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勇者の落としもの  作者: 永久福
第4章

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33.決別

 

 寒い。


 ロスカは、目を開けた。


 辺りは薄暗さのせいで、ほとんど何があるか見えない。


 体を起こそうと手をつこうとした時、気付いた。


 ……手錠がついている。


 よく周りを見てみると、目が慣れたのかうっすらと周りが見えるようになってきた。


 鉄格子がある。


 近くにはバケツと、人が一人眠れる大きさの木の板が一枚。


 ロスカは、牢屋にいるようだった。


 どうして私が……。


 そこまで考えて、先ほどまでの記憶が戻ってきた。


 レオスを取り戻すために、国の兵士に背いたこと。


 そして、自分が『裁き』を受けたこと。


 そんなことをして、生きているだけまだましなのかもしれない。


 思えば、体の怪我も全て治っている。


 しかし、レオスは取り戻せていていない。


 それでは意味がないのだ。


 ロスカは体を起こした。


 そして、手に魔力を込めようとする。


「無駄だ」


 その時、奥から男の声が響いた。


「この地下牢は、全て魔法が使えないように封印魔法が張ってある」


 男の言葉通り、ロスカがどれだけ手に魔力を込めようとしても無駄だった。


 いくら魔力を集めようとしても、霧散してしまう。


 ロスカの元に、声の主が現れた。


 暗い地下牢の中でろうそくの光で浮かび上がる。


 ロスカに『裁き』をくだした男が、こちらに向かって歩いてくるところだった。


「ここに私を閉じ込めて、レオスを良いように使うつもり?」


 ロスカは怒りをむき出しにして、鉄格子を掴んだ。


 ひんやりとした感触が、手の平に広がる。


「レオス君本人から許可を得ている」


「……そんなの信じるとでも?」


 そんなわけがない。


 レオスが、そんなことを言うはずがない。


「それなら本人から話を聞いてたらいいさ」


 男がろうそくとは違う方の手を差し出した。


 そこには、ろうそくの光を反射したレオスがいた。


「レオス! さっきこの男が言ってたことは本当なの?」


「……ああ。本当だ。ロスカ、今まで本当にありがとうな」


 レオスはの言葉はまるで、最期の挨拶みたいだった。


「ちょっとまってよ。剣に使われるってことは、レオス死んじゃうってことだよ……?」


 ロスカの声は震えていた。


 死ねば、もう二度と会えない。


 レオスともう二度と、会えない。


「わかってる。それでもこれは、俺がやらなきゃならないことなんだ」


「なんで……? 全然わかんないよ……」


 俯いて、小刻みに震える手をロスカは握りしめた。


「それを説明するために、時間をもらったんだ。今から俺がずっと隠していたことを話す。聞いてくれるか」


 そう言って、レオスは滔々と語り始めた。


ここまで見てくださってありがとうございます。

楽しんでいただけますでしょうか?

もしよかったら感想などいただけるとうれしいです。

見てくれたあなたに、幸せが訪れますように。

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