第40話 孫の顔はいつ見れるのかね?
質問攻めにあっていた守も数刻がすぎれば、森には再びエリカと二人になるのであった
「フィーちゃんが来てくれるかと思いましたが、本日は不在のようですわね」
「この森に常駐しているのか?」
「契約の供物がこの森ですので、常駐とまではいかないのですが、最近はこの森にいることが多いのですわ」
「そうか…いろいろ聞きたいことがあったが、たまにここを訪ねれば会えるかもしれないわけだな」
「是非いらしてください。その際はよければオリビア家の方にも!!」
「わ、わかったからそんなに圧をかけなくても…」
「失礼いたしましたわ…。そろそろ、次の場所へいきましょう」
「そうだな」
「そこの二人っ!!待てーい!!」
威勢の良いダンディな紳士っぽい見た目の男性が高らかに二人にむかい叫び、呼び止める
「お父様!?どうしてこちらに!!」
「ふふふ〜お邪魔虫三人目はパパなのだよ!!ルートが変わったと急ぎの報告を受けて急いできたのだ!!」
「どうしてお父様がファントム家に与するのですか!!」
「三人目?」
「まぁまぁ話は最後まで聞きたまえ。ファントム家に協力をするふりをしてこうしてお邪魔虫の枠を一つ潰したのだよ!!君が例の聖守殿だね?」
「はぁ〜そうですが…」
「こんなに若い子がこの世界のために…私はモーレツに感動している!!お目にかかれてよかったよ。おっと失礼!!私はガラハド=オリビアだ。エリカとランスの父だ、よろしく頼む」
「(ガラハドの息子がランスなのか…逆では?いや、でもランス隊長と親子というのはよくわかるな。それにしても、モーレツって…)よ、よろしくお願いします」
守は日本で読んだとある作品を浮かべながら、目の前のエリカの父がランスの父らしいなと心で思うのであった
「ところで二人の孫の顔はいつ見れるのかね?」
「ま、孫…!?」
「お父様!!も、申し訳ございません守様!!その…私としても交れたら嬉しいのですわ…」
「(親子での攻めはきついぞ)ハ、ハハハ…。エリカとはそういった関係ではありませんよ?それに、ホラ、これなんですが」
守は先日アディリシアと交わした契約の指輪を見せ、なんとかごまかそうと試みる
「おお、それが例の指輪か。話は聞いておる。アディリシア様と"永遠"の契約をされたと。よいのだ、よいだのだ!!アディリシア様は正妻なのだろ?娘は側妻で良いのだよ」
「(ここ一夫多妻だから関係なかったぁ〜)しかしですね…エリカは三大貴族オリビア家の次期当主ですよ?お家的にはいい人の正妻でないと…」
「あら?守様はそんなに私が嫌なのでしょうか…。そこまで否定されるとさすがに傷つきますわ」
「いや、嫌とかではなくてですね…」
「君は先から何を言っておるのだ。この世界を救った戦団の英雄の一人の大魔法剣士であり、テスタオロスの姫様であるアディリシア様と永遠の契りを結んでおる。こんなにビッグネームが他にどこにおるというのだ。オリビア家はあの銅像がこの森に建っているように、ハワード家から救ってくれた件もあり、守殿には多大な恩もある。例え、娘が好いておらんかったとしても、オリビア家が頭を下げてもらってもらう、それでも足りてないくらいなのだよ」
「そんな大げさな…。それにオリビア家を救ったのではなく、あれは個人的に抱いているハワード家の憎しみとランス隊長への恩返しですよ?」
「理由はどうあれ、その結果我がオリビア家は今や三大貴族序列二位の地位を不動としたのだ。おお、その貴族で言えば、ファントム家の次期当主は守殿の第二夫人を狙っておるのだろ?国とも貴族トップともパイプがつながるのだ。何も問題はあるまい」
「あいつ…自分のためにオリビア家を利用したな」
「お家の話が出ておりますが、大魔法剣士様には元々憧れを抱いておりましたので、結果的にはという話になってしまいますが、ラーズとの件で私は守様に心を奪われたのですわ。例え、大魔法剣士様でなかったとしても守様を好いている気持ちに嘘偽りはありませんわ」
「…わかりました。エリカの、ガラハドさんの、そしてオリビア家の気持ちは心に留めておきます。ただ、これはみんなに話していることなのですが、今の学園に入る前までに色々あり、今は誰とも恋仲などの関係になるつもりがありません」
「今はこの気持ちを伝えるだけでよいのですわ。いつの日か守様の日常の中に私がいればよいのですから」
「うっすらと話は耳に入っておる。何かあれば我がオリビア家も全力を持って守殿に協力を約束しよう」
親子を交えた婚姻の話を心の中に留めておくということで一旦切り上げた守は、今度こそ森を後にしようとする
「それでは兄の墓に案内致しますわ」
「ちょっとちょっと待ったです!!ぜぇぜぇ…何…オリビア家だけいい雰囲気で終わろうとしているのですか!!」
「げぇっ、とうとう面倒くさい奴の本人が出てきやがったよ」
「そんな〜げぇっなんてひどいですよ〜」
「で?お前がお邪魔虫の親玉なのか?」
「その通りです〜。さすが守様です。守様に関しては例え国からの圧がかかろうとしぶとくつきまとう、これがメイでございます」
「一つ聞くが、ガラハドさんがさっき三人目と言っていたが、二人目は?」
「…それを聞かれますか。守様たちが想定していたルートを変えてしまったために出番なしで終わりましたよ。ロベルタ騎士団長が仁王立で構えていらしたのに」
「ロベルタさんか…。あの人は何をしているんだ。会わなくてよかったけど、なんだか不憫だな」
「邪魔されているのはこちらなのに、何もせずに終わるというのも悲しい話ですわね」
「そんな過去のことはどうでもいいのです。とにかく今日はこないだの反省を生かしていますからね。簡単に抜けられると思わないことです」
メイは以前までと同じように影人を召喚し、守の姿に変形させる
「性懲りもなく、また偽物を出して来やがったな。斬り刻んでやる」
守は愛剣・デウスを取り出し、偽守'sに斬りかかろうとする
「火の玉」
「何っ!?影人が魔法を使ってきただと!?」
「フフフ…今日の供物は純度100%の守様コレクションなのです。不純な物が一切ない物を使用した場合、ほぼ本人と同列な影人を召喚できるのです。さすがに召喚獣やデウスなど他がない物は無理なようですが。魔法があれば、さすがの守様も迂闊に近づくことはできない筈ですので、魔法解除対策にもなります」
「くっ…なんて面倒くさい。前までは不純物があったなんてところはスルーしたいところだが」
「もちろん私が[自主規制]したために、私の[自主規制]が混じっていたのです」
「…改めてこの家より下だと思うと涙がでますわ」
「ふりきっているのだな。ファントム家は…」
「お前…一応乙女なんだからさ…」
「はぅ。ドン引きしているその冷たい目最高です〜。ささ守様's、多大な犠牲を払ったのですから本物と濃厚な戦いを見せてください」
「一つ…メイに教えてやろう。偽物は本物を超えることはない。デウスが扱えないということが聞ければ充分だ。雷の剣」
雷の魔法をデウスに纏わせた守はそのまま、偽守's全体に向かい一閃する
「拡散させる雷の剣、山羊の恵み」
雷を帯びた山羊のような姿をした物が次々と偽守'sに向かってゆき、山羊の攻撃に当てられた偽物たちはまるで黒雲でも表現しているかのように次第に小さくなり消えていく
「こ、これが守様の魔法剣ですか…!?」
「英雄の腕、凄まじいな」
「そ、そんな〜秘蔵のコレクションもあったのにぃ…グズッ」
「…お嬢様、守様の前です。涙を拭いてください。また集めますので」
「アイシェさんも絡んでいたのか…。これからはより警戒しないと…」
「ま、まぁ〜今回は間近で守様の魔法剣技を拝見できましたので、これでよしとしましょう…ぐすん」
「そんなに凹むならやんなきゃいいのに…」
「いいえ、守様の一番に…はもはや無理なようですが、二番目をどんなことをしても勝ち取るまでは諦めません!!」
「…失礼します」
「あの執念凄まじいですわね…。いつからあんな感じなのですか?」
「いずれいやでもあいつが話すだろうさ。さ、今度こそ邪魔者がいなくなったようだし、案内よろしくな」
涙目に言いたいことをいい去ったメイを送り目に、今度こそ邪魔者がいなくなったと守はランスの墓があるオリビア家の案内を頼むのであった
珍しく二日連続投稿となりました。前日投稿については過去短編その2をご覧ください。今回は色々補足が必要な回かと思いますが、初めに、新キャラエリカの父であるガラハドの登場です。エリカは関係ありませんが、本文中にあるとある作品は円卓の騎士になります。あくまで名前を使っているだけですので、ランスロットやガラハッドそれぞれとの直接的な関係はありません。もう一つ、メイの影人のコピー元の技が扱える部分ですが、これはメイ自身がコピー元の技を知っていなければならない。影人自体がメイの魔力量に依存する。コピー元がその世界に一つしかない対象を扱う場合、それはコピーできない。などの制約があるため、チートというわけではありません。いずれメイメインの過去回がありますので、メイ関連につきましてはそこで少し明らかになると思います。




