37.レオスの過去④
四人は、団長の言うとおりそれぞれの才能に長けた人物だった。
魔法騎士のアーシェラ。回復魔法士のナリア。
騎士のセリオンとレオス。
全員、騎士の間では名の知れた人物だった。
そのおかげか、旅は順調に進んだ。
全員が戦いに慣れているので、安定した戦いができる。
ベザクまで二ヶ月半で着くことができた。
ベザクは、ひどい有様だった。
火山から魔物が攻めてきて、町は崩壊してしまっていた。
最近できたばかりの図書館に町民は避難して、配属された騎士や町の男たちが籠城戦をしている状況だった。
しかし食べ物も底をつき、子供や老人から死んでいく。
まさにその最中に、四人はやって来たのだ。
その惨状を見ても、レオスはガラスの向こうの世界のように感じた。
まるで、現実感がない。
図書館で大隊長からセリオンが話を聞いていた。
「籠城戦ではいつか限界が来るのはわかっていた……。しかし、オルダナ火山に行く戦力はないのだ……」
頬がこけた大隊長は、膝の上で拳を震わせていた。
応援など、この状況で来るわけがない。
いつか自分たちが死ぬと分かっていながらも、戦わないという選択肢はできるはずがない。
セリオンは大隊長の肩に手を置くと、囁くような声で答えた。
「僕がなんとかしよう」
そう言うと、セリオンは立ち上がり部屋から出ていった。
今何と言ったのかというような顔で、大隊長とレオスは扉を眺めていた。
レオスは走ってセリオンを追いかけた。
セリオンはそれに気付いているだろうが、足は止まらない。
「おい、セリオン。何とかするってどういうことなんだよ」
「言葉のままだよ。僕が一人で何とかするから、君たちはここで待っていてくれ」
この言葉に、レオスの心に棘が刺さったような痛みが走った。
こいつにとって、自分たちは足手まといなのか。
お荷物なのか。それでも、レオスは食い下がった。
「そんなわけにはいかないだろ。お前が行くなら、俺たちも行くに決まってるだろうが」
「君たちはここで待っていてくれた方が……」
「俺たち仲間だろ? お前はそうは思ってないのかよ」
セリオンはここでやっと足を止めた。
いつも表情を変えずに何でもこなす男だが、初めて困っているような顔を見せた。
そこに、アーシェラとナリアも二階から走ってきた。
「セリオン、どういうことなの? 勝手に火山の魔物なんとかするとか言って」
アーシェラの鋭い言葉が真っ先に飛んでくる。
「そうです。私たちには使命が……」
「魔物が火山から来るのは、魔王がいるからかもしれない。だから僕一人で様子を見てこようかと思ってたんだ」
「それならなおさら一人で行かせるわけにはいかないだろ。もし魔王に会って、一人で戦ってお前が死んだらどうするんだよ」
「確かにそれもそうだね。……わかった。みんなで行こう」
レオスは千年経った今も、この瞬間のことを後悔していた。
あのとき、セリオン一人で行かせていれば、あんなことにはなっていなかった。
全て俺が招いたことだ――。
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