第74話 ただの愚民には興味がありません
「守様と私に関連する質問でしょうか…?」
「はい、やはりオリビア家と大魔法剣士の繋がりという物を気にしている方が多いようです」
「光栄なことですが、緊張しますわね」
「さっそく参りましょう。"昔からエリカ様は大魔法剣士様のファンでると聞きましたが?"」
「その通りですわ。異世界から召喚され、この世界のために戦場に自ら赴く。その姿勢に心を奪われていました。あの頃の守様は正体をごく一部にしか明かしていないとお聞きしていたため、いつか本来のお姿でお会いできればなんて思っていたものです」
「それはエリカちゃんだけでなくともって話よね。色々なしがらみがあったからあのローブ姿ってわけだったのだけどね。尤も私たちの活躍が世の中心になっていた頃は、ジャンヌが側にいたわけだけどね♪」
「ですので、せめてお近づきになりたい!!なんて思っていたら、今が実現できたわけですわ」
「なるほど…ファンを経て主だった交流まで手にするというのは凄い事ですね。それでは、お次です。"オリビア家の領地に大魔法剣士様の像が建てられていると聞きますが、本当ですか?"」
「はい、こちらは周知のことかと思いますが、ヴェルヘルム様に許可を得て行なっています。もちろん守様本人にも一度お見せ致してますわ。是非皆様一度見にきてくださいませ」
「…こんな公の場でどうどうと宣伝しやがったよ。あのむず痒い名前の像を改めて世界に晒すことになるのか」
「やはり、お屋敷の前にも建てましょうか?」
「頼む、止めてくれ。アディリシアのは冗談じゃすまないから」
「実は私もまだ見れておりませんので、後にお邪魔させて頂きたいと思います。関連してになりますが、"銅像効果は実際にあったりしましたか?"」
「復活したあの森には徐々に足を運んでくださる方々が増えましたが、銅像が建ってからはオリビア家の目玉といっても過言ではないくらいになりましたわ」
「では、守様関連のラストスパートに向かう前に一度戻しまして--」
「おい、あの進行役不穏なワードを口走ったぞ!!」
「まぁまぁ落ち着いてください守さん」
「"四大精霊のうちの一人であるシルフィードと契約しているエリカ様ですが、仲は良いのですか?"」
「私が幼い頃から仲良くさせて頂いています。私の唯一の親友ですわね」
「守から聞いたのだけれど、なんでもシルフィードの方から契約を持ちかけたとか?」
「ええ、その通りですわ。フィーちゃんの方から友好の証としての契約をして頂き、大変珍しい体験を私自身ができたと誇らしく思っていますわ」
「…いい話の後で、大変読み上げづらいのですが、俗物的なものもきております。"蔑んだ目で睨んで罵声を浴びせながら踏みつけて下さい!!"」
「…私はそういうキャラで見られていたのでしょうか?甚だ遺憾ですわ。守様がそういうのがお好きでしたら考えますが…」
「いや、その位置からモジモジしながら言われてもそんな趣味は俺にはないんだがな…。それよりもニースの時もあったけど、歪んだファンがいるもんだ」
「今思えば、私のはただのメイドファンなだけな気もしましたが」
「それでは、ラストスパートです。"ご両親と守様は既にご挨拶済みだとか?"」
「体育祭で得た特権で我がオリビア家に招待させて頂いた際に顔合わせをしていますわ。尤もお母様とはそれ以前に面識があったようでしたが。お父様は孫の顔を早く見たいとおっしゃっていましたわ。それに兄の墓前でオリビア家の守り神とおっしゃって頂きました」
「へぇ〜その話はお姉さんも気になるわ。あとで守本人に色々聞いてみましょ♪」
「それは言わない約束じゃないんですかねエリカさん…」
「では、最後になります。"大魔法剣士様と口づけを交わしたという噂を耳にしましたが?"」
「ちょ…この流れで更にこの質問は…!?」
ある意味では最後にふさわしい質問ではあるが、内容が内容だけに事実を知らない周りはざわざわしだす
「事実ですわ。あの時は我がオリビア家の重要地を復活まで導いてくださったことへの感謝でしたが、今となっては恋敵たちへの牽制になったと思っていますわ!!なんと言っても守様と唇を合わせたのは二人目ですからね!!」
エリカの回答にところどころにいるエリカファン達は崩れ落ち、どこからともわからぬ恨み含みの視線に守は頭痛が酷くなっていくのであった
「エリカ=オリビアさんありがとうございました。さて…会場の空気が少し混沌と化してきましたが、お次は同じく三大貴族の筆頭メイ=ファントムさんお願いいたします」
「ふふふ…泥棒猫たちの守様に対する媚びた姿勢には、反吐が出そうでしたが、とうとう私のターンということですか。守様以外の愚者どもからきた質問に答えなければならないのは癪ですが、まぁいいでしょう」
「今まで黙っていたと思ったら、えらくやる気だなあいつ」
「…メイさんの性格から考えるに守さんとのことを公言できる絶好の機会だと踏んでいるのではないでしょうか?」
「なるほどな。これまでのことを考えるとストーカーが壇上に上がるということは、今まで以上に拷問な可能性があるわけか」
普段とは打って変わってこれまで守と絡むこともなくただただ静かであったメイは、名を呼ばれたこの瞬間から嬉々とした表情で壇上へと向かうのであった
「お家のこと以外は、皆さん周知かと思いますが、ファントム家のメイ=ファントムさんになります。よろしくお願い致します」
「ふふふ…ただの愚民には興味がありません。この中に、異世界人様(守様)、大魔法剣士様(守様)、聖守様(守様)がいたら私のところにカモン!!」
「これ笑うとこ?じゃねぇよ!!そのネタは偉大すぎるから辞めろ」
「いや…それ以前に全て括弧守さんっていうツッコミを入れた方が…」
「私といえば、守様。真の守様マイスターであるこの私が、ここにいる愚民どもに守様の素晴らしさを語りましょう。さぁ質問を!!」
「すごい迫力ですが…で、では、最初の質問です。"三大貴族序列一位のお家の次期当主というプレッシャーは感じているのですか?"」
「チッ…流石に序盤から守様を絡めて来ませんでしたか。しかし、これは読めていたこと。私は生まれながらにして、次期当主の座が決まっていましたので、それはもちろん抱えていましたよ、ええ。しかし、とある英雄様の存在を知ってからはそんなものはなんとも思わなくなりました」
「意外と真面目に答えるんだな」
「いや、多分このあと無理やり守さんを絡めますよ、あれ」
「その英雄様は、困っている人には手を差し伸べる光輝かしいもので闇を司る我がお家とは、対極の存在で興味を抱いたものです。しかし、ローブなどでお姿を隠していたためにお顔を拝見することは叶わず、どうしても気になった私は、アイシェを連れ、ある日こっそりストー…後をつけてその姿を晒す瞬間を見たのです。その瞬間こう胸が高鳴る感覚でしょうか、心を奪われたというものはこのことだろうと。気づけば、アイシェを使ってストー…影から守様を見つめるようになったのです」
「これがストーカーの始まり話か。前半までの話はよかったのにな…」
「後半に至っては守さんて言っちゃってますしね」
「え〜と…プレッシャーの話からいろいろ発展しちゃってますが、怖いのでこの質問はこれくらいにしましょう。お次ですが"闇には色々種類があると聞きますが、ファントム家はどういった闇系統なのでしょうか"」
「普通の人間には闇魔法を会得することは不可能ですから、この手の質問は来るだろうと思っていました。我がファントム家の内情は、世間には公表していないため、詳しいことは勿論公表できないのですが、ファントムは影を主体としています」
「この質問には補足が必要になるわね。本来闇というものは魔族と直結するイメージを持つものだから人族が介入していいものではないのよ。扱いが難しいという点もあるのだけれど、何よりも強力なものだからちゃんと扱えない者はその力に飲まれてしまうの。私や守のように魔法に対する素質が高い者やファントム家のように代々受け継いでいる者以外が触れるべきではないわ。尤も今は強力な魔法その者が不要かもしれないけれど」
「勿論ファントム家だからと言っても努力を怠ると飲まれるからな、そういう意味ではメイは家の力を我が物にできた努力家なんだよな」
「…できればお嬢様に直接言ってあげてください」
「いたんですか、アイシェさん」
壇上にいるために守の言葉をメイが聞けるわけもないが、守から珍しい褒め言葉に思わず話しかけるアイシェであった
エリカ→メイです。キャラ贔屓というわけではありませんが、メイは自由に動かせるため、ついつい文字数が多くなってしまいます。
後半の闇の話はこの後すぐの展開で少し重要だったりしなかったりです。




