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1-24 悪魔の衝動

轟が小森を追いかけて購買の前に向かって行く同時刻。

俺と龍夜は鉄也の依頼を受けて一年生棟に到着する。

「1年生棟に着いたが、これからどうするよ生徒会長殿?」

「そうだなぁ~とりあえず鉄也が言ってる不良生徒が、どんなやつらか聞き込みに回ったらいいんじゃね」

「情報収集ってわけか。それじゃ手分けしてさっさと済ませるか」

「俺とヘパイストスは奥のF組側から聞き込み回るから、勇飛はA組側から頼むわ」

「了解」

お互いの役割を整理すると龍夜はヘパイストスを連れてF組側の方に向かって行った。

「それじゃ、俺も聞き込みを開始するとするか」

とりあえず、目の前のA組から教室の中を伺う。

教室にいた1年生の女子生徒組と目が合う。

「あ、副会長さん。私たちの教室に何か用ですか?」

俺と目が合った女子生徒が声をかけてきたので、ちょうどいいと思いその子に聞き込みをすることにした。

「鉄也…いや、梶田先生から聞いたんだけどさ、1年生の中に先生たちが手を焼いている不良生徒がいるってことらしいんだけど、誰のことか分かるかな?俺たち生徒会でその問題児の更生をしてほしいって頼まれちまって…」

「不良生徒ですか?そういった見た目の男子生徒でしたら、このクラスに1人心当たりがあります」

どうやら1人当てはまる生徒がこのクラスにいるみたいだ。

「そいつの名前って教えてもらえるかな?」

「はい、名前は轟健太郎君っていいます。彼いつも目つきが悪くて、銀髪だし、額に喧嘩か何かで出来た古傷がついているし、それによく他のクラスの悪そうな人たちとも絡んでいるところを見かけたりします。間違いなく先生が言っていた不良生徒のことだと思います!」

銀髪に喧嘩の古傷か…恐らくこの子が言っている生徒が今回のターゲットで間違いないだろう。

「なるほどな。情報共有ありがとな。助かったよ」

「いえ、お役に立ててよかったです。副会長も生徒会のお仕事頑張ってください」

情報を共有してくれた女子生徒にお礼を言うと、その場を後にして龍夜のもとへと合流に向かった。

龍夜が向かったF組側に進んで行くと、ちょうど調査が終わってこちら側に向かって歩いてくる龍夜たちと合流した。

「おう勇飛、そっち側の調査はもう終わったのか?」

「まぁな。その言葉そっくりそのままお前に返すが、そっちは成果はあったのか?」

「おっと、なめてもらっちゃ困るぜ勇飛。こっちも成果は大ありだぜ」

どうやら龍夜の方も手掛かりを掴んだみたいだな。

「それじゃ、ここで話すのもなんだし、いつもの場所で成果報告とするか」

「いつもの場所な、りょーかい」

龍夜に場所を変えるように促すと、いつもの場所である校舎の屋上へと移動した。


校舎の屋上へ移動してきた俺と龍夜は、互いに聞き込みの成果を報告しあった。

先に龍夜の方から聞き込んだ情報を話し始めた。

「俺が聞いた話だと1年生の中に何人かの不良生徒が(グループ)を作っているって聞いてな。その中に特に目つきの悪い銀髪の如何にもヤンキーみたいな見た目をした奴がいて、そいつが不良組(グループ)を束ねているんだってよ」

龍夜が聞いた話の中にも銀髪のヤンキーこと轟健太郎が話題に上がっている。

やはり今回の(ターゲット)は轟のことで間違いはないようだ。

「その銀髪ヤンキーのことだが、俺も聞き込みの中で同じことを聞いてきたよ。名前は轟健太郎って生徒らしい」

「それじゃ、その轟ってやつを俺たちでどうにか対処したらいいってことだな」

龍夜がそうと決まれば話が早いというように、拳を突き合わせて、今からでも轟を捜しに向かおうとする姿勢を見せている。

「まぁ、待てよ龍夜。確かに力尽くで対応しようと思ったら、俺たちなら出来なくはないと思うが、残念なことに、俺たちに生徒会長と副会長って肩書がある以上、こちらから下手に手を出すのはまずいだろうな」

「でもよ、話し合いで解決するような奴らでもなさそうじゃね?」

「あくまでこっちから先に手を出したらまずいってことだ。まずは話し合いの交渉から入って、向こうが手を出してきたらその時はその時で対処したらいい。俺と龍夜、あとヘパイストスとヘラクレスの4人なら何とかなるだろ」

そう言うと俺はヘラクレスとの契約の魔具に意識を集中すると、この場に唯一いないヘラクレスに呼びかける。

その瞬間、上空から橙色の光を纏った物体が、俺たちのいる屋上へと落ちてきた。

その光の中からヘラクレスが姿を現すが、何やら少し機嫌を悪くした表情を浮かべている。

「おいおい勇飛、せっかくの休暇中に呼び出すな…」

それもそのはずで、ヘラクレスは本日休暇を取っており、一時的に天界へと帰天(きてん)していたのだった。

「休暇中に呼び出して悪いな。ちょっとお前の手も借りたいと思ってよ」

「ったく、人使いじゃなくて神使いが荒いなうちの主は…で、これから何をするんだ?」

「人間界の悪党どもを懲らしめるらしいぞヘラクレスよ」

ヘラクレスの問いに対して龍夜の横にいたヘパイストスが答える。

「悪魔使いの人間ではないのか?」

「どうやら悪魔に取りつかれていない人間でも悪いやつはいるみたいらしい。龍夜たちの話によるとそいつらは中々に気性が荒いとのことらしいから、いざとなったら拳で語り合うらしい」

「なるほど、天界で毎年恒例の男神喧嘩祭(だんしんけんかまつり)みたいなものか」

ヘパイストスの説明を聞いて、何となく状況を理解した様子のヘラクレス。

「最初から喧嘩はしねぇよ。でもいざとなったらそれもやむ無しってことだ」

龍夜と同じく最初からやる気満々のヘラクレスを軽く制する。

「それじゃ最初の交渉は勇飛に任せるとして、轟のやつを捜しに行くとするか」

「そうだな…というか轟がどこにいるのかは分からねぇだろ」

「聞き込みでもう1つ情報を手に入れてたんだけどよ、不良組はよく1年生棟の物品保管で使用している空き教室をたまり場にしているって聞いたから、とりあえずそこに向かったらいいんじゃね」

「そうなのか、それじゃ案内は龍夜に頼んだぞ」

こうして龍夜の指揮のもと、轟を捜しに再び1年生棟にある空き教室へと向かった。


時は再び購買の自販機から小森が空き教室へと戻ってきた頃に戻る。

「おっせんだよ小森!いつまで待たせやがんだ」

不良の1人が戻ってきた小森を突き飛ばす。

「うわっ!!」

突き飛ばされた衝撃で床に倒れこむ小森。

「しかも俺が頼んだやつと違うやつ買ってきてんじゃん。ったくマジで使えねぇやつだな」

「こりゃちょっと仕置きが必要だよな」

他の不良たちも倒れた小森を囲い込むように近寄ってくる。

「うぅ…」

このまま不良たちの制裁を受けることになることを覚悟した小森は怯えたように涙を流す。

「(どうして僕はいつも弱虫なんだ…僕にだって…こいつらを見返してやれるだけの力があれば…)」

小森が自分の無力さを悲観するよう心の内に悔しさと憎しみが籠った黒い感情が溢れ出たその時だった…

『チカラガホシイカ!?』

「…え、何?」

小森の頭に不気味な囁き声が響く。

その不気味な声は他の不良たちには聞こえておらず、小森にだけ語りかけているようだった。

その声に反応して小森が顔を上げて周りを見ると、まるで自分以外の時が止まったかのように周りの不良たちは微動だにしない様子で立ち止まっていた。

「お前の…心に宿った負の感情が…我を呼び寄せたのだ」

今度はその声がはっきりと聞こえ始める。

小森が声のする方へ視線を向けると、そこには鳥の頭と人間が合体したような姿の魔人が立っていた。

「う、うわぁぁぁ、ば、化け物!!」

突然目の前に現れたこの世のものとは思えない化け物の姿に驚いた悲鳴を上げる小森。

「ククク、人間とはやはり哀れで滑稽だな。我が名はガルダ。お前たち人間の言うところの悪魔である」

目の前で驚く小森を小馬鹿にするようにガルダと名乗った悪魔が嘲笑う。

「あ、悪魔だって…はは、ついに僕も虐められすぎて可笑しくなっちゃったのかな」

「可笑しくなどない、今お前の前に見えている我の存在は間違いなく現実だ」

「そうだとしたら、こんな僕に悪魔が一体何の用だというんだ?僕の命でも狙いに来たのか?」

「お前の命などに興味はない。ただお前の持つその負の感情が我にとって必要なものでもあってな。お前の願いを叶えてやる代わりに我と契約を交わすのだ人間よ」

「僕の願い…さっき言っていた力が欲しいか…ってことだよね?」

「無論だ。我と契約を交わせば、これまでお前を見下してきたこいつらを見返すほどの力を与えてやろう。どうだ?悪い話ではないだろ」

「悪魔との契約…」

いきなり目の前に現れた悪魔から契約を求められた小森は少し躊躇するが、答えはすでに決まっていた。

「僕のことを馬鹿にしている不良達(こいつら)や、他にもこれまで僕のことを散々見下してきたやつに復讐できるのなら、悪魔と契約することなんて今更何も怖くないぞ」

そう言うと小森はガルダに向かって震えた手を差し出す。

「決まりだな。人間よ」

ガルダは不敵に笑うと差し出された手に紫色の瘴気を纏わせる。

瘴気はやがて契約の証である紫色の魔石が埋め込まれた寄生体のような姿に変えると小森の右手首に纏わりついた。

「これで契約は完了だ。どうだ、お前の中の負の感情と共鳴した神滅が力を与えてくるのを感じるだろ」

ガルダが言う通り、小森の心に宿った神滅がその力を象徴するかのように、小森の目は赤く染まり体から瘴気のオーラを発生させる。

その瞬間、止まっていた時が動き出し、再び不良たちが小森を取り囲む。

「おい小森、黙って跪いてないで何とか言ったらどうなんだ?」

周りの不良たちが煽るように笑いあげる。

そんな不良たちを横目にゆっくりと立ち上がる小森。

そして目の前の不良の1人を睨みつけるようにゆっくりと顔を上げる。

「あぁん、なんだ小森、テメェ何がん飛ばしてくれてんの?俺たちとやr…ぶはっ」

まだ話途中だった目の前の不良の一人の顔に小森の裏拳が炸裂し勢いよく吹き飛んだ。

吹き飛ばされた不良の一人は机に激突し、その衝撃で気を失う。

その様子を見た周りの不良たちが唖然とする。

「ははは、すごいや。本当にこいつらを見返せる力を手に入れたんだ…」

瘴気に体を飲まれた小森が不敵に笑いながら不良たちを睨みつける。

「お、お前…本当にあの弱虫小森か…?」

普段の小森と一転した姿を見た不良たちが怯えながら退いていく。

「何を言っているんだい、僕は僕だよ。それよりもこれまで散々僕のことを見下してきた君たちにはお仕置きをしてあげないとね…ははは」

「や、やめろ…よせ…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

狂気に怯える不良たちに対して容赦なく、小森の体から溢れ出る黒い瘴気が不良たちを飲み込んだ。


龍夜たちとの情報共有を終えて、再び1年生棟の空き教室へと向かうことになった。

そしてその空き教室へと向かっている廊下での道中。

向側から銀髪に黒色のヘアバンドを付けた生徒の姿がこちら側に歩いて向かってくるのが見えた。

「勇飛、あれって轟じゃねぇか?」

見た目から一発で轟であることを判断した龍夜が横から問いかけてくる。

「あぁ、そのようだな。思ってたよりも分かりやすい奴だったな」

「よしっ、とりあえず声かけてみっか」

そういうと龍夜が先陣して轟の方に向かっていく。

轟も向かってくる龍夜の姿に気づいた様子を示すが、上級生が目の前にいるだけかといった様子でそのまま龍夜の横を通り過ぎようとする。

しかし、龍夜は隣を通り過ぎようとする轟の目の前に右手を広げて行く手を遮る。

「おっと待ちな。お前が轟健太郎だな?」

「あぁ、そうっすけど、アンタら2年の先輩だよな。いきなり押しかけてきて何すか?」

いきなり行く手を遮られてイラっとした様子の轟が龍夜に睨み返しながら答える。

噂通りのこともあり、態度はあまりよろしくない印象だ。

とりあえず初対面の相手だし、先ずはこちらから名乗ることにする。

「悪いな引き留めてしまって。俺は桐城勇飛、最近生徒会の副会長になった者だ。それでお前を引き留めたそこの奴が生徒会長の火炉瀬龍夜だ」

「…1年の轟健太郎っす。それで生徒会の先輩たちが俺にどのようなご用事で?アンタらには今のところ迷惑かけた記憶は無いんっすけどね…」

「あいにく俺たちも好き好んでやってるわけじゃないんだが、鉄也からのお達しでよ」

「鉄也って、あの梶田っすか?」

「そう、それで色々聞き込みしてたら不良組を仕切っているのがお前って噂を聞いて尋ねてきたわけだ」

「なるほどっすね…確かに知らない奴らからはそう見えてしまうのも仕方ねぇか…」

轟が呆れた様子でため息をつく。

「健太郎、不良じゃない、見た目で損しているだけ」

轟の横から不意に金髪の少女が顔を出し、ジト目で俺たちの方を見つめる。

「誰だこの子は…轟の妹か?」

「そんな訳ないだろ勇飛、きっと隣の中学生が迷い込んだんだって。お嬢さん良ければ俺が送り届けてあげ…っいってぇ!!」

目の前に現れた少女を揶揄う龍夜が何かに打たれたかのように後ろに仰け反った。

少女に視線を向けるとどこから取り出したのか、右手に握ったエアガンで龍夜の額を打ち抜いていた。

「この人、礼儀知らず、ちょっと苦手」

「おい、アルテミス。それ俺の家からまた勝手に持ち出したな!?」

「本気出したら、この人死ぬ、手加減した」

少し慌てた様子の轟に対して、少女は冷静に答える。

「ん?聞いたことがある声がしたと思えば、アルテミスではないか!」

「よぉアルテミス。お前、こんなところで何してんだよ」

轟がアルテミスと呼ぶ少女の名前に反応したのか、ヘラクレスとヘパイストスが姿を現した。

「ヘパイストス、ヘラクレス、もしかして、この人たち、契約者?」

目の前に現れたヘパイストスとヘラクレスの姿を見て、少し興味を示した表情を見せるアルテミス。

「あぁ、今お前さんが打ってそこで伸びている男が俺の契約者の龍夜だ」

「そしてそこにいるもう一人が勇飛っていう俺の契約者だ」

ヘパイストスとヘラクレスがそれぞれ契約者である俺たちをアルテミスに紹介する。

「ということは、轟もそこにいるアルテミスと契約した神使いってことなのか?」

「あぁ、そうっすね。まさかこんな形で他の神使いに会うとは思ってもいなかったっすけど…で、もう気づいてると思うが、そこにいるアルテミスが俺が契約した神様だ」

「聖天六神序列4位、閃光のアルテミス、よろしく」

龍夜を打ったエアガンを右手で弄ぶように回しながら、軽く挨拶を返すアルテミス。

「ところで話がそれてしまったが、轟が不良組のリーダーじゃなかったのか?」

話を元に戻すため轟に問いかける。

「はぁ…別に俺は不良とかそういうのに興味があるわけじゃねぇっすよ。不良達(あいつら)が勝手に寄ってきただけで、気づいたころには悪い噂が流れていたっつうか…」

「健太郎、見た目怖い」

「なるほど、見た目で損するタイプなんだな。ご愁傷様なことで」

アルテミスといつの間にか復活していた龍夜が哀れんだ表情で轟の方を見る。

「るせぇ、ほっとけ!それで、もういいっすか?俺、いまから行かなきゃいけないところがあるんだけど…」

轟がそろそろ開放してくれと言わんばかりの表情をしたその時だった。

『や、やめろ…よせ…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!』

廊下の突き当りから男子生徒と思われる叫び声が聞こえてきた。

「な、なんだ?」

突然の叫び声に驚いた龍夜が声の方に視線を向ける。

「この声…空き教室(たまりば)からか!?」

声の主に聞き覚えがある轟は、咄嗟に声のした方へと走り出した。

「お、おい待てよ轟!一人で行く気か」

轟を呼び止めるも、こちらを見向きもせず廊下の突き当りを曲がって姿を暗ました。

「ったく、おい龍夜、俺たちも追いかけるぞ」

「おっけー勇飛。こいつぁヤバい事件の匂いがするな」

何故か1人ワクワクした様子の龍夜を横目に二人して轟の後を追いかけた。


声の出所は不良たちが溜まり場としていた空き教室からだった。

空き教室の前に着き中を覗くと、そこには轟の姿と倒れた不良生徒たちの姿があった。

倒れていた不良の1人がうめき声をあげている。

意識があることを確認した轟がその不良生徒に駆け寄って声をかける。

「おい、ここで一体何があった?」

「こ…小森のやつが…あいつ…いきなり…人が変わったみたいに…」

「小森だと?あいつがこの状況を?」

「き…気をつけろ…いまのあいつは…人間じゃ…ねぇ…」

そう言い残すと力尽きるように意識を失う不良生徒。

「小森のやつ…まさか」

轟の中に嫌な予感が走ったその時だった。

「僕のことがどうしたって、轟君?」

教室の奥から聞こえてきた嘲笑うような声。

その声の方に視線を向けると、不敵な笑みと瘴気を漏らした小森の姿が立っていた。

「お前がこいつらをやったのか?それにその瘴気…てめぇ悪魔と契約したのかよ」

「そうだよ僕がこいつらをやったんだ。ところで僕の力が分かるってことは、もしかして君も神様に選ばれた神使いって奴なのかい?」

轟が神使いであることを認識した小森が小馬鹿にしたように笑う。

「なにが可笑しい?」

「あはは、君みたいな不良が正義の味方を気取っているのが可笑しくて…正義は僕のことを言うんだ。君たちみたいな不良を裁くことができる今の僕こそ正義なんだよ!!」

小森がいきなり手を前に突き出すと、その掌から黒い風の衝撃波が轟に目掛けて襲い掛かってきた。

「まじかよ!」

咄嗟の判断で黒い風の衝撃波を避ける轟。

衝撃波の勢いで教室の窓ガラスが割れて四散する。

「轟、大丈夫か!」

轟の元へ龍夜と共に駆け寄る。

すぐさまヘラクレスとヘパイストスも姿を現し、戦闘態勢を取る。

「おやおや、そこの先輩方も神使いだったんだね。これは楽しめそうだねガルダ」

小森が呼びかけると大鷲の頭と翼を持ち筋肉質の人間の体格をした鳥獣の悪魔ことガルダが姿を現した。

「人間と神風情が3人も…こいつらを食らえば俺も更なる高みへと登れるな」

ガルダが腕を組みながら見下した表情でこちらを見ている。

「小森って言ったか?初対面で悪いが、悪魔と契約した人間は野放しにはできない。ここでお前を討たせてもらうぞ」

「残念だが俺たちが来たからにはお前の負けだ。覚悟しろよ」

相変わらず威勢のいいことに宣戦布告を吹っ掛ける龍夜。

「はは、やれるものならやってみなよ。それにしてもここだと分が悪いなぁ…よし、場所を変えようか。ガルダ!!」

「ふん、分かった」

ガルダが小森の体を担ぎ上げると割れた窓から外へと飛び出す。

「おい、どこへ行く」

「教室は狭いからね、この学園の屋上で待ってるよ」

そう言い残すと小森は、ガルダに担がれながら屋上に向かって姿を消した。

「あのやろう屋上に逃げやがって。ってかまた屋上に逆戻りかよ」

「文句言ってる場合じゃねぇぞ龍夜。急いで追いかけるぞ」

「わ~ったよ。おい轟、お前も来るんだろ?先行ってるぞ!」

先程から静かに片膝をついてしゃがみ込んだままの轟に向かって一言声を掛けてから、小森を追いかけて屋上へと向かった。

空き教室に一人取り残される轟。

「健太郎、行かないの?」

沈黙する轟に声をかけるアルテミス。

「…分かってるよ」

轟がゆっくりと立ち上がる。

「これは俺がやるべきことだよな。あぁ、覚悟は決めたよ」

「健太郎、そう決めたなら、私もそれに従う」

何か思いを吐き出すように独り言を呟くと、小森を追いかけるべく屋上へ向かっていった。

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