33.決別
寒い。
ロスカは、目を開けた。
辺りは薄暗さのせいで、ほとんど何があるか見えない。
体を起こそうと手をつこうとした時、気付いた。
……手錠がついている。
よく周りを見てみると、目が慣れたのかうっすらと周りが見えるようになってきた。
鉄格子がある。
近くにはバケツと、人が一人眠れる大きさの木の板が一枚。
ロスカは、牢屋にいるようだった。
どうして私が……。
そこまで考えて、先ほどまでの記憶が戻ってきた。
レオスを取り戻すために、国の兵士に背いたこと。
そして、自分が『裁き』を受けたこと。
そんなことをして、生きているだけまだましなのかもしれない。
思えば、体の怪我も全て治っている。
しかし、レオスは取り戻せていていない。
それでは意味がないのだ。
ロスカは体を起こした。
そして、手に魔力を込めようとする。
「無駄だ」
その時、奥から男の声が響いた。
「この地下牢は、全て魔法が使えないように封印魔法が張ってある」
男の言葉通り、ロスカがどれだけ手に魔力を込めようとしても無駄だった。
いくら魔力を集めようとしても、霧散してしまう。
ロスカの元に、声の主が現れた。
暗い地下牢の中でろうそくの光で浮かび上がる。
ロスカに『裁き』をくだした男が、こちらに向かって歩いてくるところだった。
「ここに私を閉じ込めて、レオスを良いように使うつもり?」
ロスカは怒りをむき出しにして、鉄格子を掴んだ。
ひんやりとした感触が、手の平に広がる。
「レオス君本人から許可を得ている」
「……そんなの信じるとでも?」
そんなわけがない。
レオスが、そんなことを言うはずがない。
「それなら本人から話を聞いてたらいいさ」
男がろうそくとは違う方の手を差し出した。
そこには、ろうそくの光を反射したレオスがいた。
「レオス! さっきこの男が言ってたことは本当なの?」
「……ああ。本当だ。ロスカ、今まで本当にありがとうな」
レオスはの言葉はまるで、最期の挨拶みたいだった。
「ちょっとまってよ。剣に使われるってことは、レオス死んじゃうってことだよ……?」
ロスカの声は震えていた。
死ねば、もう二度と会えない。
レオスともう二度と、会えない。
「わかってる。それでもこれは、俺がやらなきゃならないことなんだ」
「なんで……? 全然わかんないよ……」
俯いて、小刻みに震える手をロスカは握りしめた。
「それを説明するために、時間をもらったんだ。今から俺がずっと隠していたことを話す。聞いてくれるか」
そう言って、レオスは滔々と語り始めた。
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