1-23 閃光のアルテミス
生徒会選挙の一件から1週間が経過した。
新しい生徒会は生徒会長が龍夜、副会長が俺と亜理紗、書記会計が水希という体制で運営が始まった。
今日も放課後に生徒会室に集まり、生徒会としての職務に務めているところだった。
「なぁ、生徒会長になったはいいけど、やることなくて暇じゃね?」
生徒会長用に用意された席に居座る龍夜が暇そうに訴えている。
「お前が仕事してねぇだけで、やることは山積みなんだが…」
「あなたの仕事の殆どを私たちが片付けているのだから当たり前よ。そんなに暇なら今からでも遅くないから生徒会長の席を変わって差し上げましょうか?」
龍夜の向かいの右隣の席で、山積みの書類を精査する俺と亜理紗が訴える。
「だってよ…各委員会の年間計画、議案書の承認や各部活の予算編成なんてつまらないことのなにものでもないだろ。何か俺が求めていた生徒会長のやることとイメージが違うって言うかさ~」
「龍夜君、生徒会のお仕事ってそういうものですよ。それに予算編成の方はもうすぐ終わりますので、残りの書類整理を皆で協力して終わらせましょう」
愚痴を言う龍夜を宥めながらも電卓を叩き終え、各部活から上がってきた予算申請書に係る予算編成を完了させる水希。
普段は掛けていないが、生徒会室で会計の仕事を行う時には眼鏡を掛けている。
こう見ると如何にも仕事ができそうな姿だ。
「あ、そうだ!」
急に何かを閃いたかのように声を上げる龍夜。
「どうした急に声をあげて。生徒会長らしく何か良いことでも思いついたのか?」
「よくぞ聞いてくれた勇飛。生徒会と言えば生徒たちの声に耳を傾けるのも俺たちの仕事だよな」
「あぁ、確かに一理あるな」
「そこで思いついた!目安箱を設置してお悩み相談コーナーをやろう」
得意げな表情で言う龍夜だが、俺と亜理紗は龍夜に対して冷めた視線を送る。
「目安箱ってお前…今どきそんな古典的なやり方に素直に反応するやつがいるものかぁ?」
「珍しく勇飛に同意するわ。流石にこれは幼稚な発想に過ぎないんじゃないかしら」
龍夜の思い付きに反対する俺と亜理紗だったが…
「それ面白そうな提案だね、りゅーくん。ぜひやってみようよ」
俺たちのやり取りを聞いていたのか、生徒会室のソファーに座って暇を持て余していたフレイヤが賛成の声をあげる。
「ちょっとフレイヤ、あなたは生徒会に関係ないでしょ」
急に話に割り込んできたフレイヤを指摘する亜理紗。
「え~私たちを仲間はずれにしないでよ~亜理紗。へパっちだってそう思うでしょ?」
「ふむ、龍夜のアイデアにつまらないものは無いだろ。別に良いのではないのか」
同じくソファーで俺たちの仕事が終わるのを待っていたヘパイストスも龍夜の意見に賛同する。
「私も面白そうだと思いますし、とりあえず試しに期間限定でやってみても良いのではないでしょうか」
最後に水希も賛同の声を上げる。
「4:2で賛成多数ってことになるな。生徒会の議案は多数決で決議を取るんだったよなぁ」
フレイヤとヘパイストスを味方につけて調子に乗る龍夜が、どや顔で俺と亜理紗を煽ってくる。
「フレイヤとヘパイストスも議決数に入れていいのかよ…まぁ、お前がやりたいようにやってみたら良いんじゃないか」
「ふん、勝手にしたらいいわ。どうなっても私は責任を取りませんわよ」
「へへ、そんじゃ早速目安箱を作るとしますか。神器生成!」
そう言うと龍夜は、神使いの能力で自分がイメージした目安箱を瞬時に目の前の机の上に生成した。
「これがあんたの神使いの能力ね…意外と便利そうじゃない」
龍夜の能力を初めて目にした亜理紗が少し興味を示している。
「元々は戦闘用の能力って思ってたけど、こういう使い方もあるんだぜ。すげぇだろ」
「まぁ、馬鹿と鋏も使いようとはよく言ったものね」
調子に乗る龍夜だったが、そんな龍夜をバッサリと切り捨てるように言い放つ亜理紗。
そんな言葉の意味も知らず、龍夜は自作した目安箱を掲げながら、我ながらよく出来ているものだと感心している。
「で、龍夜、その目安箱はどこに設置するんだ?」
「とりあえずこれと同じものをもう1つ作って、正面玄関と職員室前の掲示板辺りに設置しようかなと思っている」
「なるほどな、確かに出来るだけ生徒の目につく場所が良さそうだしな」
「目安箱設置について先生の許可はどうするのかしら?勝手に置くわけにはいかないでしょ」
「先生への交渉は私が行ってきます」
「じゃあ交渉役は流華ちゃんに任せた!」
こうして龍夜の突拍子な思い付きで目安箱の設置を行うことになった。
果たして生徒の皆はこんな生徒会長の思いに応えてくれるのだろうか…
目安箱を設置した翌日の放課後、生徒会室にウキウキした様子で龍夜が入ってきた。
無論その両腕には昨日設置した目安箱が抱えられていた。
「龍夜、目安箱の成果はどんな感じだ?と言ってもその様子を見るからにうまくいったような感じだな」
「ふっふっふ、その通りだぜ勇飛。これを見るがいい!」
そう言うと龍夜は目安箱の上蓋を開けると勢いよく箱をひっくり返した。
ひっくり返した箱から折りたたまれた用紙がパラパラと零れ落ち、机の上に小さな山を作る。
ざっと見て数十枚は折りたたまれた用紙が入っていたことが分かる。
「案外こんな安直な施策でも、興味本位で意見が集まるものなのね…」
思っていた以上に生徒からの意見が寄せられていたことに驚いた様子の亜理紗。
「どうだ風条院、少しは俺を見直したか?」
「別に見直したわけじゃないですわ…そんなことよりどんな意見が書かれているのか確認しなくていいのかしら?」
得意げな龍夜を一蹴した亜理紗は、意見用紙を指しながら中身を確認するよう促す。
「相変わらず冷たい反応なことで。さてと俺もどんな意見が寄せられたのか楽しみだし、さっそく開封の儀といきますか」
龍夜が先陣を切って意見用紙の開封を始めると、それに続くように俺と水希と亜理紗も1つずつ意見用紙の開封作業を始めた。
「こういうのって開ける時が一番ワクワクしますよね」
「どうせ、ろくでもないことしか書かれてないんじゃないかしら…まぁ偶にはこういうのも悪くないけど」
何だかんだ言ってこの雰囲気を水希と亜理紗も楽しんでいる様子だ。
3人の楽しそうな様子を見ながら、俺も1枚の意見用紙を開封いて読み上げる。
「えっと何々…『生け花が上手くなるにはどうしたらいいでしょうか』…」
意見用紙に書かれていた内容を見た瞬間、向かいの席に座っていたガブリエルの方に視線を向ける。
如何にも私の意見ですねと言わんばかりの表情とどんな答えが返ってくるのか期待した目でこっちを見ているのが分かる。
「華道部の生徒からのお悩みでしょうか」
俺の隣で意見用紙の内容を聞いていた水希が問いかけてくる。
「あぁ、そのようだな。俺は生け花とかやったことないから、よく分からないな…」
どのようにして上手く答えようか、とりあえず考えている素振りを見せていると…
「生け花って繊細な技量が求められそうだよなぁ~上手くできなって事は本人のセンスも問題なんじゃね?」
「そうね、私も少しは嗜んだことがありますが、素人には難しい道だと思いますわ」
目の前に本人がいるにも関わらず、何も知らない龍夜と亜理紗がズバッと言い捨てる。
それを聞いていたガブリエルが悲しい表情を見せながら肩を落として落ち込んでいる。
なんかごめん…と心の中でガブリエルに謝る。
「と、ところでみんなの方はどんな意見が書かれていたんだ」
話題を変えるように龍夜、亜理紗、水希にも問いかける。
「私の確認した意見ですが、『普段から素直になれない友達を素直にさせるにはどうしたらいいんだろう』…ですって」
亜理紗が読み上げた内容を聞いた瞬間に先ほどと同じく今度はフレイヤの方に視線を向ける。
予想通りフレイヤが目をキラキラさせながら、この後の回答に期待した様子を見せている。
「本人の性格が相当悪いのでしょうね。そんな性格の悪いやつは根本から直るものも直らないから諦めるしかないんじゃないかしら。私だったら放っておくのが一番だと思いますわ。それにそんな人を友達と思って関わっているこの意見を書いた生徒もお気楽なものね」
おいおい自分のこと自虐してるぞ…と全く自分のことを言われていることに気づいていない亜理紗に対して心の中でツッコミを入れる。
あと、最後の一言は余計な爆弾だろ…
主の暴言を聞いたフレイヤの方を改めて見るとガブリエルと同じく肩を落としてへこんでいる様子だった。
「俺のは…『彼女とのデートがマンネリ化している。どこかオススメのデートスポットを紹介してくれ』…って書いてあるな」
彼女という呼び方で思いつく輩は1人しかいないと思った瞬間、ヘパイストスの方を見ると、得意げな表情のヘパイストスと目が合った。
「うん、リア充は爆ぜろ!以上だ。後なんだろ…俺、彼女いるからって妙に上から目線なのがムカつく」
主の予想外の回答に唖然とした表情を見せるヘパイストスだった。
まぁ、これはこれで龍夜の意見に賛同する。
てか、今のところ「コイツら」のお悩み相談しかしてないし、毎度のこと人間界を楽しんでやがるな…
「最後は私ですね。えっと…『友達ができなくて困ってます。どうしたらいいですか』って書いてあります」
水希が読み上げた内容は、恐らくこの学園の生徒から寄せられた悩みと思われるべきものだった。
「どうしたら友達が出来ますかって、何か小学生みたいな悩み事だなぁ~ハハハ」
水希が読み上げた内容を聞いていた龍夜が小馬鹿にしたように言う。
「もしかしたら真剣に悩まれていることかもしれませんよ」
「いやいや流華ちゃん、さすがにそれはないっしょ…勇飛もそう思うだろ?」
「う~ん、ネタに走ったのか本当のことなのか…これだけじゃ判断が難しいところだな」
「どうせ罰ゲームか何か面白がってのネタじゃないかしら。どちらにしても生徒会が解決するような案件ではありませんわ」
ネタに走った生徒が面白半分で投稿しただけだろうとズバリと言い捨てる亜理紗。
結局のところ、これが本当の悩み事で生徒会に解決してほしい相談事だったのか、真偽は分からず終いだったが、この用紙を手に取った水希は何か思う節があるような表情をしていた。
その後、残りの投稿用紙の確認も進めてはいったものの、どれも面白半分で似たような内容のものばかりだった。
「何か思ってたよりもまともな相談は無かったって感じだよな~」
立案者である龍夜も、期待とは裏腹に呆れた様子で呟いている。
「初回の取り組みにしては大方予想通りの結果って感じはするけどな。まぁ、もしかしたら今後はもう少しまともな相談や意見が寄せられることを期待してみようじゃないか」
若干不貞腐れた様子の龍夜を宥めていると、生徒会室の前方の扉が開く音が聞こえた。
扉が開くと鉄也の姿が視界に現れた。
「おぉ~お前たち、ちゃんと生徒会の仕事はサボらずにやっているか?」
「まぁ、それなりにボチボチとやってますよ~」
鉄也の問いかけに龍夜が適当な相槌を返す。
「そうか、それなら問題ない。引き続き生徒会としての仕事に精を出してくれ」
「ってか鉄也こそいきなり押しかけてきてどうしたんだよ?」
鉄也が生徒会室に訪れてきた理由を尋ねる。
「お前たちのことだからどうせ好き勝手やっているんじゃないかと心配でつい様子を見に来た…というのは建前なんだが、今日はお前たちに1つ頼みたいことがあってな」
「鉄也から俺たちに頼み事だって?」
「そうだ。1年生の中にちょっと手の焼いている輩たちがいるんだが、俺たち先生が何度注意しても言うことを聞かないもので困っていてな。そこでその問題児たちをお前たち生徒会に対応してもらおうと思った次第だ」
「俺たちじゃなくても鉄也だったら力で言うこと聞かせることもできるだろうよ」
「俺が鉄拳を下すとパワハラだのなんだの訴えられて俺の教師生命に支障をきたすからな」
「いや、いつも俺たちには容赦ないだろ…」
「お前と龍夜は特別監視下生徒だからな…他の先生たちもその認識でいるから諦めろ」
俺と龍夜が先生たちの間で特別監視下生徒の名称で呼ばれているという事実を初めて知る。
「化け物には化け物をぶつけろ理論ってやつだな」
「つまりはそういうことだ。龍夜にしては理解が早いじゃないか」
龍夜がよく分からない例えで返すが、あながち間違った理解ではないようだ。
「そういうことで後のことはお前たちに任せたぞ」
そう言い残し、鉄也は生徒会室を後にした。
「要するに1年生の不良を俺たちで成敗しろってことか。生徒会の初仕事にしては楽しくなってきそうだな」
先程までとは打って変わって楽しそうな表情を見せる龍夜。
「全く荒々しいことね。私と水希さんを野蛮なことに巻き込まないで欲しいですわ…この件はあんたたち男どもで解決しなさい」
そんな龍夜の姿を見ていた亜理紗がため息交じりに呆れた表情を見せる。
「確かに今回は女の子を巻き込むようなことじゃないよな。とりあえず俺と龍夜で1年の校舎に現地調査に行くとするか。水希と亜理紗には悪いが、引き続き事務書類の対応を頼めるか」
「分かりました。こっちは私と風条院さんに任せてください」
「仕方ないからこっちの仕事は私たちで片づけておきますわ。フレイヤ、あんたも暇してるんなら手伝いなさい」
「え~私も?」
「ガブリエルさんもよろしければ手伝ってもらえませんか。せっかくなので女性だけの女子会でもどうでしょうか」
「水希さん、それは良いアイデアですね。ぜひ私もお手伝いします」
「るかっち、ナイスアイデアだね。それなら私も残ろうかな。あ、私お菓子持っているからみんなで食べながらやろうよ」
そういうとフレイヤがどこに隠していたのか、大量のお菓子が入った袋を取り出し、机の上にお菓子の山を広げ始めた。
「せっかくですし、紅茶でも入れましょうか」
続く亜理紗がカバンの中から持参している最高級の紅茶の茶葉が入った入れ物を取り出す。
「では、決まりですね。さっそく用意しましょうか」
水希の提案が主体となって女子会が開催されることになった。
女性陣だけで盛り上がり始めた結果、俺たち男性陣は蚊帳の外に追いやられた。
「なんか俺たちだけハブられてね」
「男子禁制の女子会と化してしまったな…仕方ない俺たちもやるべきことをやるとしよう」
「なんか解せないよな…ほらヘパイストス、お前も男なんだからこっち側だぞ」
「うむ、致し方なしだな」
こうして女性陣にハブられた俺と龍夜とヘパイストスは、鉄也の依頼を解決するべく1年生棟へと向かった。
1年生棟のとある空き教室。
「お~い、パッシー君、購買でコーヒー牛乳買って来いよ」
机の上に胡坐をかきながら座っている不良生徒の1人が、目の前に立たされている気弱そうな生徒に声をかける。
「え、えっと…いいけど、お金の方は…」
パッシー君と呼ばれている小森正男がおどおどしく問い返す。
「あぁ、そんなもんテメェの財布から出せよコラァ!モタモタしてっとしばき倒すぞ」
「わ、分かったよ…」
不良生徒から一喝された小森が怯えるように教室を後にする。
「ケッ、弱いくせに歯向かってんじゃねぇよ。なぁ、お前らもそう思うだろ?」
怯えた小森の姿を見て嘲笑う不良が周りに居座る不良たちに問いかける。
問いかけられた不良たちも同調するように笑い声をあげる。
不良たちの笑い声が響く雰囲気の中、銀髪に黒のヘアバンドを付け鋭い目つきと額についた傷が目立った男がゆっくりと立ち上がり、小森の後を追うように教室の扉の方へ向かっていく。
「おい轟、どこに行くつもりだ?まさか小森のところに行くんじゃねぇだろうな?」
「別に…トイレだよトイレ。お前こそ俺に何か文句でもあんのか?」
轟と呼ばれたその男は一瞬立ち止まって振り返ると、声をかけてきた不良を睨みつけるように返す。
その鋭い眼光に睨みつけられた不良がたじろいた表情を見せると、轟も踵を返して教室を後にした。
教室を後にして一人廊下を歩く轟。
轟健太郎、1年A組の男子生徒である。
廊下の角を曲がると目の前に購買の看板が見えてくる。
購買に設置されている自動販売機の前に小森の姿が見えた。
「おい小森!」
自動販売機の取り口からコーヒー牛乳を取り出している小森の姿を見た轟が呼びかける。
「あ…轟君…」
轟の姿を見た小森が怯えた表情で返す。
「それ、不良等のところに持っていくのか?」
「あ、轟君はどれがいいかな…別のがよかったらすぐに買い直すから」
「いや、俺はいらねぇよ…それよりお前、このままでいいのか?」
「それ…どういう意味?」
「いや、何て言うか、いつまでもやられっぱなしじゃなくて偶にはやり返したらどうなんだって話」
「仕方ないよ…僕は気も弱ければ喧嘩も弱いからあいつらに勝てるわけがない。こうやって言うことを聞いている方が自分の身を守るには最善なんだよ」
「気が弱いとかお前の気の持ちようだろ。弱いって思ってんならそれなりにできることもあるんじゃねの?」
「はは、轟君みたいに見た目から強そうに見えるわけでもないし、今さら僕が何をしたって強くなれるわけないよ」
「だからって、そんなんじゃ何時まで経ってもあいつらのいいようにされるままだぞ?」
「轟君には弱いやつの気持なんか分からないよ!それに君だって不良グループの一員の中にいるじゃないか。君だって僕をいいように使いたいだけなんだろ!!」
「いや、俺は別にそんなこと…」
「もういいから僕のことはほっといてくれよ。僕と君は友達でもない他人なんだからさ!」
いつも弱々しい小森が感情を爆発させるように声を上げると、不良生徒たちに頼まれた飲み物を抱えながら、轟の前を走るように去っていった。
小森の姿が見えなくなり、購買の前に一人取り残される轟。
「…はぁ、またやっちまったか」
周りに誰もいないことを確かめると、深いため息をつきながら肩を落とす。
「健太郎、人の気持ち、理解するの苦手」
落ち込む轟の横に一人の少女が姿を現す。
その容姿は高校生よりも若い中学生くらいの年齢の見た目をしており、金髪のワンサイドアップにラベンダー色のワンピースを着用しており、背中からは白い天使の羽が生えていた。
轟のことを心配したような声かけかと思いきや、手元の携帯ゲームを操作しながら、ただ淡々とした表情で話しかけていた。
「るせぇ、アルテミス、お前の言う通り俺はただ行動してみただけだって…」
轟にアルテミスと呼ばれたこの少女こそ、聖天六神序列4位、閃光のアルテミスであり、轟と契約した六神の1人だった。




