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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
落下
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73/76

狂気


「そんなことが・・・」


事の経緯を説明すると、敦也がつぶやいた。

藍川は、ただ黙って、俺を睨んでいる。


パタパタパタ・・・


「篠田さん、落ち着いてください!!」

「芽衣っ、芽衣っ!!」


狂ったように叫び、こちらに向かってくる異常なほど美しい女。

その女を必死に落ち着かそうとしている看護師。


「あ・・・」


藍川がその姿を見て、声を漏らす。


「あ、アンタァ・・・芽衣に・・・芽衣に・・・」


怒り・・・だろう。

震えながら、藍川の肩を揺さぶる。


「何をしたのぉぉぉぉ!!!」


この前会った時には、綺麗にまとめられていた髪は、酷くぼさぼさで。

涙と鼻水で化粧はぐちゃぐちゃ。


「この子は何も悪くないんです!

 わたしが悪いのです!!」


瀬尾さんが、必死に芽衣の叔母を静めようとする。


「芽衣を、芽衣を・・・」


瀬尾さんを無視し、怒りの矛先を俺に向けてくる。


「任せたじゃないぃぃぃぃ!!!」


藍川から離れ、俺に殴りかかってくる。

血走った目は、まるで兎のようだ。


「篠田さん、落ち着いて!!」

「あの、落ち着いてください!!」


敦也と看護師が2人がかりで抑える。


「何でこんなことになんのよっ!!

 何であの子が、こんな目に遭わなきゃなんないのよぉぉぉ!!!」


そんな時。

ウィーン

遂に、緊急治療室が開いた。


「芽衣・・・芽衣・・・」


俺を視野から外し、力が抜けたように座り込む叔母さんこと篠田さん。


「泉川芽衣さんの保護者の方は?」


中から出てきた医者が問いかける。


「私ぃ・・・私ですぅ・・・」


足が駄目になったのか、腕だけでアザラシのように床を這う篠田さん。

すぐさま、看護師が肩を貸す。


「アンタも来なさい」


篠田さんが、落ち着いた声で俺に言う。


俺は、否応なく緊急治療室に連れ込まれた。






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