだぜ」


近くにいた気さくなノラが教えた。


「なんだって!? もしかして、レア依頼書が!?」


ノラがコクコクと頷く。


「よーし、完成!」


ミランダが誇らしげに完成した依頼書を眺めている。


「にゃ〜」


ギルが返事をするように鳴き、ミランダのそばへ歩いていく。


チャポン……


その途中、ギルの前足がインクに入ってしまった。


そして、そのまま依頼書の上をぺたぺたと歩き、ミランダのそばへやって来る。


「大変! ギルの足がインクまみれになっちゃった! 洗わないと……!」


ミランダは慌ててギルを抱えると、そのまま銭湯へ走っていった。


「……」


残されたノラ達が、そっとミランダの依頼書を覗き込む。


「……こ、これは!!」


そこにはワイバーン……らしき絵と、ギルの足跡が残されていた。


「……ギルの足跡……なんて可愛いんだ……」


「これは……ワイバーン? なのか?」


ノラ達の心の声は、完全に一致した。


(((これは……間違いなく超超超プレミア依頼書だ……!!!)))


「これは俺がもらう!!」


「ダメだ! 僕だ!!」


「お前はプレミア依頼書一枚持ってるだろ!!」


ノラ達が騒ぎ始める。


その騒がしい声を聞きつけ、ライデンが現れた。


「……何をしている」


その一言で、ノラ達が静かになる。


「いや、あの……この依頼を誰が受けるか話しているんです……」


ライデンはミランダの依頼書を手に取り、じっと見た。


(……なんだこれは……)


描かれているものが何なのか分からず、不思議そうに眺めている。


「……丁度いい。腕試しをして、決めろ」


その言葉に、ノラ達の熱気が一気に上がった。


「おう! なんだなんだ〜?」


騒ぎを聞きつけ、解体場からガドーまでやって来た。


「皆で腕試しをするんですよ」


ノラが説明すると、ガドーはニヤッと笑った。


「面白ぇじゃねぇか! 俺が審判してやるよ!」


そうして、あっという間に試合の準備が始まった。


「おうおう、魔法使いのお前にはちょっと不利なんじゃねぇか?」


これから勝負をする剣士のノラが、対戦相手を煽る。


「いいえ。僕の強化魔法があれば、力だってかなり強いですよ」


魔法使いのノラも自信満々だ。


「おっしゃー! 始めるぞ! はじめ!」


ガドーの声と共に試合が始まった。


周りのノラ達も声を上げ、ギルドは大盛り上がり。


予想以上の接戦が続き――


最終的に、依頼書は古参の凄腕剣士の手に渡った。


「おっしゃぁあー!!」


(念願の……プレミア依頼書……!)


勝ち取ったノラは、依頼書を手に喜びを噛み締めていた。


「いやぁ、久々にヒリついたぜぇ」


審判をしていたガドーも満足そうだ。


そんな中――


ライデンがノラ達を見渡した。


「……お前達、力が強くなっているな?」


「……」


ノラ達の顔から、たらたらと汗が流れ始める。


「あ〜! そうだ! そろそろ依頼に行かないとー……」


「俺もだった!」


「僕も行ってきます!」


ノラ達がぞろぞろとギルドから逃げ始めた。


「……おい」


その後ろ姿を見ながら、ライデンは呆れていた。


――後日。


ギルドへ戻ってきたノラ達は、一人残らずライデンに呼び出され、装備と等級の見直しが行われた。

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