6.戦闘①
ロスカが剣を買ってから、三か月が経った。
あっという間だった。
ロスカは、遅れを取り戻すように成長した。
お金の単位や地図の読み方、生きていくのに必要な知識を吸収していった。
だが何よりも一番成長したのは、剣の腕だった。
「はっ!」
気合の一声とともに、一刀両断。
ロスカの目の前に、ゴブリンの亡骸が転がった。
ロスカは、魔法を使わなくても、単体の魔物なら負けることはなくなっていた。
「いいじゃねえか。ひよっこ剣士」
ロスカの胸元に、皮紐で固定されたレオスが言った。
レオスを持ち歩くには、手がふさがってしまう。
だからと言ってポーチや鞄にしまうとレオスが何も見えないと怒るので、胸元に固定できるよう店員に加工してもらったのだ。
店員が見栄えが悪いので、レオスを削ろうかと言ったときには心底おびえていた。
「しかし、ずいぶん見られる顔になったなあ。あの時は、今にも死にそうなくらいヒョロヒョロだったのに、子供ってのは成長が早いな」
レオスがしみじみと言う。
支度金としてもらったお金とそのあとの魔物を狩って得たお金で、まともな食事をとることができた。
一か月も経つと、貧相な体はどこかに行ってしまった。
ロスカは食事が、これほど人を幸せにするのだと初めて知った。
栄養が行き渡ったおかげか、ロスカの背も少しばかり伸びた。
そのおかげか、斬撃に威力が増した。
そこから、小さい魔物なら断ち切ることもできるようになった。
「ゴブリンは今日これで五匹目だね」
そう言いながらロスカは、ゴブリンの爪や持ち物を回収していく。
こういったものを集めて、街で売って稼ぐ。
大した金額にはならないが、その日にロスカの腹を満たすくらいはある。
なんなら、少し貯金もできているくらいだ。
最近魔物が増えているようで、二人はよくありがたがられていた。
ゴブリンは、特に人の持ち物を集めるため、弱い割には金になる。
二人は、首都ヴァルクの周りを囲む森からまだ出発していなかった。
レオスがここである程度の基礎を身に着けてから向かうと言ったからだ。
この森に出る魔物は、剣の初心者でも倒しやすい魔物が出る。
修行の場に、うってつけだった。
「今日も問題なく飯は食えそうだな。あー俺もうまい肉と酒を食いたいぜ」
「レオスってたまに人間のおじさんみたいなこと言うよね」
「こら、師匠になんて口ききやがる」
「そもそも何で石なのに、レオスは話せるの?」
「さぁな。俺にもわかんねぇ」
ロスカは、こうしてレオスの正体についてたまに聞いてみる。
だがいつもこうして、まともな返答が得られたことはない。
レオスのことは、信じている。
でもレオスは、自分のことを信じてくれていないのかもしれない。
「なあ、ロスカ。まだ死にたいと思うか?」
レオスのことを聞くと、必ずこのことをロスカに聞く。
「……どうだろう」
ロスカの返答もいつも同じ。結局、心の奥底を話さないのはお互い様だった。
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