第75話 テンションが上がってキター
守の横にアイシェが現れたのを察知したメイは、二人のやりとりを見て明言する
「なにやら守様がアイシェと話されているようですが、きっと私の話をしているに違いありませんね!」
「こっちガン見かよ…」
「アイシェちゃんがハンカチで顔を拭っているということは守がメイちゃんのことを褒めているんじゃないかな♪」
「テンションが上がってキター…コホン。この興奮さめやらぬうちに次の質問をくださいな」
「は、はい…。"体育祭の魔法コンテストでは、影人で大魔法剣士様を表現していましたが、お付きの方に変身魔法で大魔法剣士様になった方が良いのではないですか"」
「これだから魔法素人は…何もわかっていませんね。アイシェを守様に変身させるなんてことは当の昔に実践済みです。当時の私はそれでも捗…満足いくものがありましたが…。この方法で守様を表現するに至った経緯はいくつかあります。まずは、守様を表現させるのに使用するのが、守様の髪の毛や使用した物といった守様に関連するものということです。実際に守様に関した物を媒介にすることにより、より守様っぽさを出せるのです。偽物だとわかっていてもハァ…ハァ…っといけません。危うくトリップするところでした」
「…俺もうこの会場から出てもいいかな?胃痛、頭痛の次は気持ち悪くなってきた」
「が、我慢です、守さん」
「もう一つ言うとするならば、魔法を扱う者は常に魔法の探求を怠ってはいけません。特に私たちのような貴族連は国の中でも重鎮。己が司る属性があるわけですから、属性魔法を探求するのは必然。影人で守様を表現し、喋れるようにしたのは研究の成果を公表する意味もあります」
「それなんだよなぁ…前置きがありすぎるせいで、真面目なことも全て己が欲求を満たすためにしか聞こえん」
「まぁ結局のところ私の心を満たすところに終着するわけですが」
「ほらな!」
「…ありがとうございます。ここからの内容が色々な意味で怖いのですが、あえて踏み込んでいきましょう。"影人で使っている守様分とやらはどうやって手に入れているのでしょうか"」
「フッ…ご本人がこの場にいらっしゃるのに答えるとでも思っているのでしょうか?まぁ四六時中守様のことを考えている私にもなれば、当然ストーキン…側に控えている時にも採取しているのですが、それが叶わない時には同志の皆様とのブツブツ交換で対応しています」
「おい…おい!!衝撃的なことを聞いたぞ。常に会っている人間を考えるに、ニース…お前か?」
「な、なんのことでしょうかー?ワ、ワタシハナニモシリマセンヨ」
「守様、そんなにニースを責めないで話を聞きましょう」
「アディリシア…お前もか…。周りの連中が全員敵に見えてきたぞ…」
メイの同志という発言により、疑心暗鬼になる守は、自身の従者や王女が完全に黒だと悟るのであった
「同志という部分に深入りしてはいけない気がしますが…気を取り直しまして、"オリビア家の芭蕉扇のような魔法具はファントム家にはないのでしょうか?"」
「オリビア家の泥棒猫が先に答えていますが、もちろん当家にも存在しています。尤もどういった物かをここで答える必要はありませんが。ま、守様がどうしてもと言うのでしたらですけど」
「あいつに懇願しなくとも別にどうでもいい。というか俺を絡める必要のない質問でも絡めてくるのが実に不愉快だ」
「ああ、あの守様の俺を絡めるなと言わんばかりの高圧的な視線が快、感!!」
「悦に浸っているところ申し訳ございませんが、これは黙秘ということでよろしいでしょうか?」
「ええ、そうですね。嘘偽りをしなければ、この質問会は問題ない筈ですので、何より当家の魔法具はあまり公にできない理由が存在しています。アナト様?」
「いいんじゃないかしら」
「まさに闇の中といった感じですね。それでは、次にいきましょう。"大魔法剣士様のストーカーとしては、他の女性陣に対してどう思っているのでしょうか"」
「私にこれを尋ねるとは、なかなかわかっていますね。ですが、一つ訂正します。私はストーカーなどと言った俗物ではありません。真の守様マイスターです。そこは勘違いしないように。守様の周りには常に女性陣が侍っていますが、アディリシア様だけは認めています。不敬を覚悟で述べさせていただけば、本来であれば、王女であっても敵に当たるのですが、守様の全てにおいて、始まりはアディリシア様といっても過言ではなく、過去の守様の支えであったのにも違いがありません。ただし、アディリシア様以外の女どもは許しません。まずは、メイドですが、メイドとして侍っているだけでしたら良いものを、その実態は四六時中隙あれば、深い仲を狙っている私利私欲に塗れた腹黒メイドです」
「…酷い言われようですが、私利私欲と言われてしまいますと否定できないのが悲しいところです」
「次に、ロリ巨乳吸血王女ですが、聖騎士団に助けて貰ったのにも関わらず、守様一点狙いのそれは、ただ単に魔物を屠っている目にゾクゾクしているだけのドMに過ぎません。そんな邪者はくされ王子の元にでも行けば良いのです」
「むむ、初めて触れられたと思ったら酷い言われようなのじゃ。我と守のことを何も知らんくせにいいように…。じゃが、ストーカーに貶されてもかすり傷でもないのじゃ」
「ジルはタイプじゃないから、俺の方がお断りだ」
「脳筋女騎士団長なんて弟子に言われた慰めの言葉を求愛と勘違いしたただのアホです。だから行き遅れるのです」
「私にはもはや暴言しかないな。あとで覚えておけよ、ファントム家」
「あいつ、ロベルタさんの触れたらいけなところを貶したな…。これはもう死んだな…南無」
「契約精霊'sは論外として、最も許せないのは、オリビア家の小娘とロリペタ勇者です。オリビア家は、大魔法剣士の名をブランド扱いにでもしているのかと思わしき、最近の行動。それに守様の唇を汚したことは万死に値する」
「守様の名をブランド扱いなどそんな恐れ多いことは考えてもいませんが、ファントム家からの非難は覚悟の元ですわ」
「ロリペタ勇者は、守様の全てを手に入れられるところまで行った癖に自分の火種のせいでそれを全て破綻させ、何よりもやってはいけない守様の心に傷を負わせた。そのくせ、再び守様を狙っているという害悪以外の何者でもありません」
「アハハ…心に刺さっちゃうな〜。害悪か…」
「…少々熱くなってしまいましたが、回答としてはこんな感じでしょうか」
「各所に敵を作った内容になってしまいましたが…この流れで締めに行くのが、大変怖いのですが、"守様への愛を語ってください"」
「あぁ〜もう駄目だ。あいつのこの質問はだめだ、ちょっと行ってくる」
「行ってくるって、守さん?」
この質問はだめだと感じた守は、メイのいる壇上へと向かっていく
「これを待ち望んでいました。いいですか、まず、この荒れた世界に突然召喚されたのにも関わらずキツイ修行をこなして、旅に出て…って守様!!私の愛に感化されて壇上まできて、うっ…」
これ以上余分なことを言わせまいとメイに向かい、睡眠系魔法を掛けた守は、眠り果てたメイを抱えて実況に向かい述べる
「ハハハ…お騒がせいたしました。こいつの番は強制終了ってことで、次に行ってください」
「耐えきれなくなったようね♪ま、メイちゃんはこの後が大変そうだし、ここらでいいんじゃないかしら」
「は、はぁ〜…それでは、異例の強制終了となりましたが、お次は、吸血一族の長でもありますジル=バートさん、お願い致します」
「む、我にも聞きこととやらがあるのじゃな。行ってくるかの」
守により眠らされたメイはその身柄をアイシェに渡され、入れ替わりの回答者としてジルが次の担当を受け持つのだった
最後が強制終了となりましたが、今後のちゃんとしたメイ編でくどいぐらい語らせる時がくるでしょう。お次はジルパートへ




