第四章 結編
「もっと速く! 魔力の同調は完璧だ。そのまま突っ込めアリスさん!」
「うおおおおおおお!」
ヘッドライトが照らし出すひび割れたトンネルの中。コンクリートに覆われた狭い世界が、いつの間にやら光のチューブトンネルに変貌し、真っ白な太陽のような塊に突っ込んだかと思えば……トンネル、違う。洞窟の中?
さらにそこを抜ければ見渡す限りの芝生が生い茂る平原となっておりました。
向こうにはなだらかな丘。空は桃色。昼だというのに白昼の月の如き星々を見上げることができます。へぇ、ここが異世界なのですね。
さらに特徴的なのが、1キロ先に見える白亜の塔。だいぶ高いですね。あんなものが、私のいた世界にあれば観光資源として役立つでしょう。すごい。ああ、異世界。
「感じる。あれが世界間直結魔法を維持している魔法具だ。あれさえ壊せば異世界トラックは、俺たちの世界には来れない」
あの塔が!
「壊しに行くぞ。アリスさん!」
塔さえ壊せば魔王ライオラは異世界転生者を仲間にできない。異世界人との戦いは敗戦決定。双方の世界の住人は平和を享受できる。アリス的にもザッツ・オーライ。オーガ、オーディン、オーマジオウ! 私だって誰かの願いを叶えられる!
私は塔へ向けてタイヤをまわしました。そこへ。
「現れたな。魔王配下のモンスターどもめ!」
白馬君の言うとおり、どこから湧いて出たのやら、スライムやプテラノドンのようなモンスターがこちらへと向かってきたのです。さらに丘の向こうからは異世界トラックがやってきました。
「ああ、愛のないお出迎えがやってきましたよ」
これでは塔へ向かえません。
「大丈夫だ。俺には聖槍、アリスさんには重力制御の神器がある。このまま突っ込んでくれ!」
「突っ込めって。人混みでさえ辛いのに」
「俺が車体の屋根に出て聖槍で敵を捌く。アリスさんは魔力フィールドを練成して塔に突っ込んでくれ」
「運転は私に任せて。アリスさんは魔力を高めることに集中して」
「栖桃さん、車の運転なんて出来るんですか」
「うん。二人が斗乱風・覇亜徒の女王とレースをしているあいだ、子分さんたちから車の運転を教わったの。素質あるって誉められたよ」
アイツら、うちの栖桃さんになんてことを。まぁ私を運転してくれるのなら、私も魔力フィールドの練成に専念できます。
「来たぞ!」
群がって来るモンスター。
だからどうした。
恋人がいない。パソコンに詳しくない。結婚してない。大卒なのに正社員じゃない……。
元いた世界で勝手に襲いかかって来た『モンスター観念』に比べればぁぁぁ!
運転席から飛び出し、私の上で聖槍を振るう白馬君の連撃に飛行型モンスターは翼をもがれ、光の壁を帯びた私の突撃に陸上モンスターや異世界トラックは歯が立ちません。
時おり、異世界トラックに衝突され、進行方向をずらされるものの、栖桃さんの的確な運転で方向修正が施されます。
そうして、世界間直結魔法の魔法具たる塔が目前に迫ってきました。
これで私たちの旅と戦いが終わる。そう思った、そのとき。
直上に大きな気配を察知しました。見上げれば? 塔の上部にて、まるで大木につかまるように、大きなサルが、いえ巨大なゴリラが居座っているではないですか。
ゴリラは私たちと塔のあいだに飛び降りてくると、突っ込む私たちを受け止めて投げ飛ばしました。
生まれて初めてサイコロのように連続横転する私の身体。
「栖桃さん。大丈夫ですか」
「うん。シートベルトってすごいね。どこも痛くないよ」
「白馬君は」
「健在だ」
私の上に立っていた白馬君はゴリラの攻撃を受けた直後、見事に跳びおおせたらしく、横転した私の横に立っておりました。
「う~んしょ。どっこい」
自力で車体を揺らして、姿勢を整えます。タイヤが地面につき、体勢をもとに戻す私。この所業、もはやトラックではない。
「それにしても大きなゴリラですね」
降ってきたゴリラの身の丈は8メートルほどにも達します。
「あれはゴリラじゃない。大猿竜ゴリラドライクだ」
「大猿、竜?」
「ああ。異世界のバナナ園を喰らいつくし、ウホウホと美女をつかみ、塔や王城の外壁に上っては周囲に迷惑を及ぼす。そんな邪悪な竜だ。まさか生き残りがいたとは」
それってゴリラじゃないですか。
ゴリラが地面を叩くと地割れが発生。これでは走行できません。
「どうすれば」
「冷静になれアリスさん。今のアリスさんは空が飛べる。ゴリラドライクは俺が仕留める。その隙にアリスさんと栖桃は塔を破壊してくれ」
「心得ました」
「白馬君、気をつけて」
私が空を飛ぶと、目前に巨大なプテラノドンが姿を現しました。どこから飛んできたのか。プテラノドンと私の空中決戦。飛行技術は向こうに分があるようです。
さらに火の玉まで吐いてきました。直撃。
「あっつい!」
「大丈夫? アリスさん燃えているわ」
「これ……くらい。周囲の人間の冷たさや就職氷河期の冷え込みに比べれば。こんな炎、心地いいくらいですよ!」
私は炎上したまま巨大プテラノドンに猛烈にアタック。プテラノドンは私の重みに耐えきれず、共に落下していきます。
「どうですか! 体重4トンの女のハグは!」
私はプテラノドンを下敷きにした状態で地面に落下。プテラノドンは私の想いを受け止めきれずに絶命しました。レベルアップしたかな?
「アリスさんっていくつなの?」
「栖桃さん、女性とトラックには年齢を聞かないことがマナーですよ。ムっ?」
「うおおぉ! 聖槍エクスゴイサー・フルパワー! ファイナルアタックライドォ!」
見れば白馬君がゴリラに槍を押しこんでいました。ゴリラは爆発。白馬君は爆風に押しやられ、身体を地面に打ち付けます。
「白馬君!」
私と栖桃さんの声が重なりました。急いで彼のもとへ向かいます。
「大丈夫ですか」
「ああ、どうってことがないが……くそっ」
白馬君が悔しそうに塔を見つめます。騒ぎ過ぎたのか、塔を守るように続々と多様なモンスターが集結してきました。
白馬君は満身創痍。私は車両火災を免れたものの、各所が燻り、焦げ付いていて整備が必要な状態です。
「どうしますか。いったん引き返しましょうか」
「いや。ここで退いたら魔王はここの守りを強化するだろう。塔を潰すには今しかない」
しかしながら。今の戦力では正攻法で攻略するのは無理ゲーな気がします。
白馬君は何度か言いかけ、口をつぐみ、そして車内にいる栖桃さんの不安げな表情に目を向けて決心したように言いました。
「アリスさん。今、あのときの約束を果たしてくれないか」
「…………」
あのときの約束。それは深夜のパーキングエリアで白馬君が私に提案したモノでした。
「三人で異世界に行ったとき、俺一人が異世界に残って戦うときが来ると思う。そのときはアリスさん、栖桃を連れて、この世界に帰ってきてくれ」
「そんなバカなこと。本気で言っているんですか」
白馬君の頼みごとを聞いた私は声を荒げました。
「それはあまりにも自分勝手です」
「最悪の事態を想定してのことだ。俺だって、そうならないよう祈るよ」
あのとき彼が言った最悪の事態。それが、まさに今。
私は叫びました。年甲斐もなく素で抗議します。
「そんなこと出来るワケないでしょう。こんな所にアナタ一人を置いていく? 私がそんな薄情な人間に見えますか。三人で塔を壊しましょう。きっとやり方があるはずです」
「やり方、か」
そのあいだにも、続々とモンスターは集結してきます。さらに、爆死したと思われた黒焦げのゴリラまでヨロリと立ち上がりました。
「時間がない。栖桃を連れて逃げてくれ。帰り方は簡単だ。来たときの洞窟に入って魔力の波長を合わせて走ってくれ」
「もしかして最初からこうする気だったんじゃないでしょうね。塔は世界間連結装置。そんな塔を壊したら、もとの世界には帰れませんもん。一人がここに残って、塔を壊す必要がある。そうだったんですね」
「え! そうなの? 本当なの白馬君!」
栖桃さんの言葉に、白馬君は塔を真っすぐ見据えたまま答えません。
塔へ、モンスターの大群のもとへ黙って歩いていきます。
「白馬君、答えて下さい! 説明責任を果たして下さい! 説明から逃げないでください! 総理! ええいっ。魔法の念話を使って直接頭に……」
「俺は……」
観念したのか、白馬君は振り向かずに言いました。
「塔を壊したら聖槍から力を借りて、急いで洞窟に戻る。時速100キロくらいで。塔を壊しても急げば元の世界に戻れる」
しかし、彼の手にした聖槍はいつのまにか、先端が折れていたのです。私は言います。
「そんな槍では力なんて出せないでしょう!」
「だったら、俺はこの世界の人間と共に戦い、魔王を倒し、女神の力で再びもとの世界に戻してもらう。二人とも、いつになるか分からないが、また会おう」
「それ、今考えたでしょう。モンスターの大群を前にどうやって生き残るつもりですか。ゴリラとの戦いで力を使い果たしたんでしょう。私のまわりにはズルイ人間がたくさんいた。だから嘘つきは看破出来るんです。白馬君、こういうときは逃げましょう。逃げて良いんです」
しかし白馬君は振り向きもせずにモンスターの群れへと走っていきます。その背中は、私のうしろ姿よりも全然小さいのに、とても大きなモノに見えました。
「白馬君!」
運転席の栖桃さんがドアを開けて彼を追いかけようとします。しかし。
「ドアが開かない? アリスさん、ドアを開けて。白馬君が行っちゃう。白馬君。白馬くぅぅぅん!」
これでいいんでしょう白馬君。私は栖桃さんを乗せて、もとの世界に帰って、彼女を実家に送り届けて。それがトラック。だからアナタは私を仲間に選んだんでしょう。仲間にしてくれたんでしょう。ご注文の品、たしかに受け取りました。これより本トラックは送付先に向かいます。それでは……さようなら。
私のタイヤはバックオーライ。
栖桃さんは窓をドンドンと叩きます。車内モニターには可愛い顔がこれでもかと泣きじゃくる姿が映っておりました。
これでいいのか私の人生。誰かが作った道路を走り、指示があってから動きだし、注文通りに働きつくす。いつが昼か夜かも分からないほど駆けまわり、その結果、待っていたのはスキルなし、たいした経験なし、転職先なしの無職生活。つまらない人生。
「ククク……あははは」
トラックになっても、私は私のままか。
「アリスさん?」
泣き腫らした栖桃さんは私の笑い声に反応します。そして私は誰にもなく言いました。それはそれは、とてもとても乾いた声で。
「ふざけるなよ」
タイヤを前方へ急回転。地面が抉れて後方に土砂が巻きあげられます。それはそれは、生まれて初めて聞くような、怒りの声で。
「ふざけるなぁぁ!」
私は急発進。車内では既にシートベルトを外していた栖桃さんが転がりまわります。知らんっ。
そして戦いへ往く白馬君の横へ車体を横付け。
さらに運転席のドアを開け、車体を傾かせて栖桃さんを車外へと放り投げました。
「きゃあっ」
「アリスさん、なにを」
「何を、ではありませんよ。このバカップル。これだからリア充は嫌いなんですよ。二人とも好きあっているのなら、戦わずに逃げて逃げて、その先で一緒に暮らせばいいじゃないですか」
ポカンとしている白馬君と栖桃さん。私は空気を読まずに続けます。そういうのは得意なので。
「トラックごっこはもう辞めです。よくも私を都合よく乗り回してくれましたね。そうやって連れてこられた先はモンスターの巣窟だなんて失礼すぎます。それに私、カップルは嫌いです。こっちはこんな身体になったっていうのに、車内でイチャイチャしやがって。なに見せつけてくれてるんですか。そういうのは自宅でやれ! それと白馬君」
「え、なに」
「やっぱりアナタは見た目どおりガキですよ。泣いている女の子を残してカッコつけちゃって。本当の戦場はここじゃない。彼女の隣で未来永劫戦いやがれってんです。それと栖桃さん」
「あ、はい」
「以前、私と白馬君がお似合いといいましたね。白馬君の実年齢は30歳とか。でもね。私の年齢はもっと上、いえ言い過ぎました、少しだけ上なんですよ。私は年上が好みです。だからですね、え~と、ここには私が残ります」
「アリスさん。どうして、そうなるんだ」
白馬君が抗議します。されど受けつける気など毛頭ありません。
「だってこんな身体ですよ。もとの世界に戻ったってシアワセになれっこありません。もともと、あの世界は私に冷たかった。ウェブ小説を書けば、最終回ブーストでやっと日間36ポイントを得てランキングの最下部に載れると思えば、その日に限って285位以下はみんな36ポイント所持者。なぜか私の作品はランキングに載らないし」
二人とも、口を開けて私を見上げておりました。続けるっ。
「ビンゴゲームに参加すればトリプルリーチがかかってもビンゴにならない。小学校では花壇の水やりを率先して行えば、私のチューリップだけ球根が腐る。幼稚園の移動動物園では、手に乗せたヒヨコが糞をするし……」
「アリスさん!」
栖桃さんが声を上げます。無視。
「とにかく私は異世界で生きます。塔を壊して現地人に協力して、魔王を倒してエルフのイケメンを侍らせます。エルフは長寿で年上ですよね。私にピッタリです。名前もエルフに改名します」
「アリスさん!」
白馬君が声を荒げます。無視。
「元の世界には帰りませんよ。そもそも大学卒業したのに就職先がないって……。アナタたちは元の世界に戻って学校に行って就職して大人になって結ばれれば良いじゃないですか。まだ聞きたいですか。え~と、次は……」
「わかった。俺は栖桃の側にいる。側にいたい」
白馬君がつぶやきました。
「ここはアリスさんに任せる。俺たちはもとの世界に帰る」
「え? じゃあアリスさんは?」
白馬君は栖桃さんを抱えて洞窟のほうへ駆け出しました。
「アリスさん。ダメ。アリスさぁぁん!」
「塔は必ず壊します。さっさと私の前から消えて下さい。バカップル」
私は去りゆく二人に車体後部を向けると、排気口に魔力を集中して噴射しました。私の魔力を追い風にし、栖桃さんを抱えた白馬君は、やってきた洞窟のほうへ跳躍していきました。
魔力を拡散すれば、二人の気配を確認できます。そして二人の気配は、今、この世界から消えていきました。
「ありがとう。元気でね」
ちゃんと、大事なモノは送り届けたよ。
私はモンスターの大群へ車体を向けます。
襲い来るモンスター。私は急加速し体当たりと魔力フィールドで迎え撃ちます。
「行くぞ化け物ども! ここに転生してくる人間なんて純粋で良い子ばかりなんでしょう。だけど私はクソ大人。心の隙間には悪魔が潜んでいるんです。覚悟しやがれ!」
ゴーレムの拳が魔力フィールドを突き破り、フロントガラスを砕きました。
スライムが粘液を飛ばし、コンテナに穴を開け、二人が生活していた大切なコンテナのリビングを、思い出ごと溶かしていきます。
プテラノドンの放った火球が左後輪に直撃。タイヤが吹き飛びました。
タイヤが足りないトラック。だからなんだ。私は幼いころから足りないと言われ続けてきた。愛想がない。配慮がない。言葉が足りない。
「だから、どうしたぁぁぁ!」
重力制御の神器フルパワー! シフトレバーの腕輪が熱を帯びます。
車体が宙に浮き、塔へ向けて一直線。そのあいだもモンスターの特攻や火球攻撃が私の身を焼き、削ぎ、切り刻んでいきます。弾け飛んでいくミラー、コンテナ、タイヤ、ガラス。
「ウホォォォォ!」
ゴリラが遮るように立ちはだかってきます。このまま突っ込めぇぇぇ!
「ウオォォォォ!」
私はゴリラの腹に突撃。勢いそのまま塔の中心へと突っ込みました。
★
落雷かと思うくらいの轟音を上げ、塔は崩壊していきます。私はゴリラと塔を貫き、勢いそのまま空を駆け、後方に意識を向ければ、塔の上部はゴリラと共に地表に崩落していきました。
これで、もう二人の前に異世界トラックが現れることはないでしょう。
それにしても……塔は破壊されたというのに、モンスターが追いすがってきます。ゴーレムが車体を砕き、オオカミがシャフトに爪を立て、プテラノドンの嘴が天井を貫き……。
地表に落ちていく私の部品。離れてくれないモンスターたち。これでは洞窟へは急げません。元の世界にも帰れないでしょう。
「せっかく空飛ぶトラックになったんです。勢いそのまま、行けるところまで走ってみましょう!」
私はボロボロになりながら、イヤなお荷物と共に異世界の空を駆けたのでした。
★
あれから、どれくらい経ったでしょうか。
モンスターの猛攻で破損を続け、朽ちていき、私は残されたわずかな魔力で意識だけの存在となり、異世界の空を飛んでおります。絡みついてきたモンスターも既におりません。ついにトラックの身体も失ったか。
異世界の空、けれど周囲は光りに満たされ、生物の気配はなし。ついに異世界ですらない所までやってきたみたいです。
この場所が何なのかわからないのですが、もう良いのです。だって意識も消えそうだから。
ああ、変な人生だったな。でも最後の最後は楽しかったな。
……おや、私の意識に何かが引っ掛かっていますよ。もう身体なんてあるはずないのに。
あ、これは斗乱風・覇亜徒の女王がくれたお守りです。たしか運命の相手に会わせてくれる、なんて言っていましたね。
私の人生、そんな相手はいなかったな。愛してくれる人間。白馬君と栖桃さんみたいな関係になれる人間。会いたかったな。どんな人なのかな。
ううん、いえ、私の人生は満足です。
そう思うとお守りは輝いて、ついに私の意識は消えたのでした。
★
ここは何処? 私はだぁれ? ええ、アリス。
気がつけば、そこは病院のベッドでした。
「どうして。なにが起こったのでしょうか」
上体を起こし、記憶の最後をたぐります。そうだ、お守りです。運命の相手に会わせてくれる、そんなお守りが光ったんです。
「私を愛してくれる人間って、私の身体だったんですね。結局私しかいないってコトですか……」
フンだっ。医者や看護師は奇跡の復活だとの歓声を上げていますが、私は布団を被り、自分でもわからない意味不明な涙を流すのでした。
★
あの出来事は夢だったんでしょうか。退院した私は二人に連絡を取ろうとしましたが。
「電話番号くらい聞いておけばよかった」
あのときは三人一緒が当り前だと思っていましたから。ほんの数日の仲なのに、変な感じです。
でも、あの二人ならこの世界に戻ってきている。今さら私が登場しても迷惑な話でしょうし。じゃあ、いいか。
道を行きかうトラックを見て、やっぱり夢だったのではないかと思うこともあります。
「でも、夢じゃありませんよね」
だって、ほら……
「お客さん、給油でもないのにガソリンを買うなんて。何に使うんですか」
ガソリンスタンドの店員が私に食ってかかります。
「ニオイを嗅ぐためです。私の中のトラックの魂が、ガソリンが恋しいと嘆くのです」
そう。私の魂は私の肉体に還ることが出来ました。では、私の身体を支配していたトラックの魂は何処へ行ったって? 身体の中で同居中ですよ。
私が求めていたのは白馬君と栖桃さんのような関係です。決してトラック野郎と肉体関係を結びたかったワケじゃない。
え? トラック、なんだって? ガソリンが恋しい? 私まで感化されてガソリンが恋しくなってしまうではないですか!
「せめてコップ一杯ぶんだけでも売って下さい」
「この客、まさか飲む気か。死んじまうぞ。誰か、警察を呼べ!」
私にすがられた店員は戦慄した様子で110番通報をしやがりました。
数分後、連行される私。
ああ、生きづらい世界ですよ。
おわり
第4章終了しました。
突然ですが『なろう小説』にはランキングという素敵なシステムがあります。
作者には、ある夢があります。
そこで読者の皆様にお願いがあるのです。
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星が並んでいるのです。
作者はこの星々を見ているとスター☆トゥインクル・プリキュアの『羽衣ララ』ちゃんを思い出すのです。
読者様の中でララちゃんと再会できる方法をご存知の方はいらっしゃいませんか。是非、方法を教えて下さい!
作者はララちゃんのほっぺをツンツンして「やめるルン! 意地悪な男の子は嫌いルン!」と怒られたいのです。
夜の駅前で星空を見上げ、泣いている男がいます。それは作者です。気軽に声をかけて下さいね。




