30.パーティ①
ヴァルクへは、予定通り三ヶ月で着いた。
ようやく差してきた朝日に、ロスカは目を細める。
ロスカは今や故郷となったベザクを思い出していた。
今頃北にあるベザクは、雪が降って凍えるような寒さになっているだろう。
雪も降っているかもしれない。
城に到着すると、門番の兵士に声をかける。
回収者の証である国紋を見せると、すんなりと中に通された。
ただ武器だけは、門番が預かるとのことだった。
メイドがロスカを連れて、城の中に案内する。
庭の大きな噴水、自分の何倍もある大きな扉、豪華な装飾品の数々。
ロスカには全て初めて見るものだった。
「こちらがロスカ様の滞在していただくお部屋でございます」
メイドはそう言って、扉を開く。
中は、豪華絢爛という言葉がふさわしいほどだった。
いくらするのかわからないような壺が置かれ、ベッドには天蓋までついている。
ロスカが言葉を失っていると、メイドはごゆっくりお過ごしくださいと言っていなくなってしまった。
「す、すごいね……。これがお城なんだね」
「ヴァルク城は、国の要だからな。他国に財力を示すためにも、これだけ豪華なんだろうぜ」
レオスの言葉にへぇと感心する。
あの図書館で暗かったレオスは、次の日には元通りになっていた。
やはり聞いても、今は話せないと言われるだけだったが、元気になれたのなら安心だ。
ロスカはベッドに腰をかける。
すると、ふんわりとお尻が包み込まれる。
こんなにふわふわなベッドは初めてだ。
「すごい! レオスすごい!」
ソファに腰をかけても同じだ。
上等な素材なのだろう。
「おいおい、騒ぎすぎだぜ……」
レオスも思わず呆れてしまうほど、ロスカははしゃいでいた。
先ほどまでの寂しい気持ちは、どこかに飛んで行ってしまった。
ベッドに横になっていると、ノックの音が聞こえる。
起き上がってみると、夕日が窓から差している。
どうやら少し眠ってしまったようだ。
はいと声をかけると、扉が開かれた。
そこには、城の執事であろう初老の男が立っている。
「ロスカ様、王がお呼びです」
ロスカが慌てて鏡を見に行く。
顔には寝癖とよだれの跡がついている。
「すみません! ちょっと待ってください!」
ロスカの言葉に、執事は少しも表情を崩さずはいと答えた。
寡黙な執事だ。
顔を洗い、髪を濡らして整える。
置いてあるブラシも上等なものだった。
支度を終えたロスカを執事はじっと見つめる。
何か変なところでもあったかと不安になるが、視線は胸元のレオスに向けられていた。
「そちらは、ブローチですかな」
「いえ! この石はただの石じゃなくて、私の大事な相棒なんです」
「よう。レオスってんだ」
ロスカの紹介にすぐにレオスも便乗する。
相変わらず執事の表情は変わらないが、じっとレオスを見ている。
沈黙が続いてロスカが声をかけようとしたところ、執事が動き出した。
「こちらへどうぞ」
そう言う執事の後へついて行くと、案内されたのは大広間だった。
いくつか丸テーブルが置いてあり、その上には見たこともないようなごちそうが並んでいた。
ロスカの腹が鳴る。
執事がここで待つように言う。
そのまま、執事は大広間の中にいる兵士に何かを話に行った。
なんだか、行動を逐一報告されているような気がして、ロスカは思わず口をすぼめた。
よく見ると大広間には玉座のようなものがあり、その周りには兵士が十人ほどいた。
ただの兵士ではなく、金色の鎧を纏った近衛兵だ。
そして、ロスカのような一般人もいる。
ガタイのいい男たちが食事には手をつけずに、立っている。
男たちは、いくつかのグループに分かれているようだった。
この人たちも、ロスカと同じ回収者だろうか。
きょろきょろと辺りを見ていると、見覚えのある顔を見つけた。
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